「孤独の剣士」 後編
前回、王宮の庭で剣を振っていたゼロの元に[盾の勇者]ラペンが現れる。そしてゼロは試練を受ける事になった。試練の中で多くの死を体験する事になる。
燃える大地が空気を減らす。空を照らす月は雲に隠れ、辺りは赤く照らされる。
「斬」
一人の青年が剣を振るった。名は[ゼロ]試練開始から6日と23時59分が経過し、2534回の死を経験した。
「断」
大地を真っ二つに断ち、地面に隠れていたバリアを破壊する。
「壊」
破壊されたバリアは消滅し、ゼロは顔を上げた。
「……。ゲームオーバーか。」
瞬間辺りは白く輝き、ゼロは目を閉じた。
「………。」
「ん?。帰って来た?。」
目を開けると王宮の庭にいた。話しかけて来る白髪短髪の青年はニコニコの笑顔で話しかけてくる。
「どうだった?。試練!。クリア出来た?。」
「……」
「ねぇ?。クリアした?。」
「……。はぁ…戻ったのか」
「?。うん!。?。クリアした?。」
左眼を眼帯で隠し、右眼は閉じている。彼の名は[エデン]。ライト、カイト、ゼロに並ぶ最後の勇者候補であり、勇者候補一の実力を持つ。
「クリアか……まだ無理だった。…お前はどうなんだ?」
「?。僕?。!クリアしたよ!。」
「?!」
「残りはノアさんとブラックくんとラックさんの3人だけかなぁ?。ラペンさんの試練はだいぶ前にクリアしたよ?。」
「……流石だな」
「?。ゼロくんってさ?。スキル使ったら試練。クリア出来るんじゃないの?。疑問なんだ!。」
「…俺のスキルは…そんな簡単に使ったら行けないんだ。」
「?。強いのに?。制限もないし。スキル使用の有無はゼロくんが決めても良いと思うけど?。」
「だったらこのままで良い。俺のスキルは…死者への冒涜だ…」
「?。そっか!。?。」
ゼロは腰に添える白級剣を構え、素振りを始める。
「……それだけか?」
「?。あ!。伝言!。」
「だろうな」
「僕達が担当する推薦入学者なんだけどさ?。二人辞退したよ!。だから合計八人!。」
「そうか」
「1週間前に勇者のみんなと推薦入学者が対面したんだ!。バリアの子も復帰したよ!。」
「……」
「みんな別の王国に戻っちゃった。今回王宮の護衛は僕なんだけど?。ゼロくんも残るの?。」
「…いや。」
「?。」
「久々にブラックの所に行こうと思う。今回の試練で試したい技が出来た。」
「うん!。今から行くの?。」
「……。明日の朝だな。エデン?」
「?。」
「今日。付き合って欲しい店がある。久しぶりに一杯どうだ?」
「!。良いよ!。」
「ずっと前から気になる店が…」
ゼロとエデンが話していると後ろから声が聞こえた。
「だったら[俺]も紹介してくれよ。勇者様よぉ」
「……お前も残るのか」
「そだよ!。前は勇者二人。カイトくんとライトくんだったけど。今回は僕と。」
「[俺]って訳だ!なぁ?勇者様?聞いたぜ?明日ここを離れるって!だったらさぁ?一度は手合わせしてくれても良いと思うんだが!な?」
「俺は勇者じゃない…」
「[未]勇者様!!」
白色の髪をした男性は声を荒げる。両手には合計八つの指輪を付けており、右手の甲には3つの丸が描かれている。
「はぁ…明日ブラックの所に行くんだ。今体力を消費する訳にはいかない」
「良いのか?断って![俺]達との契約を破ると?」
「……」
「それとも。逃げるのか?情けねぇ!![あの時]みたいに!!」
「ねぇ?。僕じゃだめかな?。」
「黙ってろエデン!![俺]はコイツと話してる。なぁ!」
白髪の男性は俯くゼロの髪を引っ張り、睨みつけた。
「[俺]と今ここで戦え!![俺]を認めさせてみろ![勇者]なら出来るだろ!!おい!!!」
「…!だから!勇者じゃ無いんだよ!!!」
「それだよ。勇者じゃない?舐めやがって…。んな訳ねぇだろ?!」
「ゼロくん…。」
「…離せ」
「離せば戦うか?良いぜ?殺してやるよ。」
「やってやるよ…」
「ねぇ!!。」
睨み合う二人の間にエデンが割り込む。エデンはにっこりと笑い、二人に質問をした。
「僕の試練で決着つけるのはどうかな?」
「「……?!」」
「どうかな?。これなら怪我人は出ないし!。」
「お前…」
「体力の消耗もしない!。それとも。」
「逃げんの?。」
次回「決着」
ご覧頂きありがとうございます。ゼロは本編「世代の勇者」に登場するキャラクターの中でも特別な位置にいるキャラクターです。ここだけの話!「世代の勇者」の初期案にて、ゼロは主人公の立ち位置でした!(尚、エデンは親友位置)。長いストーリーでは無いですが、楽しめて貰えれば幸いです!是非良いねと感想を宜しくお願いします。