皇宮内を案内してもらう
厨房では、料理長をはじめ料理人たちがあたたかく迎えてくれた。
わたしが、彼らの朝食と休憩の時間帯にお邪魔したのにもかかわらず。
料理人といえば、職人気質がすごいイメージが強い。つまり、頑固一徹、自分のかんがえを曲げず、けっして他人のそれを受け入れない。そんな感じがする。
実際、王宮の料理人たちはひどかった。料理関係のことだと、国王だろうが王妃だろうが平気で反抗したり、あからさまにバカにしたりした。
本来ならクビにしたらいいようなものを、王宮付きの料理人だなんてなりたがる料理人はそうそういない。だから、クビに出来ないのである。料理人たちもそれを知っているから、わがまま放題している。
そんな料理人たちに、まさか料理人になりたいだなんて言えるわけがない。だからこそ、それを隠して小腹がすいたていを装い、厨房で調理をしていた。
幸か不幸か、王宮でのわたしの評判はすこぶる悪い。彼らもわたしのことを「悪たれ王女」と陰口をたたいている。
そんな感じだから、だれもいない厨房でコソコソやっていても、とくに咎められたりということはなかった。
が、ここの料理人たちは違うみたい。わたしに対して、すくなくとも表向きは友好的かつ親切である。
冗談っぽく、「趣味が料理でときどきするんです」と伝えてみた。すると、料理長が「ぜひともカナーリ王国で流行っていたりよく作られているレシピを教えてほしい」、と言ってくれた。
そのときの料理長のキラキラ光る瞳は、その申し出が嘘やおべんちゃらではないことをあらわしている。
ここの人たちの様子は、わたしが思っているのとは違うみたい。
レシピの交換をする、という約束を取り付けた。
厨房によった後、近衛隊の副隊長たちにどうせだから皇宮内を案内してもらうことにした。
このまま部屋に戻ってもつまらない。何もすることがないし。
それだったら、皇宮内で何か面白いことがないか、遊べる場所があるかを確認しておきたい。
というわけで、彼らにお願いをした。
快諾してくれたので、さっそくまわってみることにした。
表の宮殿内には、大広間に図書室、主に異国からの使者を招き入れる謁見の間、食堂に貴賓室に各会議室などなどがある。そして、奥の宮殿は居住区域になっていて、右殿は皇族が、左殿は客殿になっている。
そして、現在は使われていないけれど、立派な浴殿もある。
表の宮殿内の大廊下の窓には、素晴らしいステンドグラスが施されている。そして、廊下の要所要所に絵画や彫刻が設置されている。
見てまわるだけで、お昼をすぎてしまった。
近衛兵たちには悪いけど、このまま庭園と厩舎も案内してもらうことにした。
色とりどりの花が咲き誇り、大きな噴水まである。昔の偉人か英雄かの銅像が建っている。
管理が大変よね。
花は、いつも咲いていないといけない。その時期にあった花を育てなければならないって、さぞかし大変だと思う。
庭園を抜けると森が見えてくる。
厩舎は、その森に寄り添うように建っている。
全部で三棟。大きめの馬場も三つある。
皇族の馬はもちろんのこと、近衛隊の馬も管理されているらしい。
馬を見せてもらいたかったけど、近衛兵たちもお昼抜きでお腹をすかせているに違いない。っていうか、わたしもすいている。
いつでも見に来れる。だから、また庭園に戻った。




