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2.『惚れ薬』
2.『惚れ薬』
「ふふふ、ついに完成してしまった・・・!」
先輩がまた変なものを作り出したようだ。
今回の発明はビーカーの中に入ったピンク色の液体。
先輩の話によれば、この液体を異性の相手に飲ませれば忽ち自分の虜にする事が出来るのだそうだ。
「・・・む。何だその顔は。さては信じていないな?」
別にそういう訳ではないけれど。
この顔は『どうせまた僕で試す気なんだろな』という時の顔だ。
「ならば証明してみせよう。田中、この薬を飲んで私を見つめてみてくれ。安心しろ、ちゃんと解除する薬も作ってある。」
僕は深いため息をつく。
「いいですけど、きっと失敗すると思いますよ。」
そう言って先輩からビーカーを受け取り、そのピンク色の液体を一気に喉の奥に流し込んだ。
それから数分後。
「ど、どうだ?何か変わった様子はあるか?」
「・・・別に何も。」
悔しがる先輩の姿を横目に、僕は再び深いため息をつくのだった。