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1.『滞納』
1.『滞納』
見知らぬ部屋のベッドの上。
おそらくあの子だろう。
はてさて、どうしたものか。・・・頭が痛い。
するとガチャリと部屋のドアが開く音がした──やはり彼女だ。
「おはようございます、先生。」
「・・・やあ、おはよう。」
いつもと変わらない笑顔と挨拶だった。
「お腹、空いているでしょう?朝食を作ってみました。先生のお口に合えばいいのですが。」
「・・・今度は何も入っていないだろうね?」
彼女はニコリと笑った。
「先生、何も心配する必要なんてないんですよ。これからは全てワタシに任せて下さい。先生はただ、ワタシに、身を委ねていればいいんです。」
心酔しきった瞳で、彼女はニヘラと笑った。
・・・やれやれ。
とうとう年貢の納め時が来たようだ。
こんな事ならば、十年前のあの日──いや。
まったく、滞納なんてするものじゃない。
「どうか、御手柔らかに頼むよ。」
そう言って、私もニヘラと笑ってみせた。