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美人乳湯

激戦を大勝利で飾り、妖精の国の平和を取り戻したアシガルパーティーは、その後ドバとダバらに頼まれた要件を済ませるべく動き出していた。



その間に妖精国とマンテス国との間に同盟が締結され、ここにマンテス国・獣人国・妖精国の三国同盟が発足、先に中央大陸に向かった獣人国の聖人ローウェンとエピカは精鋭を引き連れマンテス軍と合流し、魔軍と交戦していたし、妖精国からは後に防衛組長エダゴー・シンボと妖精(フェアリー)巫女(プリーステス)のオモチを筆頭にドワーフの精鋭ならびに救護隊として一級の妖精らが派遣されるのだが。




「お疲れっすー」

同僚に気軽に話しかけるように声を掛けながら温泉に浸かったが、アシガルはガッカリしていた。


(やっぱ混浴じゃないのか……)


しかしエロ路線をいかないゴウワンとアッパレは、露天風呂から観える妖精国の絶景と称される八木ヶ鼻(やぎがはな)を優雅に眺めながら返事をした。



「おぉこれは勇者殿! ささ、こちらに参られよ!」

「アシガルか! 観てみろ、あの絶壁の岩肌を! タイミングがいいとカモシカなんぞを拝めるのだそうだ!」


(なんだこの二人! のんびり気楽だなぁおい!!)


しかしアシガルは絶景よりも温泉の効能よりも女子達の声にあからさまに耳を傾け、薄い塀越しに飛来する桃色の会話に鼻の下を伸ばす。



「へぇ~ ラヴチューンもなかなかおっぱい大きいのね! だけどあたしの勝ちね!」

「はぁ!? どう見てもこっちの方が勝ってるじゃない!!」

愛姫子とラヴチューンはプルルンとバストでも勝負していたが、胸に自信のないマキとマタタキは黙って口まで温泉に潜りながら話題が逸れるのを待っていた。



(た、ためになる話してんなぁ!)



そこへ遅れて来た美菓子と小用で入浴が遅れていたインラバとミューロが合流し、さらにバスト対決はヒートアップ。

「なっ!? アンタそんなにおっぱいおっきかったの!?」

ラヴチューンはいつもはハーフマントに隠された美菓子の秘宝を知った。


「えっ?! 私ですか? エヘヘ、バストにはちょっと自信あるんだよね」

プルルンと巨乳を弾ませた美菓子は湯船にゆっくりと浸かると勝ち誇ったように愛姫子とラヴチューンを睥睨(へいげい)してみせた。



「そ、それにインラバも美菓子に負けず劣らずなわけね……」

「あらぁ、そうかしらぁ??」

「インラバ様は魔軍きってのセクシー幹部! スタイルも抜群に決まってますよ!」


愛姫子はセクシー幹部インラバの本領を知る。

「くっ、羨ましいモノつけてるわねぇ……」



羨まし悔しがる愛姫子とラヴチューン、そしてその両人よりもさらに羨望(せんぼう)の眼差しで美菓子とインラバの自慢の巨峰を拝んでいたのはマキとマタタキであったことは言うまでもない。



「愛姫子やラヴチューンくらいあるならまだいいわよ……ねぇマタタキちゃん」

「そだよ! でもアタイはマキちゃんと違ってまだ発展途上だかんね!!」

そしてここにチッパイ対決も勃発していくのであった。



(た、ためになる話してんなぁ!!)



ムッとしたマキはボソッ反論した。

「素早さがモットーのマタタキが胸を膨らませたら使い物にならないわね……」

「なっ……なんてこと言うの! 逆に膨らんだところでマキちゃんには無用の長物だよね~いっつもお堅いマントで身を隠してるんだもん!!」


それは愛姫子とラヴチューンとはまた違った物静かでボソボソと呟くような争いであった。



「!? なんだか女湯がさわがしいのぉ」

「まったくだ。この優雅な一時(ひととき)を静かに過ごせぬとは女とはうるさい生き物だ」

オジサン臭い二人にアシガルは溜め息をつきながら相談した。


例のシンとクイーンスフレをくっつける作戦だ。



「なんと!? 武辺者のシンにそのようなオナゴがいようとは!!」

「あの女王か? よかろう、俺はもはや浪人、弱気を助け強気を挫く存在。いくらでも協力してしんぜよう。なぁゴウワン!」



「ハッハッハッ! あの武骨者め、好いたオナゴを(めと)ることも出来ないでいたとは何とも情けない! よしっ協力するぞ、アシガル!」

豪胆に言ってのけたゴウワン。

そこへ遅れてきた入って来ていたピューロが、例のマル秘メモを取り出すと恋愛に関するパートを見つけ、つらつらと読みはじめた。



「重魔隊長ゴウワン、魔軍きっての怪力と部下を思いやる心の優しき頼れる存在」

他の三人はポカンとそれを見て聞いていたが、人差し指を突き上げピューロは続ける。


「魔軍購買部にて、いつも最新の翔魔(しょうま)隊長マタタキのブロマイドを定期購入している。購買部いわく、かなりの信者だという……」



それを聞いたアシガルとアッパレは驚きの表情でゴウワンを見たし、秘密をばらされたゴウワンは茹で上がったタコのように真っ赤になっていくのであった。



「あれ? オイラなんか悪いこと言ったっすか??」



つづく

今までの登場キャラで絶対温泉のシーンを書きたいと思ってました。

物語に登場する八木ヶ鼻の景観は地元に実際あります(^^)

実際ちょこちょこと地元のグルメやらを出したりしています!

背脂らーめん、イタリアン、笹団子、それにイチゴ大福と!

是非、ご賞味あれ☆

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