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誕生! マジカルフェアリー・美菓子

「美菓子殿、聞こえるか」

猛毒に侵された美菓子は朦朧(もうろう)とする意識の中で、かろうじて好意を抱いていたシンの声を聞いた。


「シン……さん……」

「今からあなたに精霊の加護を授ける!」

(精霊の加護……?)


「そう……今ここに四大精霊と契約を結んだ者が四人揃った。四つの力を一つにし、今からあなたに授けます……」


「いくぞっ! 大地の元素霊・ノーム!!」

「風の元素霊・シルフ……」

大地から盛り上がる黄金の精霊と空中で織り混ざった精霊は合体するかのようにそれぞれ元素霊へと形を変えた。



「ってことはあたしも!? よーし、火の元素霊・サラマンダー!」

とぐろ巻く火炎はサラマンダーを形作った。

今その三体の元素霊が美菓子の回りに集まったのだ。


「さぁ! 最後の、水の元素霊の名を呼べ! 美菓子よ」

美菓子は(かす)みゆく風景と元素霊らに背中を押されるように呟いた。


「み、水の元素霊・ウンディーネ……」

美菓子の胸元から水柱が立ち、噴水のように辺り一面に飛沫が散り、虹が輝いた。

その虹の先にウンディーネの姿があった。



「今ここに四大精霊(しだいせいれい)集結だ!」

「契約の名のもとに命ずる、フェアリーアップ!!」


四大精霊は赤・青・緑・金色の光となり、美菓子と混ざり合った。

「これは! この力は!?」

「精霊の力を心で受け止めるのだ!」

「それが新たなサトウの力となる……」


「美菓子ぉー!」

「美菓子ちゃん!!」



(精霊と心を一つに……おいで!)


美菓子の身体から虹色の輝く光が放出され、それが美菓子を改めて包み込んだ。


「フェアリー・アップ!!」

美菓子は妖精の天使のようにヒラヒラとしたマントを羽織り、セーラー服はそのままにブーツも帽子も脱ぎ去り、髪の色は金髪に、薔薇の弓杖もキュートな弓矢に変化、足元は翼が付いたヒールを履いていた。



「か、可愛いぃ!!!」

「美菓子の理想の服装! しかも金髪って……う、羨ましい……」

「のぉぉぉ!! 妖精! 天使!? しかもエロさもしっかり残すとは!? か、完璧だ……」


アシガルは卒倒し、愛姫子は眼が眩み、心眼の腕輪は鼻血のように目から血を吹き出すと沈黙した。



「今ここに(いにしえ)より妖精の国を司りし四大精霊の加護を授かりしマジカル・フェアリー・美菓子、誕生!!」


アニメの変身シーンを見せ付けられたかのような一行はポカンとしていたが、五明側はその絶大な力を得た美菓子を大敵と見なした。



「これは私も本気を出さないとやられるかもしれませんねぇ」

闇黒に光る瞳をギラつかせて、五明も己の魔力を最大値まで高め、今度は自ら仕掛けてきた。


「さぁその力を見せてみなさい! デビルスタン」

例の高速の杖の動きをヒラリとかわし、弓を構えた。

「レインボー・アロー! 発射(ショット)!!」

美菓子が放った矢は、虹色に輝く光に変わり一直線に五明目掛けていく。



「くっ、これはなかなか……」

なんと五明は素手でそれを受け止めると歯を食い縛った。

「はぁぁぁぁ!!」

漆黒のオーラを両手に集中させ、美菓子の放った一矢を弾き飛ばした。


「ひぇぇぇ……」

「五明もついに本気を出しはじめたか!?」

「あぁ、顔に余裕が見られぬ!」

アッパレとゴウワンは五明の表情に注目。



「ちょっとちょっとぉ、妖精の身なりするなんてズルくない!?」

「あたいもあんな格好したらもっとモテるかなぁ??」

インラバとマタタキは美菓子の見た目の変化で論議していた。



そんな中、五明が真の力を発揮、おぞましいほどの瘴気が周囲を取り囲んだ。

「確かに情報は頂きましたよ、ではそろそろお別れです」

五明はそう言うと瘴気が幾千幾万のコウモリに変わり美菓子を襲う。


瘴飛(しょうひ)瞬殺弾(しゅんさつだん)!!」



妖精の力を得た美菓子は今、五明の必殺の一撃を迎え撃つ覚悟で自身が会得した究極魔法を唱えるのであった。




つづく







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