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壮絶! 愛姫子×魔界の英雄・須頃

「ラヴチューンに続いて今度はあたしが暴れる番ね!」

獣人変化している愛姫子は久しぶりのバトルに血沸き肉踊るといった風なワクワク感を醸し出していた。



「愛姫子ちゃん! これっ!」

何処に隠し持っていたのかアシガルは愛姫子の愛刀・双俊(そうしゅん)の二剣を景気よく投げると、愛姫子はノールックで受け取った。


「これこれ! このフィット感。始めるわよっ」

愛姫子の合図に腕組みで無表情だった須頃(すごろ)もスルリと剣を抜いた。



「魔界の英雄の力を特と味わうがいい! 伝説の(なにがし)さん」

五明の一言で火蓋は切られた。


激しい刃と刃の交差する度に火花が散り、真っ赤な炎と真っ黒な炎が(ほとばし)った。


「魔界の英雄だと!? 知っているか? マキ殿!」

「……一度ビジョン様に聞いたことがあるわ。何でも魔王ジクイル様と魔竜王ヴォルクスとの激しい勢力争いが激化していた頃、優勢であったジクイル様をすんでの所まで追い詰めた魔族の剣士がいたと……」


「それがあの須頃とかって奴なわけ?」

「五明が言う魔界の英雄が私の聞いたその人ならね、インラバ……」


アッパレは何となく物知りなマキに聞いてみて驚いた。

その英雄は大昔、一度だけ自らの師であり、魔軍きっての実力者である陸鬼将(りっきしょう)オルドランと引き分けにもつれ込んだ程の実力者であると聞いたことがある。


「何にせよ、魔界の英雄なんて大それた異名を持つ者が二人といるとは考えにくい。奴がマキ殿の話に出てきた者でまず間違いあるまい」


インラバの質問にそう答えたのはゴウワンだ。



「そんなに強いのかよ、あいつ……大丈夫かな、愛姫子ちゃん……」

今や真っ赤な隕石にでもなったかのように烈火の如く燃え盛る愛姫子を心配そうに見詰めるアシガルであった。


「がんばれー! 愛姫ちゃーん!!」



「そこっ! バーニングスラッシュ!!」

「なんの! 魔鋼(まこう)の盾!」

須頃は盾を駆使して隙を付いて仕掛けてくる愛姫子の鋭い技の数々を防いでは攻勢に出る。


「くらえ! 魔神(サタン)交差(クロス)(ブレイド)!」

「くっ、ブレイズガード!!」


双方致命傷のないままかすり傷が増えていく。

獣人変化し、スピードも格段に上がっているはずなのに、なかなか須頃を捉えることが出来なかった。



「接戦って感じだけど、どちらも決めてを欠いてる……」

それは互いに究極の一撃でしか粉砕できないと混じり合った時に直感しているに違いなかった。


「ひぇ~……あたいと戦った時より全然強くない!?」

「あの頃はまだ己に疑問符を貼り付けたまま旅をしているようなものだったからな」

マタタキの素頓狂(すっとんきょう)な台詞に、知ったかぶった態度の心眼の腕輪が付け足した。



「なんだよ! お前、まるで愛姫子ちゃんがどんな試練に挑んで来たのか知ってる風じゃん!」

ポカッ

「いったいなぁ!何すんだよ」


「知ってるも何も、そもそも試練を受けさせる手筈は我が仕込んだもの! (すなわ)ち、己のコンプレックス(劣等感)を受け入れること!」


「愛姫子ちゃんの劣等感……スズキとかってことかよ?」

「ご名答! さすがは常日頃から愛姫子の尻を追い掛け回しとるだけのことはあるな!」



「では愛姫子も美菓子も自身の名への劣等感を排除し、受け入れ、スズキとサトウに誇りを持たせるための試練だったと?」

明晰なマキの分析に心眼の腕輪はアシガルの手を使って拍手した。


「その通り! 自分の何処かに劣等感のある者が世界を救える道理はあるまいて」


「じゃあ今の愛姫子ちゃんなら勝てるよな!?」

「それとこれとは話は別じゃ。だが……もし究極魔法を会得しているのならば話は変わるがなぁ」



「あたしの必殺技、受けてみなさい! 烈火爆流斬(れっかばくりゅうざん)!」

「出た! ラヴチューンを降した必殺の一撃!!」


それぞれは手に汗握る名勝負に釘付けとなっている。


もちろん全会一致で愛姫子を支持していることは勿論(もちろん)のこと、愛姫子の戦いは何故か人を惹き付け、魅了してやまない。

そんな一心不乱で純粋な闘志で溢れていた。



(ガンバレ愛姫子ちゃん! 出来れば少しはエロも欲しいところだよ!)


応援と要望をこっそりとやってのけるアシガルなのであった。



つづく



萬しくお願いします!

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