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その頃! ~アッパレ・インラバ~part2

「いっすかぁ? まず空鬼将(くうぎしょう)バルザーグ様はアッパレ様が言った通り、元々は竜人だったそうです。どういった経緯かは分かりませんが、竜人としてではなく、魔軍の一員として生きる道を選んだようです」



「竜人としての誇りを捨て、悪の権化となり果てた貴様を今この場を持って成敗いたす!」

「お堅い竜人族の成れの果て! 太古の昔より今、種族の数は減る一方! 変わらねばならぬ時に(かたく)なに生き方を変えぬ古き者達よ、魔軍の空鬼将バルザーグが根絶やしにしてくれる」



「なんかだいたい今の話で状況はつかめたわよね」

「ですね、ですがいくら将軍といえども竜人族全てを滅する力があるのでしょうか?」

「その辺はどうなんだ? ピューロ」


ピューロはページをめくりめくり、参考メモを見付けると読み始める。

「そうですね、バルザーグ様は魔参謀ビジョン様の助力を受け、さらなる進化を遂げた。らしいです! ですがどのような力を得たのかは不明!」


アッパレらはここは成り行きを見守るしかないとばかりにバルザーグと久遠と呼ばれた初老の竜人との対決に注視していく。



(いにしえ)より他の種族とは一線を画す我らが力、忘れたわけではあるまい! いくぞっ裏切り者! 竜人変化!!」


久遠はそう叫ぶと巨大な火竜に変化し、鋼の爪、灼熱のブレスをもってバルザーグを攻撃した。


「ひぇぇー」

「なんと巨大な力だっ」

「あれじゃバルザーグ様、イチコロじゃない!?」

「待って下さい! あそこ! 将軍の姿が……」


ミューロが指差した先には灼熱の業火の中、バルザーグが立っていた。

「老いたな、久遠殿。その程度ではもはや俺に傷を付けることすらできぬ! こちらも()くぞっ! 無限(インフィニット)変化!」



そう叫んだバルザーグもまた混沌の青黒い竜へと変化を遂げた。


「ひぇぇーまた強そうな竜だぁ……」

「しかし火竜に比べて力・魔力共に数段上!」

「これがバルザーグ様が得た新たな力?」



「そ、その姿は……」

「驚きましたかな? 古きを守るが故に到達することを拒んできた禁忌の変化! 全てを飲み込む魔界の竜にお前たち竜の()()()()が敵うと思うかっ!」


バルザーグの魔界のブレスは久遠を包み、どす黒い魔界の烈風が骨の髄まで揉みしだくようだった。



「よく聞け! 我ら魔軍とて無益な殺生はしたくない、よって全面降伏すれば竜人らの命の保証はする。そのこと、しかとし()()()()()に伝えよ!」


そう言うと久遠を解放し、わざと逃がした。


「よいか、ここを我が軍の全線基地とする! 無益な戦いは避け、竜人族からの返答を待つ!!」



一部始終を覗き見していたアッパレは静かに立ち上がると言った。

「行くぞ!」

「えっ? どこへ行くのよぉアッパレぇ」

「そうよそうよ!」


「決まっている! よ、妖精の国だっ」

(ははぁ~ん。今の壮絶な戦いに怖じけ付いたな? アッパレ様……)



「わ、我らは()に迷っただけのこと! 当初の予定通り、妖精の国にて新たな修行を開始する!」


アッパレはそれだけ言うとそそくさとザードに乗り込み、見付からないように静かにその場を離れるのであった。


(なんじゃ今の戦いは! 剣とか技とかそんな問題ではないではないかっ! クソォ……俺にも秘密の力とかがあれば……)



歯ぎしりして見付からなかった妖精の国を探すアッパレ一行であったが、何故か濃い霧は晴れ、眼前に妖精の住まう大陸が見えてきたのであった。



つづく

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