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突然の別れ、そしてそれぞれは今!

浮遊船はその見た目とは裏腹に速度をいつの間にか上げていたらしい。テラドマリ港を出発すると一直線に妖精の郷へと舵を取り数時間で到着した。


アシガルらが乗った浮遊船は今度は港等に着陸せず、直接妖精の城へと着艦し、一行は外気に振れ手足を伸ばして数時間にも及んだクイーンスフレの話とシートに納めていたその美尻を解放した。



そして一行は玉座の間へと通ると改めてクイーンスフレ、それに防衛組の組長エダゴー・シンボと対面した。


「話は船内で済ませました。元老院のダダ様をこれへ!」

出会ってからこれまで柔和な態度と(しと)やかさだけを放っていたクイーンスフレは城に着くと威厳と尊顔をも備えた完璧な女王様へと変わっていた。



「ダダ様をお連れしましたっ」

ダダ様と呼ばれた年老いたドワーフはジットリした目付きで骨董品でも物色するかのようにアシガルらを一人ひとり顔を近付けて観察した。



「この娘とこの娘じゃな。着いて参れ」

有無も言わさず指名されたのは愛姫子と美菓子であった。


「くくく……」

(やはり伝説のスズキとサトウを選びおったか)

心眼の腕輪は笑うとそう思ったが、ダダ様は心眼の腕輪がそこにあることを知ると人が変わったかのように口を開いた。



「なんじゃ! 心眼、オヌシもいたのか!?」

「当たり前だ! 我がこやつらを導いて来たに決まっておろうがっ」

「ホッホッ懐かしいのぉ! 今はお()りかえ? 時代はかわったのぉ」


「ほざけ! ドバは達者か?」

「おぉおぉ今だ健在じゃて。早速じゃがこの二人の娘、連れて行くぞい?」

「あぁ! 厳しく(しつけ)してやってくれ!」



一同は謎の会話に圧倒され、双俊の剣をアシガルに渡した愛姫子と美菓子は訳も分からないまま連れて行かれた。



「何だったの? 今の老年ドワーフは?」

「さ、さぁ? お偉いさん……ですかねぇ」

残されたアシガルと氷雨、二人の疑問に答えたのはシンだ。


「いかにも、元老院の重鎮、ダダ様はドワーフを束ねる王たる拙者のご先祖様。生きた化石。あいや生字引!」


「つーかシンさん王様なんすか?」

「それにしてはクイーンスフレに従っているし……」


「なぁに代表者が二人居ては統治が難しくなる。政治はクイーンスフレ、治安は拙者が司ることと二人で決めたまでのこと」



「なるほど……んでドバ様っていうのは誰なんすか?」

「同じく私のご先祖様ですわ。元老院は前聖戦を知る数少ない生き残り、あなた方を導く存在の一人と思って頂ければ」


アシガルと氷雨はそれからも次々と質問したが、内訳はこうだ。

連れて行かれた二人には厳しい試練を受けてもらい、究極魔法を体得してもらうということ。


そしてダダとドバは心眼の腕輪と前聖戦で共に戦った古い戦友 であること。


そして残されたアシガルと氷雨には特命があること。


「二人の試練てどれくらい時間がかかるものなんすか?」

「そうねぇ……それは分かりかねます。ですからあなた達お二人には特別な任を、妖精(フェアリー)巫女(プリーステス)の復活のお手伝いと、なんでしたっけ? 武具の修理でしたかしら?」



「そうでした! 俺も今のうちに剣の手入れとかしとかなきゃ!」

(わたくし)にも手伝えることがある?」


氷雨は愛姫子と美菓子が居なくなって、珍しくもアシガルと二人きりなのだと思うと、率先して手伝えることを探したし、この先どれだけの時間がかかるか分からない試練の最中に、必ず魔軍からの攻撃があると確信してシンとの防衛線での共闘を想像した。



そして唐突に試練という名の別れを経て、愛姫子と美菓子はどうなっていくのだろうか。



それぞれはそれぞれのやるべきことを一心不乱にこなしていくのであった。



つづく

萬しくお願いします!

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