激闘! その後~アシガルパーティー~
光魔隊長マキと海鬼将ラヴチューンとの激闘を制し、獣人国を魔軍の魔の手から救ったアシガルパーティーは疲労により気絶してしまったアシガルをローウェンが担ぎ、愛姫子を氷雨がおぶって王都へと戻った。
敗れたマキとラヴチューンは己らの敗戦に目を背けず、素直に敗けを認め、捕らえられるのか、それともその場で命を取られるのか。いずれにしても覚悟を決めていたが、
「おぬしらも相当な使い手であり、それなりに良心は持っていることと察して申すのだが……命までは取らぬ。まぁリーダーたるアシガルも伝説の片割れも今は気絶しておるが、恐らくは同じことを言うであろう。なぁ美菓子」
共に死力を尽くして戦い抜いた相手に笑顔を振り撒いた美菓子はニッコリと頷いて言った。
「そうですね。魔軍っていうからにはそれは残忍無悲なイメージがありましたけど、お二人は純粋に向かって来た訳ですし」
意外だったのは氷雨と侵略を受けてきたはずの獣人ローウェンとエピカであった。
「そうね。アシガルだったらきっとそうするわよね?」
「愛姫子様も慈悲の心で命までは取らないと俺も思います!」
「そうよね! なんだか悪い人達には見えないし……」
「ま、そういうことじゃ! おぬしら姉妹が今後どのように生きるかはおぬしらの人生! 苦もあれば楽もあろうて。さらばじゃ!」
リーダー代行として心眼の腕輪はそう言い残してパーティーはその場を去っていったのであった。
城では国中上げてのお祭り騒ぎとなり、ようやく意識を取り戻したアシガルと愛姫子は御輿のように担がれて玉座の間へと連れて来られた。
既にご馳走を前にして長いテーブルに美菓子も氷雨もローウェンもエピカもわざわざ村から招かれた村長も王様と共に着座し、歓談と会食とで盛り上がっていた。
「おぉ! 本日の主役の二人の登場じゃ! 皆々、今宵は無礼講! 存分に食し笑えや語れや!」
上機嫌の国王は北極熊並みの巨体で盛り付けられた見たこともない晩餐を平らげ、美菓子も相変わらずローウェンにピタリとくっつくとフォークで刺したソーセージなんかをしきりにローウェンに食べさせようとメロメロだった。
呆気に取られたアシガルと愛姫子だったが席に着くと忘れていた空腹感が襲い、モシャモシャとガッツ食いを始めた。まるで競い合うかのように。
「ほれほれ、これも食べなされや」
村長はお椀に盛られたお汁を差し出すと得意気に述べた。
「これは獣人国に古くから伝わるのっぺ汁じゃ! 元々は新年を祝う場に出される逸品! だが今日は祝いの宴! 特別に村で作らせ持って来た!」
「この世界にものっぺ汁があんの!? そういえばカレーラーメンもあったわよね?」
「そうなの! なんだか故郷に居ながらにして旅をしてると思わない!?」
「へぇ? そっちにはこのごった煮汁あるんすか??」
「勇者様! ごった煮汁ではありません! のっぺ汁です!」
笑いながらエピカに突っ込まれたアシガルは汁をそそると、
「美味い! 何これ!? 最高!」
と、ごちた。
その後マキとラヴチューンとの息も尽かせぬ死闘をそれぞれが語り合って勝利と解放を共に喜び、分かち合い、戦いの疲れを取るかのように永遠とべしゃっていくのであった。
(疲れたけど俺は満足だ! なんせ美女に囲まれた旅は刺激がおさまることを知らないんだもんねぇ。マキもラヴチューンも普通に綺麗だったし! うん! 言うことありまへんがな!)
と旅することを満更でもないなと鼻の下を伸ばしてエロつくアシガルなのであった。
つづく
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