決着! 美菓子×光魔隊長マキ!
「だけどピンチじゃないってどういうことよ? 心眼!」
心眼の腕輪はそんなこともわからないのかと言わんばかりの溜め息をつくと言った。
「よう見ろ! 閉じ込められてはいるが、身動きが取れないわけではない! それに、聞けば美菓子は敵の奥義を跳ね返したとか?」
そこで心眼の謎かけを解いたかのように氷雨が声を張り上げた。
「そうか! 閉じ込められているだけで、美菓子も前回同様に跳ね返す準備は出来るってことね!?」
「さすがプリンセス! ご名答じゃ! だがそれを美菓子が気付くかどうかが肝じゃ」
「教えてあげればいんじゃん!」
愛姫子はそう言ったが心眼も氷雨も同意はしなかった。
「これは美菓子の勝負じゃ。相手も本気になっている」
「そうね、真剣勝負に水を差すことは無粋よ? 愛姫子」
愛姫子はそう言われると、自分が戦っている時に助けを好まないことを思い出し、拳を握ってただただ応援することに徹した。
「それでよい! なぁにアシガルの煩悩パワーを注入すれば勝てるはずじゃ!」
愛姫子と氷雨は性犯罪者のような顔面のアシガルを見ると鳥肌をなで、美菓子を見詰めた。
「どうやら冷静さを取り戻したようじゃ!」
(どうしよう? ここから出られなければやられちゃう! だけどどうやら魔力を抑制する壁ではなさそうなんだよな……)
ゴソゴソと謎解き真っ最中の名探偵のように歩き回りながら打開策を探る美菓子はとうとう真相に辿り着いた。
(そうか! 私は一度はマキさんの光魔撃滅掌を跳ね返すことは出来た! 直撃の瞬間に壁を取り除くってことはここでこのまま防御態勢をとっていればいいんだ! 跳ね返したらカウンターをお見舞いしてあげれば……)
結論を出すと愛姫子並に行動力のある美菓子は例の本気パワーなる自前スキルを手のひらに集め始めた。
(まずい! 仕掛けがバレた!?)
「急いで! 姉さん!」
姉妹の心理作戦は瓦解しつつあった。マキもそれはわかっている。
「いくわよ美菓子! 光魔撃滅掌!!」
光魔隊長マキの最大の奥義は炸裂し、真っ直ぐに美菓子目掛けて薄気味悪い光となった。
(魔光閉塞、解除!)
壁は取り除かれ奥義は美菓子に直撃。
しかし美菓子は本気パワーでそれを押さえ込むと、
「私の本気パワーは誰にも負けないんだからぁぁ!」
格闘家のような気合いと共に見事跳ね返してみせた。
「姉さん!」
「わかってるわよ!」
前回は跳ね返されたことに驚き、うっかり受け止めてしまったマキ。だがラヴチューンの冷静な分析により避ければいいだけなのだと気付いていた。
マキはすんでのところで自身の技を避けると、まっしぐらに美菓子目掛けて猛進していく。
そしてそれは美菓子も同じであった。
「今じゃ! 煩悩照射!!」
「いっくぜぇー! 受けとれ! 美菓子ちぁーん!!」
真っ白なアシガルの煩悩パワーは美菓子に更なる力を与え、美菓子の戦闘力は飛躍的に増大していた。
「魔式闘武・光の手刀!!」
「本気パワー! 蒼の衝撃!!」
青い光と黒白入り乱れた光は激しく衝突し合うと攻めぎ合った。
「まだまだぁ! 美菓子ちゃんのおっぱいの感触ぅ! 水色のブルマぁ!!」
聞こえによってはただの犯罪者だったが、それが美菓子の真の力を呼び覚ます。
「絶対勝ちたい! 本気の本気パワー! いっちゃえぇ!!」
アシガルと美菓子は今、確かに一つとなり、マキもろとも盛大に吹っ飛ばした。
(くっこれが伝説のサトウの力か……)
ハリケーンに巻き込まれたかのようにとぐろを巻いて飛ばされていくマキ。
「やった! 勝ったよぉ!? みんなぁ!!」
美菓子は早速へっぴり腰のナヨナヨした乙女に戻っていたし、仲間らは歓喜に沸き立ち、美菓子を囲んだ。
アシガルパーティー二連勝!
(ぜはぁ……メッチャ疲れたんすけどぉ)
アシガルはそう思いながらもついつい美少女らの美貌に目を細めていくのであった。
つづく