連携にて候!
「まずはゴブリンと飛竜を私達で何とかしましょうか?」
「承知! エピカ、獣人国の選ばれた聖人としてお二人の戦いを援護するぞ!」
「はい!」
ローウェンとエピカの額に刻まれた三日月型の紋章が光ると同時に叫んだ。
『いでよ、フェンリル!!』
突如として辺りが暗くなり巨大な狼が遥か彼方から空を駆けて来た。
「な、なんだぁ!? 新手かぁ?」
ビクつくアシガルにローウェンは言った。
「違う! あれは我等が守護神、フェンリル狼! 狼族の選ばれた者にだけフェンリルの力を使うことが許されるのです!」
「そう、それが私と兄なんです!」
『フェンリル憑依!!』
荒々しい巨大な狼はローウェンとエピカを飲み込むように溶け込み、二人は今までにない大きな力を得てユニオンゴブリンとヒュージ飛竜と対峙した。
「なるほど。だから同行すると言い張ったのね。では、はじめましょうか!」
氷雨も時雨を抜くと構えた。
「フン! やってしまいなさい!」
マキの言葉にユニオンゴブリンは大木を引っこ抜くと振り回し攻撃を、ヒュージ飛竜は天高く飛翔すると火球を連続で放った。
「いくぞ! エピカ!」
「はい!」
エピカは祈りの態勢となって壁を作り敵の攻撃を跳ね返し、続いてローウェンは大きく跳躍すると、
「王狼大斬撃!!」
自慢の槍を思い切り薙いだそれは、まさに真空、かまいたちとなってゴブリンに命中。
「はぁぁぁ! 狼爪大射!」
続いてエピカは憑依したフェンリルの爪を矢に変え空を泳ぐ飛竜目掛けて射た。
ユニオンゴブリンとヒュージ飛竜に二人の攻撃は直撃し、真っ黒な噴煙をあげた。
「今です! 氷雨殿!」
時雨を構えてじっと神経を集中力させていた氷雨は煙の中の敵の位置を瞬時に確認すると疾風の如く駆けた。
「くらえ! 興野流刀殺法・流星斬り!!」
名刀はキラリと瞬間的に煌めき、気付くとゴブリンはバラバラに切断されていた。
間髪いれず大木の枝のしなりを利用して天高く飛んだ氷雨はもう一つ必殺技を飛竜へとお見舞いした。
「興野流刀殺法・月光突き!」
またしても名刀はキラリと一条の閃きを見せると飛竜の心臓部を一突き、串刺しにしていた。
「強い……」
マキは己が作り出した自慢のモンスターに自信があっただけに、ローウェン、エピカ、そして氷雨の実力を認めぬわけにはいかなかった。
「やった! ヒサ姉やるぅ!」
「凄い連続技だったっすねぇ」
(エピカちゃんの細身なボディもそそるなぁもぉ!)
「ローウェンさんの必殺技もカッコよかったねぇ♡」
「まぁこんなところかしら?」
「うまく決まったな! エピカ」
「うん! 兄さんもね!」
三人はハイタッチで勝利を分かち合い、アシガルパーティーの士気は俄然高まっていく。
しかし驚いたように見えたマキは冷静さを取り戻すと、ラヴチューンと何事か目と目で合図し合うと一歩前に出てきた。
「伝説のスズキとサトウ! 一対一の勝負を所望する! 美菓子! あなたはスズキ? それともサトウ?」
ローウェンにメロメロだった美菓子は名指しされると自分も一歩進み、
「私はサトウです。だけど美菓子って呼んでね」
と、ハニカムと一度は勝った相手ではあるが侮れない存在、光魔隊長マキと対峙していくのであった。
(が、頑張れぇ~! 出来れば露出多めでお願いしゃす!)
命懸けの勝負であるにも関わらず、相変わらずの煩悩勇者アシガルであった。
つづく
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