ヘタレで恋多き美菓子なわけで
「くっその姿は! 獣人?!」
「そうみたいね、なんか獣人の力を借りてるみたいよっ」
愛姫子とラヴチューンは空中で激闘すると肉弾戦で雌雄を決する死闘を繰り広げた。
「くらえ! ブレイズブロー!」
先読みして避けたラヴチューンは、
「お返しよ、海波拳!」
二人は必殺の一撃を間一髪で避けつつも目にも止まらぬスピードでなおも死闘を演じた。
「凄い! 獣霊石の力を愛姫子さんが使いこなしている! さすがは伝説のスズキさんですね! アシガル様」
しかしその言葉はアシガルには届いてはいなかった。
猛烈なバトルは目が利く獣人達にすら見えてはいなかったが、二人のエロボディを目に焼き付けたいアシガルは瞳孔を開きっぱなしで二人のバトルのスピードに食らい付いていたのだ。
「いいぞぉ! 激しい動きはおっぱいが揺れて最高だ! つーかブルマ丸見えの特別席を一人占めですやん!!」
いつも通り声に出して卑猥な単語を並べたてるアシガルを軽蔑の眼差しで見たエピカは、一歩距離を置いたことは言うまでもない。
そんな激闘の切れ間にお互いがお互いを認め合う愛姫子とラヴチューン。
しかしその戦闘はもう一つの侵略部隊の方面から巻き起こった爆発で中断することとなった。
(まさかマキ姉がやられたのでは!?)
集中力を欠いたラヴチューンを見ると愛姫子も構えを解いて訝しがった。
「どうしたのよ? 隙だらけよ」
「くっ時が欲しい! 今日はこの辺で切り上げるが今度はその命、貰い受ける!」
ラヴチューンはそう言い残すと残った部隊をまとめるとそそくさと退却していった。
「なんすかぁ? 敵帰ったんすか?」
「そうみたいね。なんか急に心配事が出来たみたいな顔してたわね、ラヴチューン」
アシガル部隊は見事に海鬼将ラヴチューンの部隊を退けてみせた。その勝利は魔軍に侵略を受け続けてきた獣人達にとって類をみない歓喜となって声を張り上げた大歓声となる。
「どうする? 美菓子とヒサ姉達が心配よね、今からでも向かいましょ!」
「あっそうだね、急ごう! エピカちゃん、道案内を!」
アシガルらは部隊を整えると美菓子らが戦闘を行っている方面へと急行していった。
美菓子と氷雨、そしてローウェンらが光魔隊長マキと対峙したところまで時を戻すことになる。
「物凄い数のモンスター……こんなのどうしたらいいのぉ」
開口一番ヘタレ込んだ美菓子であったが、戦闘態勢となった氷雨とローウェンはお構いなしにバトルを開始した。
「風の手裏剣、乱れ打ち!!」
氷雨はどこにそんなに所持していたのか指と指との間に手裏剣を挟むと上空の魔軍目掛けて投げまくり、十中八九を見事命中させてみせた。
「氷雨様やりますな! 俺も負けてはいられない! 弓兵、一斉射撃!!」
氷雨の勇姿に鼓舞されたローウェンは部隊に檄を飛ばしながら、自分も弓矢を巧みに使い確実に飛竜を撃ち落としていった。
「私だってやるときはやりますよ! ローウェンさん!」
ローウェンの気を引きたい美菓子は薔薇の弓杖を弓に変え、花弁を三枚むしると三矢同時打ちをやってみせ、そして敵をい抜いてみせた。
「おぉ! さすがは伝説のサトウさん!」
「もう! 美菓子って呼び捨てにして♡」
「フフ、美菓子はおねだり系の恋多き少女ね!」
三人の連携はビシッと決まり、魔軍を圧倒した。
魔軍は空が不利とみるやいなや上陸し、陸上でのバトルへと移っていった。
シュルルンと研ぎ澄まされた名刀・時雨を煌めかせた氷雨は愛姫子にも勝るとも劣らない俊敏さでライダーゴブリンらをバッタバッタと斬りふせたし、ローウェンも弓から自慢の剛槍へと武器を変え、渾身の力で振り回した。
「キャーキャー! カッコいい! ローウェンさん素敵ぃ♡」
「美菓子さんには敵のボスをお願いします故、今はそこでお休み下さい! 雑魚共は俺と獣人部隊にお任せを! それ一気に押しまくれ! 獣人変化!!」
『獣人変化ぇ!!』
獣人らはその秘めたる力を解放しライダーゴブリンらと戦闘を開始していく。
「美菓子みて! あの上空にいるのがたぶんボスよ! 二人で協力してやっつけましょう!」
美菓子は遥か上空を見上げるのであった。
つづく
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