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獣人変化! 愛姫子!

愛姫子とラヴチューンの激闘は続いた。

レベル5とは思えない戦闘力を誇る愛姫子と熱戦を繰り広げるラヴチューンは内心、伝説のスズキだかサトウに強烈な脅威を抱き始めていた。



(魔軍の鬼将(きしょう)相手になんという底知れぬ力を秘めているの? 経験を積めばどれ程の脅威になることか……)


しかしさすがの愛姫子も魔軍最高峰クラスを相手に息が上がってきた。

「はぁはぁはぁ……さすがはなんちゃら将軍! 相手にとって不足なしだわね」


()()()よ! その名の通り荒波のような激しい一撃をお見舞いしてあげるわ」

ラヴチューンはそう言うと、快晴の常夏を思わせた瞳を深海のそこのような暗い瞳に変え、巨大な魔力を爆発させた。


「いけない! このままじゃ愛姫子さんが……アシガル様! 愛姫子さんの支援を!」

「えっ? えぇ~!? 支援つっても俺なんも必殺技とか持ってないし……」



「……あ、あなたはそれでも勇者なんですかっ!」

(だって本当になんにもないんだもん……)

アシガルはただ黙り込んで情けない顔をするばかりだ。


「いいわよ! 助けなんて。あたしがラヴチューンの攻撃を(しの)いでカウンターにブレイズブローをくらわせてやるわよ!」

愛姫子もそう言って支援を拒否すると闘気を溜め込むように集中しだした。



「くらえっ! 荒波激海嘯(こうはげきかいしょう)!!」

ラヴチューンが伸ばした両手から暗闇の大海原の激流が放出され、愛姫子目掛けて大津波のように押し寄せた。


(今だっ)

シュッと敏捷に横に飛んだ愛姫子であったが、ラヴチューンに行動を読まれ、軌道修正させた一撃必殺の渦は愛姫子にダイレクトにぶち当たった。


「あ、愛姫子ちゃん!」

止めどなく攻め寄せる魔界の激流に両手を盾として防いでいた愛姫子であったが、ジリジリと後方へと押されはじめた。


「いけない! このままじゃ愛姫子さんは魔界の波にさらわれてしまうわ! アシガル様!」

「だ、だってどうしたらいいのか……」


「獣霊石をお使い下さい! その石に勇者の息吹を吹き込めばあるいは……」

アシガルは時間がないと悟るとエピカの言うままに獣霊石を両の手で挟むと強く念じてみた。


(頼む! 愛姫子ちゃんを救ってくれ!)

勇者の願いは聖気となって獣霊石に注入され、獣霊石はその気を受け取る形でアシガルの心に話かけた。



(ソナタの望みはなんだ?)

(愛姫子ちゃんを助けてくれ!)

(勇者の息吹を今しっかと受け取った。ソナタの望み、叶えてしんぜよう)


獣霊石は銀色の光沢を大空に解き放つと、その光は今まさに絶体絶命のピンチに陥っていた愛姫子へた降り注がれた。


(なに!? この猛り立つような荒々しい気は!?)

(ソナタに獣人の加護を授けよう! さぁ叫べ!)



愛姫子は考えている暇はないと突然心に聞こえてきた声の言うがままに大きく叫んだ。


「獣人変化!」


その瞬間、ラヴチューンの放った荒波激海嘯はかき消され、愛姫子を銀色のオーラが包み込んだ。


「どうなったんだ!?」

「見て下さい! 愛姫子さんが銀色の光に包まれて()()していきますよ!」

二人は愛姫子の変化がどうなるのか固唾を飲んで見守るしかなかった。



突如としてその銀色のオーラは天に地にフラッシュされたかと思うと獣人変化を遂げた愛姫子がそこに立っていた。


「チェッ! またアシガルに助けられたのね……まぁいっか。獣人変化・愛姫子、行くわよっ」


これまでを数段上回るスピードで空に浮遊しているラヴチューン目掛けて突撃していく愛姫子であった。



(おぉ! 露出度ハンパねぇ! ヤバイよヤバイよぉ! 獣のようで実は肌の露出が増えただけのボーナス変化じゃんか! 三角耳チョーかわえぇのぉ! ウヘヘヘヘェ)


と、それとなく煩悩パワーも蓄え始めるアシガルであった。


つづく

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