愛姫子vsラヴチューン!
アシガル一行はワープの井戸にて獣人の住む大陸へと大移動し、ほぼ中央に位置する都近くにワープしていた。
そこで離れ離れになっていたパーティーはそれぞれがエピカ、ローウェンという獣人と知り合い、彼らの村で獣霊石を受け取り国王に会うために都を目指した。
国王との謁見にて魔軍が新たに部隊を編成し侵略を開始したとの情報を得たアシガルらは獣人達との共闘作戦を展開、アシガル+愛姫子+エピカ部隊と美菓子+氷雨+ローウェン部隊に別れて迎え撃つこととなった。
アシガルパーティー、獣人連合軍。
迎え撃つは魔軍・光魔隊長マキ、そして三将軍が一人、海鬼将ラヴチューン。
「獣霊石を信じて戦いなされ、勇者よ! 我らが祖先が遺した魂の結晶を!」
国王の言葉に勇気と闘気を漲らせたそれぞれは北上していく。
「どんな敵が攻めてくるかしら? 楽しみね!」
「えっ? そ、そっすかぁ……?」
「愛姫子さん、頼もしいです!」
戦闘服に身を包んだエピカは眉毛を吊り上げて自分を鼓舞した。手には弓を携えている。
獣人偵察隊の調べでは魔軍の二部隊は東西に距離をおきながら凄まじいスピードで南下しているという。
北上していればいつか遭遇するということである。
そして遂に飛竜に股がる魔軍の大軍は空を黒く染めつつ、アシガルらの視界に入った。
戦いの火蓋は切って落とされ、大地から矢が飛び、空から飛竜の火のブレスが巻き起こり混戦となった。
「アシガル様! ここは私達獣人に任せて敵の大将を攻めて下さい! 獣人変化!!」
獣人らは口々に獣人変化と唱えると人間よりだった見た目は一人ひとりが小さな光に包まれるとそれぞれが獣と化して魔軍モンスターらと戦闘を繰り広げた。
双俊の二剣を構え、素早く上陸したライダーゴブリンらをバッタバッタと倒していた愛姫子だったが、エピカの声に呼応し、ビクビクしていたアシガルの手を引いて敵のど真ん中へと躍り出た。
「大将はどこぉ!? あたしが相手になってあげるわ! 出てきなさい!!」
他とは違う巨大な飛竜に股がる女戦士がゆっくりと降りてくる。
「我が名は海鬼将ラヴチューン! 獣人国を奪い、勇者アシガルとその一団を壊滅するために来た!」
(海鬼将!? それって隊長より上!? ってことはやっぱりもっと強いってことっすかぁ~!? 無理むりぃ)
はやくもへたれるアシガルと裏腹に愛姫子のワクワクは最高潮に達していた。
「強そうじゃない! マジックグラディエーター・愛姫子! 行くわよ!」
敵味方乱れての混戦が時が止まったかのように二人の戦闘に視線を注ぐ。
巨大な剣を構えたラヴチューンはどこからそんな力が沸いてくるのか、細い腕からは考えられないほどのスピードでその豪剣を振り回す。
愛姫子はその素早さを駆使してラヴチューンが振り下ろす豪剣をスルリといなして懐に入ったところで、
「くらえっ! ブレイズブロー!!」
渾身の力を込めてラヴチューンの鳩尾目掛けて魔法拳を放った。
避けきれなかったラヴチューンは防御に徹して少し後ろに跳ねた。
「チッ、やるわね、ラヴチューンだっけ?」
愛姫子の渾身の一撃を防いだラヴチューンはニタッと笑うと、
「お前が伝説のスズキかサトウか?」
と、問いかけたが、愛姫子もまた口で笑うと、
「あたしは愛姫子よ! ヨ・ロ・シク♡」
そう言ってまたぞろ仕掛けていくのであった。
(ヒェー……とんでもない戦いだ……ば、化け物ですか!? あんたらはぁ)
アシガルはそう思いながらもついつい愛姫子のしなるボディと敵将の洗練された肢体をムラムラと観察し始めるのであった。
つづく
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