表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/277

愛姫子フェロモン!

深い森の中、木洩れ日に照らされた勇者アシガルはその光を遮るように手で影を作ってムクッと起き上がった。



(えぇっと……なんだったっけ? 愛姫子ちゃんに手を引かれてワープの井戸に飛び込んだんだよな……そうだ、みんなは!?)


周囲をぐるぐると見渡したアシガルは倒れている愛姫子を見付けると駆け寄った。


「ふぅ。意識を失っているだけか……」


悩ましげに横たわる愛姫子は森林の女神のような美貌と健康的で抜群のそのスタイルで全てを魅了するようだった。


セーラー服のスカートから伸びる脚の付け根が見えそうな程めくれている。

アシガルはそのデルタの影を照らしたいと思ったが、それは煩悩パワーという不思議な力を宿した自分の本意ではないと珍しくも留まり、愛姫子を起こそうと擦ったが一向に意識を取り戻す気配はない。



(はっ! これは王子様のキッスで起きるというやつでは!?)


自己中心的かつ利己的な判断を降したアシガルは、

「愛姫子ちゃ~ん! いま目覚めさせてあげるよぉ~ん」

と、不気味な顔面と怪鳥のような囁きで愛姫子に迫った。


夢を見ていたらしい愛姫子はその瞬間、

「そう! そこであたしの必殺、瞬殺ボディブロー!!」

と言うと、見事アシガルの鳩尾(みぞおち)魔法拳(まほうけん)を繰り出した。



「ぐふぅぉおぉ!!」

アシガルは鍛えることの出来ない弱点を見事にとらえられ、うずくまって白目を剥いた。

「あれ? アシガルじゃん! どったの??」


「の、呑気に言ってくれますねぇ……さ、さすがは愛姫子ちゃあんだぁ……」

パタム。

今度はアシガルが意識を失ってしまった。


その後、なかなか目を覚まさなかったアシガル、その間少し周辺を調べて回った愛姫子。


アシガルが意識を取り戻した時には、どうやら美菓子と氷雨とはぐれていることに二人はようやく気付いた。



「どうしよう……ていうかここはどこなんだろ……」

「まぁここにいたって仕方ないわよね。とりあえずあっちに行ってみましょう!」


なんの脈絡もなく指された先へと歩き始めた二人は自然と愛姫子、アシガルの順番になっている。

もはやこれはパーティー内におけるルールだと言わんばかりに。


(ウヘヘ。やっぱ愛姫子ちゃんのお尻はいいよなぁ……それに長い髪が揺れる度にほんわかとやぁらかくていいニオイがするんだよ。たまらん!)



早速といっていいほど煩悩パワーを溜め込むアシガルに心眼の腕輪は囁いた。

「お前、もっと近くに寄ってもっと愛姫子フェロモンを頂くのだ!」

「なっ、久しぶりに喋ったかと思えばそれかよ! だ、だけど名案だな……」


ポカッ


「じゃからワレを師と仰ぎ尽くせと言っておろうが!」

「いってぇなぁ! エロ腕輪!」

「なんだと小僧! せいっ」


ポカッ


アシガルと心眼の腕輪との不毛な(いさか)いは続いたが、愛姫子がわざと誘惑するように歩いていることには気付いてはいなかった。


(ウフフ。今日も魅惑の愛姫子は健在ね♡)


フェロモンを振り撒く愛姫子と喧嘩しながらのエロコンビのデコボコパーティーは大きな古木の先で何事か揉め事が起きているのを発見すると息を潜め、古木から覗き見た。



(どうやら魔軍の雑魚に村人が襲われてるみたいね)

(どうしよう……どうしますぅ?)

(愚か者! 助けるという選択が出来ないのか、このエロ勇者が!)


シャキンと魔剣・双俊(そうしゅん)の剣を抜いた愛姫子は、

「決まりね、雑魚どもを一掃するわよ!」


と言って目にも止まらぬ早さで仕掛けて行く。



(み、見たぞ! 一瞬、あの段だらのスカートからピンクのブルマがぁぁ!!)


と言ってムズムズするアシガルであった。




つづく



よろしければブックマーク登録をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ