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目指せ最深部!

薄暗い洞窟内の探検を開始したアシガル一行は一列縦隊、一人ひとりがタイマツを持って先を横をと、照らしながら慎重に進んでいく。


中でも臆病気質な美菓子は常に片手を愛姫子の肩に固定しながらの歩みであった。


「ちょっとぉあまり引っ付かないでよ! 動きづらいじゃない!」

「だってぇ……怖いんだもぉん……」


「モンスターが横からぐわぁー! っと……」

「キャーキャーキャー!」


氷雨の冗談を冗談と取ることの出来ない美菓子は規定の肝試しのいいカモとなりジタバタした。

「ちゃっとぉ! 先に進めないじゃない! ヒサ姉もジョークになってないよ!」


「あら、ゴメンなさい。ウフフ」

(なんだが楽しそうだなぁ。モジモジした美菓子ちゃんもまた可愛いんだよなぁ)


「ん!? なんかいる! モンスターよ!」

「流石にゴブリンはゴブリンでもウォークやジャンプとは違うようね? 洞窟(ケイブ)ゴブリンよ! 素早いから気をつけて!」


「ふん! あたしの方が速いわよっ!」

愛姫子はタイマツを美菓子に手渡すと双俊の剣をシャキンと抜くとケイブゴブリンへと猛進していった。


ガキィンと火花が散る。ケイブゴブリンは石ころを武器にしているようだ。


「が、がんばってぇ!」

タイマツ二本持ちの美菓子はへっぴり腰で二本のタイマツを上げ下げして応援していた。

「一匹じゃないわよ! みんな気をつけて!!」



そう言うと氷雨もタイマツをアシガルに渡し、名刀・時雨をシュルルキィンと抜いた。


「が、がんばれぇ!」

タイマツ二本持ちのアシガルは躍動する愛姫子と氷雨を暗闇に慣れてきた目で追い続けながらもへっぴり腰の美菓子を見ることも忘れなかった。



「えいっ! やぁ!」

そこここで火花が散る、やはり暗闇の中ではケイブゴブリンが有利か。


「見えないから致命傷を与えられない!」

「こっちもよ!」


「なんか苦戦してますね」

「ですねぇ。でも見えないから戦いに加わると愛姫ちゃんと氷雨お姉様を攻撃しそうで恐いよね……」



「そうだ! 美菓子ちゃんの魔法で洞窟内を照らせばどうかな!?」

「なるほど! アシガルさん名案です!」


そう言うと美菓子はタイマツをアシガルに託すとスッと薔薇の弓杖を構え、

「暗きを照らす聖なる光よ、我らの行く先を明るく照らしたまえ! えいっ! 小さき稲妻(リトルライトニング)!!」


美菓子が唱えたリトルライトニングは戦闘中の洞窟内を照らしケイブゴブリンの姿を映し出した。


「美菓子やるじゃん! これなら一発で仕止められる!」

「えぇ! 行くわよ! 愛姫子!」

「オッケー! 全てを焦がす灼熱の炎よ宿れ! 灼熱斬り(バーニングスラッシュ)!」


愛姫子の必殺の魔法剣はケイブゴブリンを一刀両断に焼き尽くした。

「やったね! 次はヒサ姉の番よ!」

「わかってるわ!」


氷雨はそう言うと右手に手裏剣を持ち、素早く動き回るケイブゴブリンを目を閉じて気配で追った。


「そこっ!」

パッと見開いた氷雨は手裏剣を高速で投げた。

シュルルルルーと風を裂き、見事ケイブゴブリンに命中、即座に懐に飛び込み、名刀・時雨がキラリと光ったかと思えば、縦に横にと瞬時に十文字に斬り伏せていた。



「おぉ! 二人ともやるぅ!!」

「氷雨お姉様も愛姫ちゃんもお見事です!」


「美菓子の魔法のお陰よ!」

「えぇ! よく思い付いたわね。偉いわ美菓ちゃん」

二人に褒められた美菓子はエヘヘとぶりっ子して、

「アシガルさんが思いついたんだよ!」

と、とろけるような笑顔を振り撒いた。


「アッシーもたまには役にたつものね!」

「なかなかの機転の効かせ方! さすが勇者!」



それぞれがそれぞれを褒めちぎったところで、グングンと最深部目指して突き進むアシガルパーティーであった。



(魔法剣の美少女、魔法を使う可愛い子ちゃん。凛々しい忍者の匠の技! たまらんですばい!)



つづく


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