三本勝負10 ハートフル対決!?
男の胃袋を掴むお料理対決に続き、男を虜にするお色気対決も勝利したアシガルパーティー。
いつしか自信に満ち溢れていた美魔神・黄泉姫はその連敗によりすっかり戦意喪失か、立ち上がるのが精一杯であった。
しかし待ったなしの三本勝負は最終となる第三回戦へと即座に以降しゆく。
「えぇ、熱戦が繰り広げられてきましたお料理、お色気勝負ですが、遂に最後の一戦となります! 即ち、ハートフル対決! より素晴らしい内面を表現出来た者が勝つといったところでしょうか、伴峰さん!」
「だな! だけどよぉ黄泉姫もさることながら、残った愛姫子も性悪だかんなぁ……これはレベルが低い戦いになりそうだぜ」
龍神にして今大会の解説を司る伴峰はこれまでの戦いは外面はもちろんのこと、内に秘めたる優しさこそが勝負の分かれ目であり、バトル狂の愛姫子と全てを支配しようと目論む黄泉姫にそのような素晴らしい内面なるものを一ミリも期待してはいなかった。
確かに言われてみれば愛姫子の強さは全員が一目置くところではあるが、優しさや真心といった分野は全て氷雨と美菓子が担って来たといっても過言ではなかった。
最後の戦いがハートフルで、しかも優しさの欠片ほども持ち合わせてはいない二人の対決に観覧者はもとより、失礼ながら審査員らも気難しい顔をして二人を見比べたか。
唯一と言っては失礼に値するかもしれぬが、長嶺だけは愛姫子に期待しているようであったのだが。
勝手に低レベルと決め付けられた愛姫子と黄泉姫は全員に向かって毒を吐く。
「わらわはいつも寛大じゃ! それがわからぬのか愚民ども!!」
「あのねぇ、いくらなんでもあたしだって優しい一面くらいあるんだからね!!」
しかしその声は数多くの罵声に掻き消された。
「はぁ〜!? 戦闘狂のあんたに優しさなんて誰も期待してないのよねぇ」
「確かにな……期待するのはバトルだけだっつーの」
ここぞとばかりに反撃に転じたラヴチューンと呆れ顔をしてバトルだけが愛姫子の取り柄であると言い切ったのはバレンコフであったが、さすがに可哀想に思えたのか、フォローに回る者もちらほら。
「そ、そんなことないよぉ! 愛姫子ちゃんだって優しい一面くらいあるんだからぁ」
「そうよ。優しさでいっぱいよ」
第一回二回戦の勝利者、美菓子と氷雨は愛姫子を庇ったが、弱々しく、仕舞には互いを見合って苦笑し、愛姫子は観衆の度肝を抜いてやろうとメラメラと闘志を沸かせたか。
そんなこんなで第三回戦の始まりを告げたのは、ご存知すっかりお馴染みとなった実況アッパレのアナウンスである。
「えぇ、長らくお待たせ致しました! 第三回戦の準備が整ったようです! ハートフル対決でありますが、先程使用されたランウェイのゲートを利用しましてお二人には異空間へと旅立って頂きます! そこで起こる様々な事件や難題を持ち前の優しさと真心で解決していってもらい、両者のどちらか一方を選んでいただくというシステムとなっております!」
要するに異世界に設置された町を歩きながら手渡されたマップの順路を守りながら進んでいってもらい、行く先々で巻き起こる難題に対していかにスマートに、そして真心で落着させることが出来るかが勝負の鍵なのだという。
「今回もあれだろ? 有志による協力があるんだよな??」
「はい、そうです! 一回戦ではエプロン製作にスノー・クリスタルさん、二回戦ではインラバとルシカァーに協力を頂きましたが、今回も名だたる名脇役がひしめくマッピングとなっております! 転移後はこちらに設置してあります巨大スクリーンにてモニタリングしていくということです! それでは準備はよろしいでしょうか!? それでは最終ラウンド、ファイッ!!」
急にボクシングのような合図で開始された第三回戦ハートフル対決は始まり、先に連敗している黄泉姫がゲートに向かって猛進。
余裕をみせるつもりか愛姫子は黄泉姫に先行を譲る形で優雅にゲートに消えていった。
「これは二人同時にやるのか?」
「いい質問です! 先にゲートを潜った者から始まります! その間、次の選手は亜空間を彷徨っていただきます!」
そんなこんなで始まったアシガルプレゼンツ・理想の女性を選ぶ選手権大会の最終、第三回戦は開始されたのであった。
(クックックッ。さぁどう出る? 黄泉姫。そして愛姫子ちゃん。侮っていると足元をすくわれるぞぉ……)
というか三回戦目は滅裂だぞ、アシガルよ。
つづく
少しでも面白いと思って頂けましたら星をポチッと、ブックマーク登録されたらむせび泣きます!
萬しくお願い致しますです(`・ω・´)ゞ




