表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

251/277

三本勝負編7 魅惑のOL黄泉姫!?

 氷雨と黄泉姫は客席の中央部を真っ直ぐ伸びる狭いランウェイを歩ききり、改めてポージングして立ち止まった。

 言わずと知れた美貌の持ち主である二人の登場に会場はどよめき、抜群のスタイルに釘付けであったが、氷雨、黄泉姫の両者は見慣れぬ格好をしていた。



「氷雨選手、ならびに黄泉姫選手のトップモデルのような登場で第二回戦、男を虜にするお色気対決の始まりです!! まずは黄泉姫選手から見ていきたいと思いますが……これまた奇抜なコスチュームですねぇ? 解説の伴峰さん!」

「だな! なんかビシッとしててメリハリがあるっつーか、なんちゅうか……」


 黄泉姫のスタイルをうまく言葉に表すことが出来ぬ実況と解説者は、リポーター・ミューロを呼び、現地からの生の声を聞くこととした。

 黄泉姫についたスタイリストは魔軍きっての美魔族にしてファッションにうるさいルシカァーであった。

 リポーターの質問に、先の敗戦に消沈しながらも気を取り直した黄泉姫は、自信に満ち溢れた顔で流暢に語り出す。



「わらわのこの姿は、(いにしえ)の文献を元に、そこなルシカァーの協力のもと作り出されたO()L()()()()()じゃ!」


 自信たっぷりにハイヒールをコツッと鳴らし、腰に手を当てて場内を見渡した黄泉姫はこの世界では唯一無二の美貌に満ち溢れていたか。

 そんな黄泉姫の簡素な説明に付け加えるように補足したのはスタイリストとなっていたルシカァーだ。



「遠い昔、女性はこういった上下セットアップされた同色の()()()と呼ばれる戦闘服をまとい、男顔負けの戦績を残したのだそうです。上はテーラードジャケット、下はタイトスカート。ジャケットの下はまっ白なブラウスを着飾り、その豊満なバストを強調したんだとか」


 どうやらこの世界ではOLとは戦いに赴く職業であったらしい。そんな格好で果たして戦えるのか甚だ疑問であるが、黄泉姫はビシッと着こなしたスーツの上から胸を前面に押し出し、腰をくびらせてパンツラインがくっきりと現れたお尻をフリフリして場内の男性陣を惹き付けた。


「な、なんと! 見事なまでにエロボディを強調するコスチュームでしょうか! 上から下までどの角度からでも堪能出来る素晴らしい衣ですねぇ? スーツってやつは!」

「だな! それになんだ、あの脚が黒っぽくなってるのは? スカートの下にもなんか履いてるってことなんか??」



 実況や解説というよりは全男性の代表者のように褒め、そして疑問を呈する二人。

 そんな疑問にも満足気に妖艶な笑顔を振りまいた黄泉姫は、得意げに自身の美脚を指でなぞりながら言う。


「これか? これはパンストといってなぁ。生脚を包む薄手にして伸縮自在の美アイテムじゃ。どうだぁ? この薄くほんのり黒みがかったわらわの脚は! そそるであろう! ホホホホホ」


 膝上30センチにまで詰められたタイトスカートを際どい角度まで指で上げ、パンストといわれる黒く伸びる謎の物で包んだ程よい太さの太ももをこれでもかと強調した黄泉姫は、確かに手応えを感じていた。


(どうじゃ! わらわのこの美ボディと古のOLスタイルがあれば鬼に金棒! 無双じゃ!!)


 ランウェイ際に所狭しと居並ぶ観覧者達は黄泉姫の虜となって、こぞってその美貌のハイクオリティーを後世に残そうとフラッシュを焚いた。

 その度にチカッチカッと閃光が飛び、結果漆黒のスーツとパンストは銀色に光り、その光の屈折によるグラデーションはなおさら黄泉姫の色気を際立たせた。

 おまけにブラウスから見えるその谷間は褐色の肌と相まって、今にもはみ出しそうに揺れ、光を浴びて神々しい桃色の光を帯びていた。



「ま、まさに悩殺!! 何なんでしょう!? たいして露出が多いわけではないですが、男心を掻き立てるまさに魅惑の美魔神! 黄泉姫選手であります!! 実況としては失格かもしれませぬが……私アッパレはムラムラしてなりません」

「だ、だな! そうだ、最後に最大のお色気ポーズで終わるんだっけか??」


 もはや黄泉姫のエロに完全に当てられたアッパレと伴峰は進行さえままならなかったが、伴峰の言ったように一通りの己のコスチュームの説明が終わったら自信のあるポーズで締め括る段取りとなっていた。

 アッパレは妄想しっぱなしで、それでも最後の決めポーズを黄泉姫に催促した。



「決めポーズなぁ……それはやはりこれであろうよ」


 黄泉姫はおもむろに四つん這いとなって狭いランウェイの先を見詰め、両の腕で巨峰を締め付けつつも、誘惑するような流し目で言ってのけた。


「ねぇ、お願い……して♥」


 ドキュン。


 会場の男性陣は同時に胸を矢で射たれたかのようにビクッとしたが、黄泉姫はさらに畳み掛けるように、今度は真後ろを向くと、今にも捲れ上がりそうなタイトスカートに包まれたお尻を片方の手で抑え、黒く薄いパンストとスカートの合流点にまでその手を伸ばすとこう締めくくった。



「…………もう我慢できないの♥」


 第何回かは知らぬが我慢大会でもしていたかのように茹で上がった男性らはバタバタと倒れ、黄泉姫のプレゼンテーションは終了したのであった。



(う〜ん……やるじゃないか黄泉姫! エロいなぁ)


 顔をだらしなく緩ませたアシガルは興味深くそのOLスタイルの黄泉姫を目で侵し続けるのであった。


 なんだお前は。


 つづく




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ