三本勝負編6 第二回戦、お色気対決!
愛という名の真心で辣腕料理人、黄泉姫を打ち破った美菓子。
今度は応援に徹するように両の拳を握って眉を吊り上げていたし、第一回戦の敗戦者となった黄泉姫は、今にも崩れ落ちそうなそのダイナマイトボディを辛うじて支えつつも、次なる戦いに気持ちを切り替えていたか。
「えぇ皆様、お待たせしました! 第二回戦の準備が整いました! それでは両者前に! おっと、そうでした。アシガル陣営は誰が??」
美菓子は自分のノルマを達成したかのように、氷雨と愛姫子を順番に見渡しつつも、それを決めるアシガルに注目していた。
次なる戦いは色気対決である。
順当にいけば氷雨であろうことは衆目一致であったが、あろうことか名乗りを上げたのは周囲からガサツだとか散々言われた愛姫子であった。
「色気でしょ〜!? だったらあたししかいないでしょうが!」
「ガッハッハッハ! 愛姫子に色気とは世も末じゃ!」
「そうだぞ! 戦娘にはちと荷が重すぎるのではないか?!」
自信満々に立ち上がった愛姫子に対して相変わらずの豪快な笑いと愛のあるツッコミをかましたのは岳才とゴウワンであった。
そして自称、愛姫子の永遠のライバル、ラヴチューンも笑い転げながら否定したか。
「あんたに色気ぇ〜!? どこがよ!? どっからそんな自信が沸いてくるのよ。もう笑わせないでくれる?!」
「な、なんですってぇ!? あたしのこの脚線美が目にはいらないってぇのぉ〜!?」
またしても戦いを前に無益な諍いが会場を巡ったが、愛姫子を推す者達は一斉に決起し、否定派と一触即発となった。
審査員にして初めから愛姫子に求愛行動を取っていた長嶺を筆頭に、シンや何故かマタタキらは愛姫子にも色気はあることを強調した。
そんな騒然とする会場を静まらせたのは他でもない進行役にして実況を司る立場のアッパレであり、解説の伴峰であった。
「静粛に願います! 一回戦と同様にアシガルが出場選手を発表します! よろしくお願いします」
静かに立ち上がったアシガルは、やはり大方の予想通りパーティー内きってのボディの持ち主、氷雨を送り込んだ。
腕を捲って抗議でもしそうな勢いの愛姫子に、しがみつく形で美菓子はどどまらせ、実況アッパレに進行を促した。
「はい! それでは第二回戦の開幕です!! ご存知の通り二回戦は男性を虜にするお色気対決! 御二方にはこの後、用意された試着室にて自身のイメージしたコスチュームをまとって登場して頂きます。場内に設営されたランウェイを軽やかに歩いて頂き、より審査員に自慢の色気を見せ付けた側の勝利となります!! それではフィッティングタイム開始でーす!!」
氷雨と黄泉姫は互いに試着室を目指しながらも肩と肩をぶつけ合いながらプリンプリンのお尻を場内に見せつけ、試着室へと消えて行った。
そしてアッパレは補足を付け加えた。
「えぇ、お色気対決に際しまして、スペシャルサポーターとして魔軍きってのファッションリーダーこと色気と言えばこの人! ルシカァーさんと、これまた美のカリスマ、インラバの二人がとにかく悩殺ボディの持ち主である黄泉姫選手と氷雨選手をコーディネートすることとなっております!! 必見です!!」
アッパレが言った通り、この物語が始まって以来、数々の美少女から美女が登場してきていたが、その中でも特に抜群のスタイルを誇る両者のお色気対決に沸かないはずがない場内は、ムラムラとした熱気がこもり、今や遅しとばかりにランウェイの先、華々しく彩られたゲートに熱視線を向けるのであった。
「さぁ解説の伴峰さん! 両者いったいどのような格好で登場するのでしょうかねぇ?? 楽しみでなりません!」
「だな! マンテスの姫君にしてくノ一美麗忍者と悪の権化にしてハイクオリティーの美貌の黄泉姫だかんなぁ! マジでどんなコスチュームで俺たちを魅了してくれんのか楽しみ過ぎるぜっ」
そんな会話が延々と続く中、突然ミュージックが大音量で流れ始め、これまたどこでどのように手配したのか会場は薄暗くなり、二人が出て来るであろうゲートが眩いばかりの照明でライトアップされた。
待ちに待った二人は同時に現れると颯爽とランウェイを闊歩し始めた。
スラッと長い脚を軽快に、長くサラサラな髪をなびかせ、肩で風を切りながら歩く二人の姿に歓声が沸き、乳や尻や太もも、さらにはその出会った瞬間に惚れてしまいそうな整った顔に釘付けとなる観覧者と審査員、そして実況と解説者達なのであった。
(覚悟しろよ、黄泉姫ぇぇ)
アシガルはニタニタ笑いながらもその一挙手一投足を脳内に焼き付けるかのように、舐め回すかのように凝視しつつ心脅しをしゆくのであった。
だからなんなんだよ。
つづく




