決戦編終 三本勝負!?
これまでと大きく容姿を変えた黄泉姫は、それまでの鼻に付く声音までも変えて、褐色肌とぴちっとしたチャイナドレスによく合う、クリヤーボイスとなっていた。
「まさか表世界を掌握するにこの姿にまでなろうとは思わなかったぞ! 天界の愚か者どもへの切り札と思うたが、ここまでよく頑張ったそなたらに免じて全力を持って屠ってくれようぞ!」
はち切れんばかりにその抜群のスタイルを包み込むドレスは、たわわな胸を揺らし、男心をくすぐる絶妙な太さを誇る太モモからふくらはぎを強調するかのような際どいスリットは見応え充分であったが、それはアシガルだけが喜ぶ形となった。
「なんだなんだぁ!? 最高やないですか! なんで男ってチャイナドレスが好きなんすかねぇ。たまらん! 眼福過ぎる!!」
黄泉姫に脱帽しつつも、セーラー服姿のムチムチ美菓子とボディスーツに身を包んだ魅惑ボディ氷雨を眺めることも決して忘れてはいなかった。
「あれが魔神・黄泉姫の本気ってことね?」
「チャイナかぁ。私も一回着てみたいかもぉ」
「フンッ! デカ過ぎて垂れてんじゃない! あんな胸より張りのあるあたしの方がよっぽど健康的で男子は好きなもんよ。そうでしょ? アシガル!!」
いったいなんの話をしているのかとツッコミを入れる者は存在せず、残念ながら即答出来なかったアシガルはドSな愛姫子にもきっちりと欲情してのけた。
「まぁ好みは人それぞれっすけどねぇ。俺はもちろん張りのある方が好きっすけど、タレ乳も好きな人はいるだろうし、美菓子ちゃんみたいにタレる寸前の巨乳も、氷雨さんみたく爆弾みたいなのも好きな人はいるんすよ! はい!」
三種類に分類された三美少女らはほぼ同時に自身の胸を両手で掴むと、下から上へと上げ下げしたり横から内側へプルプル揺らしたりしていた。
それもアシガルだけが喜ぶ構図であったが。
「フハハハハハ! 雌雄を決する場面でのおふざけ。わらわは嫌いではないぞ! しかし刻が惜しい。早くこの表世界だけでも征服しておきたいでな。決着をつけようではないか!」
なるほどアシガルの不純な解説にも臆することなく喋る黄泉姫は一皮むけたかのように純粋な少女から大人な女性へとその内面までも変えたか。
黄泉姫は矛と盾を宙に投げると、両手で実り豊けき巨峰二房をグルングルンと揉み回すと、断言するかのように言ってのけた。
「やはりわらわの胸が一番じゃ! 世の男共は決まって大きければ大きいほど喜ぶものと相場は決まっておるゆえなぁ!」
謎の乳の揉み合いとなったその場で、やっぱり喜ぶのはアシガルだけであった。
「うほほぉーい! 何気に自分で揉んでるところをみるのもなかなかムラムラさせんじゃないか! 審査員は俺のみ! う〜ん……悩むなぁこりゃ」
即席バスト対決となった戦場を見詰める龍神らは、それぞれが各々の胸をまさぐる好景を生唾飲んでドキドキした。
「なんかわからねぇが嬉しい景色だぜ!」
「…………」
耳の良い海鏡はアシガルらの会話をすべて聞いていたが、自身の平らな胸元を見るにつけ、その会話の全容を立ち並ぶ人々には決して開示しなかった。
一度話してしまえば豊満な肢体を持つ者がひしめき合う連合内にあって龍神たる己の立場がなくなるからである。
そして無益に思えたバスト対決はなんの脈絡なく、唯一の審査員として君臨するアシガルの鶴の一声であらぬ方向へと動きだすこととなる。
「よっしゃ! だったらアシガルパーティー対黄泉姫で理想の女性勝負といこうじゃないか! もちろん審査委員長は俺だ!」
「はぁ? バトルはどうなったのよ!? けどそれもそれで面白そうじゃない? 美菓子!」
「そうだけどぉ……けど戦いよりはいっか。それに得意分野だったら絶対負けないんだから」
「これもアシガルの作戦てことね? だったら異論はありません」
相変わらずすんなりとアシガルの予測不能な言動に納得した三美少女らは、黄泉姫が乗るかそるか興味深く、そして挑発的に睨んだりしたが、時間がないと言ったくせに意外と乗り気でその申し出に食い付いた黄泉姫は豪語した。
「わらわは世界最高の女! 強さも美しさも、あらゆる全ての者を降すクオリティの持ち主ぞ! その勝負受けて立とうではないかっ」
それを聞いたアシガルはほくそ笑むと、いつ考え出したのか、三つの勝負を発表しゆくのであった。
「ます初めは男の胃袋を掴んだ方が勝ちとなる料理対決! 次により多くの男を虜にした方が勝ちとなる色気対決! 最後は溢れる魅力を表現した者が勝ちとなるハートフル対決だっ!」
ワクワクドキドキしながら拳を握って発表した審査委員長は即座に魔参謀ビジョンとテンガンに連絡を取り、即席ではあるが、魔城テラスに会場を設営。
世界の行方を左右するラストバトルは何故か理想の女性対決にて決着をつけることとなったのであった。
(グヘヘ。まだまだエロ場面に期待しててくれよなぁ!)
それは誰に言っているのだアシガルよ。
つづく
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