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決戦編16 絡まれに行く龍神さん

中央大陸目掛けて一直線に高速飛行する龍神・伴峰と海鏡。

一方は落雷が地平線と平行に進んでいるように見え、もう一方は湧き水が迸るかのようであった。


「おい、そろそろ中央大陸だぜ。その()()っつーのは何処だよ」

「あそこだ。中央大陸最北端、旭峠(あさひとうげ)……」


以前はサンジョー国であったその地には黄泉姫が世界を掌握した暁に全世界へと派遣するために駐屯させていた精鋭がひしめき合っていた。

百鬼に満たぬ兵力ではあったが、伏魔八鬼将を遥かに越える魔力を持ち、ヴォルクス四天王らと対等かそれ以上の実力者らが黄泉姫の下知を今や遅しと待っていた。



「いたぞ! あいつらか。よし、んじゃ一発()()()()()来るかよ」


ワクワクが止まらない伴峰は黄泉姫精鋭部隊の頭上まで飛行すると、なんとそのど真ん中へと降り立った。

初めこそ驚き、戦闘態勢を取った精鋭部隊ではあったが、暇をもて余していたことも相俟ってか、突然現れたバリバリの金髪ヘアーの謎の男、伴峰を取り囲んだ。



「おい若造。俺達を誰だと思ってんだ?」

「ちょうど退屈してたとこだぜ、遊んでやるぜ! 小僧」


しらけた顔をして上空にいる海鏡を見上げた伴峰は、GOサインを待った。

海鏡はあくまでも自己防衛のための戦闘であると主張するかのような無機質な顔で黙りを決め込んだが、荒くれ者が集まる黄泉姫配下の暴徒らはすんなりと事に及んでくれたか。



「聞いてんのかよぉ、このガッキャー!」

「おっと! 海鏡、これでいいな? 俺は俺を守るために動くんだからな。暴れたいためじゃないからな!」

「……わかった。やっちゃえ伴ちゃん」


精鋭部隊の拳をヒュルリと避けた伴峰、そしてその伴峰を唆すように一言呟く海鏡。

今ここに真羅八龍神がその力を示す。


「るっせんだよ! 雑魚どもがぁ! 龍虚雷霆(りゅうこらいてい)!!」


体内から激しい稲妻を爆発させた伴峰の強大な一撃は取り囲んだ精鋭達を一瞬にしてチリと化し、距離をとっていた者達はただならぬ霊力を持つ伴峰と上空の小さな少女を交互に見た。



「貴様ら何者だ!? 何故我らと戦う」


荒くれ者の中にも落ち着いた知恵者もいたか、問い掛けられては答えない訳にはいかなかったか、伴峰は八龍神であり、勇者アシガルらの助勢に参じたと声高らかに宣言。

名うての猛者達はそれぞれが得意の武器や魔法を駆使して伴峰と激突したが、本領を発揮するまでもなく、伴峰はバッタバッタと精鋭達をなぎ払う。


「くっそぉ! これでもくらえ!」


依然として上空にたゆたう海鏡へも攻撃は展開されたが、空を泳ぐように攻撃をさばいた海鏡もまた恒常化されたとばかりに追撃に出る。


鏡花水月(きょうかすいげつ)


突然空に水面が出現。

その水面に美しき華々が咲いたかと思えばそれらは精鋭部隊に爆弾のように投下され、峠一帯は濃い煙と焼ける匂いがたちまち立ち込めた。



「過激だなぁ海鏡! ストレスでもたまってたのかよ!?」

「……ウン……もうじっとしているのはウンザリだ」


八龍神としての責務を忘れ去ったかのように縦横無尽に黄泉姫精鋭部隊を壊滅に追い込んだ二人は清々しい顔で互いを見合うと、黄泉姫と最終決戦に挑むアシガルと愛姫子らの元へと急行し行くのであった。




――――――――――――




「待って! 私も戦うよぉ」


シンガンの死を目の当たりにし、ショックを受け塞ぎ込んでいた美菓子であったが、アシガルと愛姫子だけではとても勝ち目はないと思い、その豊かな胸を弾ませて立ち上がったが、アシガルはそれを止めた。



「いや、美菓子ちゃんはオモチと氷雨、それにシンガンを連れて魔城の守りを固めてくれ! またいつ城が襲われるかわかったもんじゃないから」

「で、でもぉ……」

「うっさいわねぇ! こんなこと頼めるのあんたしかいないって言ってんのよ!」



それでも顔を曇らせ納得出来ない美菓子をオモチと氷雨は説得、みんなを守ってこその勝利であると諭した。


「わかったよぉ! 全力で死守するね! その代わり絶対倒してよね、黄泉姫さん……」



そしてパーティー全員が忘れていたジクイルを回収し、美菓子は魔城のテラスへと後退。


(おぉ。さすがは共闘したサトウ! よくぞ余のことを忘れていなかったな。ウム。絶対にサトウもコンプリートせねば)



ジクイルのコンプリートの意味するところは分からぬが、アシガルの真の力を使ったラストバトルは始まる。


(今度こそそのエロい身体をいじめてやるからな、黄泉姫ぇ!)


内心はやっぱりそれか、アシガル。



つづく

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