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説明するわね! part2

「けど意外と魔軍の勢力は小さいのかな? なんて思っちゃうんだけど……」

「そうね。説明された感じではねー」


世界地図を広げ、勢力図で色を塗ってみると一目瞭然だった。

しかし氷雨は深刻な顔をして言った。



「そう見えるかもしれないけれど、どの国も協力的ではないし、どの国にも魔軍が侵略しはじめてるのよ。このままではいつどの大陸が占領されるかわからないわ……特に獣人国は今では半分ほど占領されているとか……」


「やっぱり違う種族だから協力的ではないの?」

ズバリ的中させた美菓子に氷雨は憂い顔で軽く目をつぶる。


「あたしらはドンドン魔軍のいる北を目指して行けばいいのね!」

楽観的な愛姫子に流石の美菓子も口を閉ざした。



「巨大な力を誇る魔軍に対していくら伝説の二人がいるからといって、それは胆略的よ! 愛姫子……」

「じゃどうすれば……」


アシガルは今後の行く末を占うかのように方針を氷雨に催促したが、

「それは勇者であるあなたが決めて行くのよ。アシガル!」

氷雨は厳しくも突き放すように言い放った。



(えぇー!? 冷たい! 氷雨さん冷たい!!)


沈黙し肩を落としたアシガルを二人は励ました。

「大丈夫よ! アシガル!」

「そうですよ! しっかりレベルアップしていきましょうよ」


まだ発足から僅かであったが、氷雨にはキチンと絆は芽生えているかに見えた。



「それでね、勇者アシガルの()()が必要になってくると思うのよ」

三人は氷雨を見ると何のことだとばかりに、はてなマークを頭に掲げた。


「やっぱり気付いていなかったのね? さっきの闘いで私は確信したわ。あなたの能力を……」

「お、俺の能力ってなんなんすか!?」


(つーかそんなものあったのか!)



アシガルは声に出したり出さなかったりと実に忙しい。

「あなたの能力。それはズバリ()()()()()よ!」


「へっ? 煩悩?」

「煩悩!?」

「煩悩パワー!?」

三人はそれがどんな力を持っているのか判断しかねたが、氷雨は続ける。



「あなたの煩悩パワーを愛姫子、それに美菓子に照射することによって二人は個人の力の数倍、いえ! やり方によっては数千数万倍に出来るはずよ!」


「えぇー!? 凄いじゃん、アシガル!」

「ほんと! 流石、勇者さんです!」


そこでふと疑問に思った事を呟く愛姫子。

「それってどうやって発動すんの? 煩悩パワー」


氷雨は天然で大雑把な愛姫子、それに同じく天然でおっとりした美菓子に真実を伝える時がきたのだと感じた。

それはアシガルにとっても長く険しい修行の道のりの始まりでもあった。



「それはね。あなた達、いいえ私も含めてなのだろうと思うけれど。アシガルは愛姫子の太ももを見て欲情し、美菓ちゃんの巨乳をみてムズムズし、私のボディラインを見て発情して作り出す力なのよ!」


「はぁ?」

「それってただのセクハラじゃ……」



何か膨大なしっぺ返しがくるのではないかと予見したアシガルは、その迫り来る危機的状況を打破しようと声をあらげて棒人形のように身振り手振りでギシギシと叫んだ。



「ち、違うんすよ! ちゃんと愛姫子ちゃんのおっぱいも見てるし、美菓子ちゃんの二の腕も見てるし、氷雨さんのエロい唇だって見てるし!! それにちゃんとそれぞれの御尊顔を拝してますよぉ!!」


火に油を注ぐとはまさにこのことか。

アシガルよ、言い訳の視点が違うのではないか。



迫り来る無言の圧力にジリジリと壁際まで後退するしかなかった。


(いやだって……ムラムラくるんすも~ん……)


まさに身から出た錆と言うことか。



つづく


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