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本丸編11 アシガル、走る!

「くらえ! レインボーアロー! ショット(ばきゅ~ん)!!」

「魔王・ビーム!」


美菓子とジクイルはおぞましい魔竜へと変化したヴォルクスを相手取り、攻撃を仕掛ける。

しかし鋼鉄の皮膚を持つ魔竜にはダメージをあたえるまでには至らず、逆に例の闇の咆哮を避けるので精一杯であったか。


「くっ! ヴォルクスめ、以前にも増して強靭になっているではないか!」

「ジクイルさん、もっと前に出て下さいよぉ」


最初の勢いは何処へやら、ヘタレ美菓子は全面にジクイルを押し出すと影に隠れてはショットを連発した。

それを見ていた愛姫子は深くタメ息を吐いたが、目の前に立ちはだかる憎き四天王に照準を合わせると息巻いた。



「言っとくけどねぇ、あたしも美菓子も本気で魔法を仕掛けた訳じゃないから!」

「フン。能書きはよい、さっさと伝説の力とやらを見せたらどうだ」


そしてヴォルクスをも凌ぐ魔神に本当の忠誠を誓っているという五明と長い時間睨み合っていたシンガンもまた、賢者の杖を握り直すと、そろそろ決着を付けなければとアシガルからふんだくった煩悩玉を握りしめていた。



「何を考えている? このままでは全員、この魔元城と共に広大な宇宙へと流されてしまうぞ」

「わかっていますよ。本当はこの城共々あなた方を宇宙の塵とする手筈だったのですが、どうも段取り通りにはいきませんねぇ。ここは一旦勝負は預けるとして、地上に降りたってから雌雄を決するということでどうでしょうか?」



また何か奇策でも弄するつもりかと疑ってはみたものの、確かに城は既に上空数千メートルにまで上昇していたし、三組が戦うには本丸では狭すぎた。



「アシガルよ、ここは一旦地上に戻るとするか。このままでは勝っても無事ではすまなくなるでな」


それを聞いたアシガルは早急に猫型ロボットのニッタさんを使い、ビジョンと連絡を取った。



「おぉ、アシガルか!? こちらも続々とこの城から脱出しておる! 真下は我らが魔城! ジクイル様が張り巡らしたバリヤーがある。いま順番に魔城へと脱出を試みているところじゃ!」


何かを決心したアシガルは、ちょうど戦いを始めていた愛姫子や美菓子にその通り伝えるとそそくさと本丸を抜け出して行った。

しかしそれには理由がある。

連合軍はまだ脱出し終わってはいない。そこへヴォルクスを始めロングサンらが乱入しては、先に長嶺らを逃がした意味がないと思い至っての奇行であった。



それはパーティーのメンバーならば用意に判断出来たが、ヴォルクスらは違い、まんまとその術中に嵌まり、今少し本丸に居座って愛姫子らと戦闘を繰り広げる結果となった。


「グワァハハハハ! 貴様らのリーダーは命惜しさに真っ先に逃げたぞ、可哀想な奴等よ、どれワシがもう少し相手をしてやろう! かかってこい」

「勝手なことをほざくでないわ! その首、余が貰い受ける!」


「さぁスズキとやら、早くかかってこい! ぶちのめしてくれるわ!」

「あ~ハイハイ。じゃあ()()いくわよ」



「?? アシガルは何を考えているのでしょう」

「頭脳君でもあの阿呆の考えは読めぬと見える。どれ、そろそろ我も身体をほぐすとするか」



アシガルは中庭指令本部へと急行すると、手際のよいビジョンを遥かに上回る手捌きでどんどんと連合軍の脱出を早めた。


「いいか、地上に降りたらアシガルパーティーが最後の戦いに入る! みんなは危ないから魔城から出るんじゃないぞ! 頼んだぞ!!」



もう一人たりとも犠牲者を出したくない一心で声を張り上げるアシガルは、いつの間にか世界のリーダーとなったかのようであり、皆がその声の主のいうことを聞き、伝令もまたスムーズであった。



「ビジョンさん、そういうことだからさ、頼んだぜ! 俺はまた本丸へ戻らないといけないから!」

「まて! アシガルよ、この輪を使え! 念じれば自由自在にオヌシの言うことを聞いてくれる優れ物じゃ!」

「あっそれはマンテスの科学技術も使われてますから!」


ビジョンとテンガンの好意に甘え、輪に飛び乗ったアシガルは再度本丸へと急行するのであった。


(まっててくれよぉ。俺がいないうちにエロい展開とかマジ無理だから!!)



お前、エロ展開を逃したくないから急いでいたのか。



つづく

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