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本丸編9 放て! 全力の押忍気功波!!

魔竜王・ヴォルクスは強さと猛々しさをイメージして名付けました。


強そうでしょ(^^)?

まぁ物語上、ドラクエⅢでいうところのバラモス的立ち位置でしょうか。

お嬢の仕込み杖による痛烈なカウンターに左肩を貫かれた氷雨は悲鳴を上げて悶え、内部に鉄板でも入っていそうな厚底ブーツによって強烈な蹴りを入れられ吹き飛ばされた。


その反動を利用して空中に舞い上がったお嬢は、己のダークネスドレスからトドメの一撃を繰り出した。


(くっ……すぐに攻撃が来るわ……)


激痛に顔を歪ませた氷雨であったが、それでもお嬢を一点に見詰め、ダークネス・フラッシュと対したその時だ。

背中に咲き誇っていた満開の月下美人は氷雨を守るように、いつの間にか氷雨の前面に現れていた。



「こ、これは!? どういうこと??」


氷雨は驚いたが、爛漫と光り輝く月下美人はダークネス・フラッシュを粉砕すると雲散霧消、ヒラヒラと花びらを散らして消えていった。


「月下美人がその力を振り絞って氷雨()を守りおったわ!」


アシガルの願いを聞きとどけるかのように文字通り華々しく散り氷雨を守った月下美人。そしてほんの一瞬ではあるがその場の時を止めるかのように花吹雪が舞っていた。


「チッ! しつこい。もう一度くらえ、ダークネス・フラッシュ!!」


間髪入れず第二射を放ったお嬢は今度こそは討ち取ったとばかりにほくそ笑んだ。


「氷雨さん!」

「立ってぇ! 氷雨お姉様ぁ!!」

「ヒサ姉! 根性見せてよ!」


絶体絶命の危機に直面していた氷雨は、三人の叫び声に答えるかのようにこれまでのどんな戦いよりも早く、そして優雅に大地を蹴りあげ、翔ぶが如く勢いで突進していく。


(ありがとう月下美人! 全力を出し切ってみせるわ!)


「ハッハッハッ! ついに観念して自ら飛び込むつもりか!」


ヴォルクスの甲高い喚き声が響いたが、衝突の瞬間、氷雨は逆手に持っていた時雨をフラッシュの中心部へと投げ、大爆風を起こしつつも相殺してみせた。


視界を奪われたお嬢は、それでもキッチリと距離を取っていたつもりであった。

だが氷雨のスピードはその間合いを一気に詰めた。

お嬢は慌てて防御の体勢を取ろうとしたが、時既に遅し。



「私の全身全霊を込めた一撃をあげるわ! 興野流刀殺法奥義・押忍気功波(おすきこうは)ぁぁぁぁ!!!」


お嬢の腹部の当たりに両手を重ねて照準を合わせた氷雨は、超強力なビーム砲のような巨大にして激烈なその一撃を発射。

瞬く間にお嬢を飲み込み、ダークネスドレスを一瞬で溶かし去り、大天井まで吹き飛ばした。

ぱらぱらと天井から崩れ落ちる瓦礫と共に、お嬢は地面に落下していく。



アシガルらは氷雨の奥義の、それも最大出力での一撃に驚愕し、生唾を飲んだが、シンガンは半裸状態となったお嬢を見ると油断は禁物とばかりに叫んだ。


「まだだ! まだお嬢は生きている」


その声に落下地点を見てみると、確かにまだお嬢は朦朧とする意識下にあってゆらゆらと立ち上がっていた。

さすがの四天王ではある。が、魅惑のドレスは溶け去り、ガーターベルトと今にも破れそうなビスチェ姿はもはや戦うことなど出来はしないと誰もがそう思った。



「ま、まだまだ……こ、これからよ……」


肩を押さえつつも歩み寄る氷雨は、もはや勝敗は決したとばかりに、お嬢に一言言った。


「確かにあなたは強かったわ。だけれども武具に頼りきっていたあなたには勝ち目はないわよ」


そう言い、焦げついた金髪から見えるおでこにデコピンをかますと、お嬢は白目を剥いて倒れ伏したのであった。



オモチに続き、氷雨も勝利し、残るは四天王ロングサンと五明、そして魔竜王・ヴォルクス。


その場に膝を付いて荒々しく呼吸する氷雨を愛姫子とアシガルは両側から抱き抱え、美菓子が手を引き仲間達が待つ場へと運ぼうとしたその時であった。

卑劣にも阿修羅の如き面構えで、油断していたアシガルらに集中攻撃を仕掛けたのはロングサンだ。


(!? 危ない! このままじゃ全員やられる!!)


その殺意に満ちた不意打ちに誰よりも早く気付いた氷雨は、最後の力を振り絞って愛姫子とアシガル、そして美菓子を全力でその魔の手から逃がし、愚劣なその攻撃を一身に受けたのであった。



「きゃあぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」


激しい衝撃波を受け、氷雨は悶絶すると度重なるダメージに、ついに気絶してしまった。


「ひ、卑怯だぞ! それでも武人かっ!!」


声を荒げたのはバレンコフと共に氷雨推しとなっていたバルザークであったが、いよいよヴォルクス勢らはその凶悪にして残忍な正体を現した。



「フハハハハ! 誰が一対一の勝負をすると言ったか! 油断したその間抜けな奴等が悪いのだ!」

「ハッハッハッ! それでこそ我が配下ぞ、ロングサン! この上はワシ自らが貴様らを血祭りにしてくれるわ!」


ロングサンとヴォルクスが一斉に総攻撃を仕掛けたことにより、傷付きもはや立ち上がることすら出来ないメンツを守るように対峙する魔王ジクイル。

そしてお嬢戦で負傷していたにも関わらず、自分達のためにその身を呈して助けてくれた氷雨を再度素早く救出しつつも、怒りに燃えるアシガルパーティーらも怒りの形相で立ち上がりヴォルクスとロングサンを睨み付けた。



怒りに震える真っ赤な炎を上げる愛姫子と、全てを凍りつかせるかのような霊気を今にも爆発させそうな美菓子は、正真正銘の悪を目の前に今、全力を持って立ち向かうのであった。



つづく

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