本丸編6 プリンセスくノ一・氷雨、全開! だが……
ヴォルクス四天王・保内。
闇妖精巫女としてオモチとは光と闇の対象的な存在として出しました。
魔界に妖精がいるのかと問われれば間違いなくいます。
私の想像する世界のはなしですが(^^)
オモチを圧倒するほどの力を保有するが故にオモチの本気を引き出す結果を招くということです。
名前は地元の地名から取りました。
「あらあら、あなたのお仲間はバージョンアップしたみたいですけど、あなたはそういうのはないのかしら? 見れば強力な装備を明け渡したように見えるけど。まぁいいわ、わたくしの名前はお嬢! 勝負ですわよ」
対面する四天王はお嬢と名乗り、氷雨にもなにがしかのパワーアップのくだりがないのか聞いてきたが、そっぽを向く氷雨の耳には入ってはいなかった。
「なんですって? 魔王ジクイル! 私を今なんと例えました?」
食い付くところが人とは違う氷雨は、険しい顔をしながらもジクイルに詰め寄る。
「いや……余はただソナタが美しい大人な雰囲気を持った御婦人だと言ったのだ!」
そう、ジクイルは最大級の誉め言葉で氷雨の美を表現したつもりであったが、ヴィーナスだとかなんとかよりも、御婦人というフレーズがどうやら気に障ったらしい。
「私はこう見えてもまだ19歳です! 愛姫子や美菓子とはそんなに歳は離れていません!!」
どういう訳か、自ら年齢を公開した氷雨はプリプリしながら、お尻をプリプリさせてお嬢に向き直った。
年齢よりもぐっと落ち着いた雰囲気を醸し出す氷雨は成人していると思われても仕方なかったか。
「ウフフン。そんなんでわたくしと対等に渡り合えますかしら?」
見た目も語り口調も名前にピッタリのお嬢は、手に持っていた傘を開くとグルグル回しながらピタリと肩に当て、氷雨を見下したが、戦闘開始前から少し苛立っていた氷雨は目付き鋭くも返答する。
「問題ないわ。私にも興野流刀殺法がありますから!」
そう言って忍者刀・時雨を抜き放つと同時に、豊満なバストの左脇のスイッチをオンにし、名工・ガンテツが戯れに作りしボディスーツ・月下美人の真の力を引き出すのであった。
「そういえば氷雨さんはじいちゃんの作った物を二つも装備してるんだったっけ」
今さらだが、言われてみればと四天王・ロングサンと対峙していた愛姫子とヴォルクスと戦うことを余儀なくされた美菓子は、極々自然に氷雨とお嬢の戦いを見守る格好となり、それは何故か相手方にも浸透しているから不思議であった。
「おっと動くなよ! 我も氷雨の全力をこの眼で見て見たいからなぁ」
刻の賢者シンガンにそう言われては流石の五明もピクリとも動くことは出来ずにいた。
(フン。相変わらず底知れぬ力を秘めたご老体だ……まぁ伝説のスズキとサトウならともかく、あの女忍者くらいなら魔神の破片を使えばお嬢でも楽に勝てるでしょう)
「いきなりフルブーストで行くつもりよ、ヒサ姉!」
「竜王の神器が無くても氷雨お姉様は充分強いもんね!」
愛姫子と美菓子はそう言いながらアシガルの目の前に並び、少し動く度にスカートがふわりと舞い、アシガルを虜にした。
(こ、このままずっとこうしていたい!!)
しゃがみこんでそんなことを考えていたアシガルをよそに、ついに氷雨とお嬢の戦いは開始された。
ドレスアップしたお嬢はその見た目とは裏腹になかなかの素早さを誇り、月下美人をフルブーストで挑む氷雨と対等に渡り合った。
「なかなかのスピードね! いくわよ、烈疾風手裏剣・火炎!」
「へぇ~珍しい武器を持っているのね、だけどもムダよ、ゴシックパラソル! お嬢をお守り!」
急制動の後、瞬時に高額にして高性能手裏剣を投擲した氷雨であったが、その摩訶不思議なパラソルの手前でスルリと軌道が逸れ、壁に突き刺さった。
「!? 今なにをしたの?!」
「ウフフン♡ わたくしのパラソルは無敵ですわよ。どんな物理攻撃も通じはしなくてよ」
一瞬立ち止まり、何が起きたのか確認した氷雨は、それならばと、今度は得意の忍術で対抗した。
「だったらこれはどうかしら? 興野流刀殺法・百花繚乱!」
天高く跳躍した氷雨は妖精国で放った術を繰り出した。
何千という花が咲き乱れ、その鋭い茎が色とりどりの色彩を輝かせながらお嬢目掛けて豪雨のように降り注いだ。
「あぁ。それもムダよ。跳ね返しなさい、ダークネスドレス!」
パラソルを脇に逸らし、お嬢がまとうドレスから五色の光が生まれたかと思うと、それらはお嬢を守るかのように混ざり合い、禍々しい鈍色の壁を織り成し、氷雨の百花繚乱は全て弾かれてしまった。
「な、なんだよあれ! これじゃあ氷雨さんの攻撃が全部お嬢に当たらないってことじゃないかよ!」
アシガルはその完璧な防御を誇るお嬢にではなく、何故かシンガンにツッコミを入れた。
「我にいちゃもん付けてどうなる! それよりも煩悩照射はどうした!」
慌ててアシガルは照射のタイミングを見たが、氷雨はまだ早いとばかりに手を広げてアシガルを止めるのであった。
(まだいらないんすか? じゃあ俺はまだプリプリのお尻を堪能してもいいってことだよね? たわわなおっぱいもまだ見てていいってことっすよね!?)
アシガルはまたしてもしゃがみ込むと無言で氷雨のダイナマイトボディを凝視するのであった。
ほんとこいつ、なんなの。
つづく
本日も尚一層、萬しくお願い致します!
ブックマークが増えることを切に願う次第なのであります(*`・ω・)ゞ




