二の丸編11 五明暗躍
魔界十鬼衆に続き、魔技場に登場する魔装二十四隊ですが、当初は十鬼衆のように名前も戦いもじっくり書くつもりでした。
ですが物語の進行上、時間がかかりすぎるため、またオルドランの一騎当千の強さを強調したいが故にまとめた倒される不遇の扱いとなりました。
けっして十鬼衆に劣っているわけでもなく、その後に戦うことになる伏魔八騎将に次ぐ実力者のあつまりと思って頂けたら幸いです。
今回は出番がなかったということで、許せ、魔装二十四隊!!
オルえドラン等がそれぞれの想いを胸に二の丸を制圧し、本丸へと向かい、アシガル等がそれに追い付くために駆けていた頃。
特別アリーナであった本丸では、魔竜王・ヴォルクスが最後の要と召集した四天王が勢揃いしていた。
そしてそこには四天王の一角としてこれまで暗躍してきていた五明も何食わぬ顔でいた。
「これはこれは魔界の頭脳殿! 魔技場での失態、どう責任を取るおつもりかな?」
「アハハ! 所詮はヴォルクス様に取り入って幹部に登り詰めただけだものね。あたし達ほどの実力は元々ないし、忙しく動き回るしか脳がなかったということなのかなぁ?」
ヴォルクス四天王の二名は五明を嘲笑い、もう一人の女性四天王は黙ったまま鋭い視線を五明と脇に控える直江に向けていた。
そしてヴォルクスもまた、五明が単純に自身の配下となっているのだとはもはや思ってもいなかった。
「五明。あの時、オルドランを逃がしたこと、貴様の手落ちぞ! 見てみろ、やはり奴は他とは違い我等が脅威となっているではないか! それに魔技場での失態。なんたる様だ! それで魔界の頭脳とは聞いて呆れるわ!! ……貴様なにか企んでおるのではあるまいなぁ」
ヴォルクス軍最後の砦たる四天王とヴォルクスに激しく責められた五明であったが、相変わらずの余裕振りで対応する。
「確かにオルドランを逃がしたことは失敗でしたね。それに魔技場ではこちらの動きをあの謎の賢者に全て抑えられました。もちろん異論はございません。ヴォルクス様を真の覇者にするための企みしかしてはおりませんよ」
その鼻につく言い回しにさらに厳しく責めたのは四天王最強の誉れ高きロングサンだ。
ヴォルクスに長年仕える実力者だけあってか、鎧も剣も最上級の拵えであり、重厚感のある低い声で五明を見据えて言う。
「確かにオルドランは魔界にも知れ渡る程の実力者であろうが、ヴォルクス様の大事な手駒であった須頃を戦闘不能にしたこと、これは重罪ぞ!」
「わかっていますよ。ヴォルクス様の世界制覇は目の前まで来ています。事が成った暁には以前よりも一層強い者共が跪き、平伏すことでしょう! 今度は私も全力で相手を屠ることに専念致しますよ。それに四天王の皆さんにはパワーアップアイテムを用意していますので」
五明はそう言って直江に指図し、四天王に魔神の欠片を配らせた。
「もしもピンチにでもなったらお使い下さい。ここ本丸で目障りな輩を始末すると致しましょう」
その言葉を聞くとヴォルクスは囚われのジクイルに目を向け、機嫌を直した。
「だそうだ。ジクイルよ、お前の可愛い部下どもがもうすぐここに辿り着く。その時こそ我が四天王を持って一人残らず血祭りに上げてやろうぞ! ハハハハハハ」
ヴォルクスは並々ならぬ信頼を寄せている四天王の気合いに気をとられ、五明がそれぞれに渡したアイテムが何なのかを見落としていたが、ジクイルは違った。
(フンッ! オルドランとバルザーク、そしてバレンコフがそう簡単にやられるもはずはない! しかし余がこのままでは弱みとなりかねん…………どうしたものか……それに魔神の欠片だと!? もし本物なればいよいよまずいこととなるが……)
オルドラン達を信じるが故に囚われの身となっている自分の不甲斐なさに憤り、魔神の欠片に底知れぬ力を感じるジクイルであった。
そんな中、ヴォルクスらに気付かれぬように背後に回った直江は小声で話し出した。
(折りを見てあなた様を解放致します)
(!? 何故じゃ? お前は五明の……)
予期せぬ申し出に、ヴォルクスらにばれないように平静を装うジクイル。
(話しは後程……)
(……どういうつもりか知らぬが、余が解放された暁には、ヴォルクス! 貴様だけは余が自ら天罰を降してやる!)
(作戦は順調そのもの……バカな奴らだ。フフフ)
そして五明は内心ほくそ笑むのであった。
オルドランらは途中、追い付いて来たアッパレらと合流。
オルドラン、バルザーク、バレンコフ、長嶺、雲月、そしてアッパレ、インラバ、前戯、ラヴチューン、使い魔のピューロの亡骸をミューロとロキスが大事に抱えながらも、ついに本丸へと辿り着いたのであった。
「オルドランとその他の者達よ、よくぞここまで辿り着いた、誉めて使わす! どうだ? 無能なジクイルに加担するのはやめにして我が傘下に入ってみては! ガハハハハハ!!」
強大な魔力を放ったヴォルクスの前に四天王が並び、今まさに頂上決戦の火蓋が切られるのであった。
(ジクイル様! 今すぐお助け致す!)
オルドランらはダメージを負った身体を酷使し、四天王らと対峙するのであった。
つづく
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