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二の丸編10 思いそれぞれ~魔軍幹部~

魔界十鬼衆最後の二人ですが、愛姫子と美菓子のチートさを強調するが故に名前すらなき存在となってしまいました(-_-;)


一応はリーダー的な人物を考えていたのですが、まず美菓子はふて腐れながら名乗らせる場面を作らず、愛姫子に至っては自ら名乗らせないセリフまで吐く始末です。


まぁこれも個性と思い、今後もお付き合い下さい(>_<)

オルドランとバルザークが過去を振り返り、ジクイル救出を絶対の目標と掲げる一方で、その二人に従うバレンコフもまた魔軍幹部として覚悟を決めていた。



「どうしました、()()()()()殿!」

「ん!? 顔が真っ青ですぞ! トリンコフ殿!」



オルドランらと共に行動していた竜王・長嶺とマンテス王子・雲月は二人ともほぼ同時にバレンコフの異変に気が付き、そしてほぼ同時に名前を間違える高いシンクロ率を誇った。



「だからよぉ、バレンコフだっつーの!!」



しかしバレンコフにとってそれは何故か心地よくも心が温まる思いであったから不思議である。

元々バレンコフは魔界から送られた刺客としてジクイル暗殺を遂行する雇われの殺し屋であった。


気性の激しいバレンコフはいつも孤高の存在にしてアウトローであるが故に、いつも一人で生きてきていた。

そのうち誰かに殺されることを待ちわびる心の冬をもう何十年と過ごしてもいた。


「フンッ! 生きていれば必ず死ぬ。俺は一人で構わねぇ」



そんな強がりを胸に鉄壁の防御システムを誇る魔元城に侵入したまではよかったが、すぐに取り囲まれ、絶体絶命のピンチとなったが、魔軍内にて絶大な力を持つようになっていたバルザークと対面し、その人生が大きく変わることとなる。



「魔界からの暗殺者か。フフッ」

「テメーなにがおかしんだよ!」


「いや……実は俺も世界指名手配を受ける身。しかも罪名は主の暗殺」


バレンコフは予想外の敵の告白に戸惑い、言葉をなくした。


「テ、テメー。主を殺してよくも無神経に生きてられるなぁ」

「フッ。最後に受けた命令を守るためさ。この身命を賭してでもな」



バレンコフはその後、バルザークがどのようにして魔軍に入軍したのかを聞かされた。

バルザークは荒みきった目をするバレンコフを何故かほってはいけないと思い、こんこんと説いた。


「フンッ! 俺に主取りをさせて、この魔軍内で丁稚奉公(でっちぼうこう)させる気かよ」

「貴様程の腕があればすぐに士官となれよう。ここは実力至上主義だからな。そうだ丁度良い相手がいるのだが」



予想外の方向へと進んだバレンコフの処置であるが、広い訓練場のようなところへ連れてこられたかと思いきや、荒々しく喚き散らす巨体が視界に入った。



「いつまで待たせるかっ! 早くワシの実力をみたくはないのか!!」


黙ってその巨体を見るしかないバレンコフにバルザークは補足する。

なんでも魔軍への参入を志願する武者修行者とかで、名前はゴウワンというらしい。自慢の鋼の肉体を見せつけながらも巨大な戦斧(せんぷ)を軽々と振り回し、周囲を威嚇していた。



「お前の強さを魔軍の者に思い知らせてやったらどうだ?」


志願したわけでもないのにすっかりバルザークに手玉に取られた気はしたが、捕らえられ自由を奪われた鬱憤(うっぷん)を晴らすには丁度良いとばかりにその気になったバレンコフは、前に出ると大声で叫んだ。



「ごちゃごちゃうるせーぞ、木偶(でく)の坊! さっさとかかってこいや」



すべての経緯を高い位置から観ていた魔王ジクイル、魔参謀ビジョン、そしてオルドランは魔界からの刺客と、魔軍に仕官を求めてやって来たゴウワンの一騎討ちを興味深げに見詰めるのであった。



「面白いことになったではないか、オルドラン」

「二人ともなかなかの手練れと思われます。我らの新たな戦力となるのではありませんか? ジクイル様」

「フフフ。まずは二人の実力を見てみようではないか」



「いくぞ! 小僧!!」

「やかましい! 筋肉バカ!!」



二人は激しく衝突し合うと、互いに一歩も退かぬ壮絶な戦いを展開したが、実力は拮抗し、引き分けに終わった。


立っていることもなままならないほどダメージを負ってはいたが、最後には互いの強さを認め合い、尻もちを付きながらも笑い合うバレンコフとゴウワン。


そして戦いの一部始終を観ていたジクイルはそんな二人に言葉をかけた。


「ゴウワン! そして刺客の鳥! ともに天晴れな戦いぶりであった! 二人は今後の魔軍にとって得難き人材と認める! 我が配下となり、世界をコンプリートしようではないか!!」



「ケッ、好き勝手なことを言いやがって……」

「よいではないか! せっかく入軍の許可も降りたことだ、二人で幹部にでも登り詰めようだはないか! バレンコフ」


その言葉に初めて他人と心を通わせた気がしたバレンコフはニタリと笑うと入軍を決意。



かくしてゴウワンとバレンコフの二名は正式に魔軍入りを果たし、バレンコフは特攻隊長として、ゴウワンは力押しの魔軍のパワーファイターとしてジクイル軍にとってなくてはならない存在へとなっていくのであった。


そしてその後、陸続と現行幹部らが集結することとなる。



つづく




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