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二の丸編9 思いそれぞれ~バルザーク~

魔界十鬼衆クインロンド。

くの一忍者・前戯の対戦相手として登場させたキャラで、SMクイーンを想像頂ければ幸いです。


口調も攻撃も過激な設定で、名前は女王と輪舞をもじってつけました。



そして本編はバルザークの昔話からいよいよ、本丸編へと移っていきます!


本丸を目指すオルドラン達は長い階段を登りつつも奇しくも互いに顔を見合うとついつい笑みを漏らしてしまっていた。



(そうであったな。俺が竜人国を亡命した時もオルドラン殿はこのように笑顔で迎えて下された……)



竜人国にて竜王・炎舞(えんぶ)のお側御用の任務に付いていたバルザークはある晩、不治の病に苦しむ炎舞のご機嫌伺いのため、執務室を訪れた。


類い希な才能と情熱、そして誰よりも強い霊力を誇り、群雄割拠の竜人国を一代で平和な国へと変化させた炎舞を竜人らはこぞって敬い、そして慕っていた。



しかし真羅八龍神(しんらはちりゅうじん)としての務めを果たし、残りの人生を竜人国の平和のために注ぎ尽くしていた炎舞は余命幾何(いくばく)もなく、いつしかその巨大な霊力さえも衰え始めていた。



いつも側に侍っていたバルザークがそれを一番よく理解していたこともあり、城内に(うごめ)く不穏なオーラを敏感に感じ取り、炎舞の警護に着くつもりであった。


だが時既に遅し、不治の病が発症した隙を付かれ、何者かに不意をつかれて炎舞は絶命寸前であった。


「えっ炎舞さま!!」

「バ、バルザーク……お前に頼みがある……」



命尽きるその時、竜王はバルザークに遺言を残した。

それは肌身離さず持っていた秘宝を邪悪な者に渡さぬよう、竜人国から出奔せよとの厳命であった。


バルザークは主君たる炎舞の命を奪った者に引導を渡したい気持ちでいっぱいであったが、急ぎ仲間を集め、国を出た。

側近中の側近の亡命に、竜人国の名だたる猛者達はバルザークが暗殺したものと思い込み、国内は一時騒然となった。



バルザークも逃げる途中に深い傷を負わされ、意識朦朧(もうろう)とする中、海に飛び込み、その先は覚えてはいなかった。



意識を取り戻すと表世界を牛耳らんとする魔界からの侵略軍に取り囲まれていた。

自分の命もこれまでかとバルザークは死を覚悟したその時だ。



「やめぃ!」


見るからに一軍の将たる偉丈夫ぶりでバルザークと対面したのはオルドランであった。

オルドランは詳しい詮索は一切せず、竜人らを保護し、魔参謀ビジョン、そしてこの頃から魔王と名乗るようになっていたジクイルに引き合わせた。



ジクイルもビジョンも傷付き荒みきったバルザークにあえて詰問はしなかった。



「バルザークとやら、傷の手当てはしてやろう。その後はお前の仲間も保護していることだし、この城を出るもよし、残って余にために尽力するもよし」


ヴォルクスらの魔元城の規模には程遠い当時の魔元城ではあったが、浮遊し何人(なんぴと)からの攻撃も受けない防御システムは完璧に見えた。



「竜人国か。我が野望、()()()()()()の行く手を阻む最大の脅威となろうが、あくまでも正々堂々を指針とする栄光の魔軍。お主に危害は加えぬ。安心致せよ」



バルザークには分からなかった。

突如として現れた魔界の侵略者として表世界では脅威となりつつあったが、対面する首脳陣は至極まっとうな考えを持っていた。

バルザークはその心根に惹かれ、ことの経緯を洗いざらい話していた。



「なるほど。なればここに残り、我が配下となれ! 我が城にある限り表世界屈指の戦闘力を誇る竜人らも指名手配となっているそなたらを捕まえることは容易ではないはずだ」



「まぁ今はゆっくりと静養し、改めて仲間と談義するがよかろうて」

「フッ。ジクイル様がこう仰られている。まずは腹ごしらえからどうだ? バルザーク」




こうしていつの日にかバルザークは魔軍に籍をおくこととなり、竜人の中でも精鋭との呼び声高い魔竜の力をして、オルドランに次ぐ魔軍内での実力者となっていくのであった。



「俺はあの時の恩を忘れはせぬ。ジクイル様をお助けした後、当初言われた通り、今後のことを考えよう……」



二の丸から本丸へと登る階段上で情けは人の為ならずとばかりに恩返しを果たすつもりのバルザークなのであった。



つづく

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