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勝利!

(見たいぞぉ! 俺は愛姫子ちゃんの乳が見たいぞぉ!!)


脚を肩幅強に開き、腰を落として踏ん張るアシガルは不思議なオーラを放っていた。


(どうしたっていうの? へっぽこっぷりしか見せていなかった勇者アシガルが強い力を(みなぎ)らせて……)


アシガルから沸き上がるその不思議なオーラは愛姫子と美菓子へと放射されているかに見えた。



(二人に力を注いでいるってこと!? 試してみるしかなさそうね!)

そう仮説を立てた氷雨は二人に向かって叫んだ。


「愛姫子! 美菓子! 今よ! やっつけちゃいなさい!」

衣服とはいえ敵の攻撃を受けて茫然としていた愛姫子はその声に金縛りが解けたかのように動き出した。


美菓子も殺らなければ殺られると覚悟を決めて必殺の一矢を構えた。


「アッパレ様ぁ……」

「動くな、ピューロ! 奴等の全力攻撃が来る!」

剣魔隊長アッパレもまた覚悟を決めたとばかりに全魔力を集中させ愛姫子と美菓子の動きを見極めようとしていた。



「今だっ! いけぇー!」

美菓子は精神を集中し、薔薇の矢をアッパレの心臓目掛けて放った。

それは今までよりも強く、そして聖なる力が加わったかのような輝く光となってアッパレ目掛けて行った。



「グムム」

アッパレは全力でそれを相殺したが、そこまでであった。


遥か上空に飛んでいた愛姫子が落下の速度と不思議なオーラの力を得て、会心の一撃をアッパレにお見舞いした。



アッパレは兜を割られ、頭部を斬られると、意識を失いかけた。意識が飛ぶほんの一瞬であったが、凛と立つ愛姫子が何故か眩しく見えた。


(負けた……なんとも美しく強い女なのか……)


バタン


兜を割られ、額を斬られたアッパレはついに力尽き大地に沈んだ。


「凄い攻撃! 痛そう……」

「うん! なんか物凄くバシッと決まったわよね!」

身を竦めた美菓子に愛姫子は満足そうな笑みを浮かべて言った。



そんな中、ピューロはいち早く飛龍に昏迷するアッパレを乗せるとそそくさと飛んで逃げていったし、氷雨は敵の虚を突きライダーゴブリンらを一層していた。



そして愛姫子と美菓子はこれまでよりも一層と漲る自身の一撃に謎の違和感を抱いたし、アシガルはそんな一連のバトルを見ているのかいないのか白目を剥きつつあった。



アシガルパーティー、初戦を勝利!



パッパラパッパー

と謎の音が鳴り響き、それぞれが経験値を得てレベルを上げた。


「やったね! なんとか無事に撃退できたねぇ!」

美菓子は嬉しそうに愛姫子に駆け寄り、

「あのアッパレとかって魔物、なかなかやるわねぇ……」

と、破けた胸元を手で押さえながら言ったものだ。



「お二人ともお見事!」

刀をおさめた氷雨はゆっくりと歩きながら二人の実力を褒め、二人もライダーゴブリンを倒した氷雨を称賛した。


三人揃った姿は全てを虜にするかのような芳しさだ。


「おーい! アシガルー? ダメだこりゃ」


白目を剥いて硬直したままのアシガルだったが、三人の桃色吐息に意識を回復させると初戦の勝利を知る。


「なんか、何もしてないけど勝った! 俺達は強い!」

と、謎の自信を高めていくのであった。



その一部始終を水晶玉で見ていた魔参謀ビジョンはワナワナしていた。


(アッパレが弱いのではない! あやつらが強過ぎるのだ……伝説のスズキとサトウ……まさかこれほどとは! それになんだあの女忍者は!? そして恐るべきは勇者アシガルの()()()()……)



なおもへっぽこ顔のアシガルを見詰めるビジョン。

(あやつらが成長する前に何としても抹殺せねば……)



魔王城、奥深くで震えるビジョンであった。



つづく

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