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魔技場編10 浪人王子アッパレ×魔剣聖キッシュ

アシガルとアッパレは現実世界に戻ってきたが、心眼の腕輪が言う嫌な予感を目の当たりにしていた。



「ピ、ピューロ……!!」

「アッパレ様……やっと正気に戻ったんすね? よ、よかった……ハハハ」


ピューロはアッパレを庇って五明の必殺の一撃をその身に受け、血だらけで倒れていた。


「くっ、愛姫子! ラヴチューン! 何やってたんだ!!」


普段のアシガルからは到底考えられない強い口調での叱責に、さしもの二人もうつむき無言で答えるしかなかった。



「すまない。五明の動きは察知していたのだが……」


これまた直江の攻撃を背中に受けてしまったオモチが這いつくばりながら答えたが、アシガルの怒りの数倍の激情をはらんだアッパレは、優しくピューロ抱きかかえると、涙を流して謝る。



「すまなかった、ピューロ! 俺が情けないばかりに……」

「な、何言ってるんすか……おいらは信じてるっす。アッパレ様はきっと勝つって…………」



もはや出血多量で助からないことは誰の目にも明らかだったが、それでもミューロを呼び寄せるとアッパレは懇願した。


「すまん。ピューロを回復してやってくれ!」


同族であり、慕うご主人共々旅をしてきていたミューロはピューロのおでこを優しく撫でると小さい声で呟いた。


「カッコよかったわよ……ピューロ!」

「エヘヘ……ミューロもやっとおいらの魅力をわかってくれたんすね」





「な、なんと!? ピューロがアッパレを庇って……」


モニタリングしていた魔参謀ビジョンはアッパレとピューロの絆の強さをよく理解していただけに、絶句してしまう。



「はっはっはっ! ついに()()仕留めたか! しかし手ぬるいぞ、五明! やはり何か企んでおるな」


「ピ、ピューロ!!」


ヴォルクスもジクイルもモニターに釘付けであったが、一方は笑い、もう一方は歯を食い縛っていた。



(余が魔界から連れて来た使い魔。身よりのないピューロは最初誰とも心を通わせることはなかった……しかしアッパレと出会い、ピューロの人生は大きく変わったというに。くっ……)



そんな魔王ジクイルは怒りを抑えることが出来なかったのであった。




アッパレはミューロにピューロを託し、立ち上がると強敵キッシュを睨み付けた。

各々は己の戦いの手を止め、そんなアッパレとキッシュの戦いを見守る体勢となり、敵も情けがあるのか攻撃をストップさせていた。



しかし心眼の腕輪はオモチと同じく五明の行動を逐一チェックする。


(これ以上は好きにはさせぬぞ、五明。いざとなれば()()()を使ってでもな……)



「アッパレ! ピューロの仇を取ってよね!!」



これまたラヴチューンの掛け声にてアッパレ×キッシュの第二回戦が始まっていくのであった。



王道斬煌(おうどうざんこう)!!」

「この玄武闘衣(げんぶとうい)には効かぬとまだわからぬか!!」


そう、一度はその鉄壁の鎧に跳ね返されたアッパレの技であった。

だがアッパレはお構いなしに斬煌を打ちまくった。

しかしそれらは全て玄武闘衣に弾かれ、キッシュにダメージをあたえるには至らなかった。



「何よ! さっきと変わらないじゃない!」


愛姫子のいちゃもんにアシガルは答える。

もはやアッパレは以前のアッパレではないのだと。そして家族同様の存在であるピューロを傷付けられてもいたのだ。

愛姫子に黙って見守るよう促し、珍しくエロ路線への脱線は抜きに、純粋にアッパレを応援するアシガルなのであった。



(大丈夫! アッパレならきっとやってくれるさ。なぁ! ピューロ……)


ピューロは既に視界も見えにくくなり、アッパレの気合いの掛け声だけが認識出来るばかりであった。



「お、おいらの使い魔ジック……役に立てばいんすけどね……」


意味不明な事をポツリと言ったピューロを涙ぐみながら介抱するミューロ。



「いま一度食らうがよい! 五芒軌一閃(ごぼうきいっせん)!!」


第一回戦においてアッパレに致命傷をあたえた鎧通しの悪魔の一撃は、アッパレを射抜いたかと思われたが、今回は違っていた。

五芒星はアッパレの鎧の前で留まり、変わりに正義に燃える闘志がメラメラと燃え上がり、アッパレは素手で五芒星を粉々にして見せた。


「な、なんだと!?」


驚くキッシュに剣を向けると、アッパレは言ってのけた。



「我が剣の流儀を味合わせてやる! 行くぞっキーッシュ!!」



アッパレの逆転劇の開始であった。



つづく


萬しくお願いします(*`・ω・)ゞ

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