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急いてはことを仕損じるがしかし!

魔参謀ビジョンに急に呼び集められたメンバーは多種多様な格好をしていた。


例えばラヴチューンは桃色のネグリジェ姿で目を擦りながらであったし、マキは几帳面にボタンを絞めたパジャマ姿であった。



寝起きにも関わらず装置の完成を聞いた暴れ馬のバレンコフはすぐにでも総攻撃を仕掛けようと息巻き、月の満ち欠けに大きく左右される聖人ローウェンは慎重論を唱えた。



(まさかこんなにも早く完成するとは……今は三日月、俺とエピカは力の半分も出せないというのに……)



魔軍きっての勇将オルドランと、今や名実共に最強にして最恐の種族の長となった長嶺を集まったそれぞれは見た。

何となく一軍のリーダーであるとそれぞれは感じていたのだろう。



『オルドラン様、お下知を!!』

『長嶺殿、どうされる?』



二人は互いに視線を合わせるとニタリと笑った。



「こんなにも早く装置が完成するは瑞祥(ずいしょう)! 勇者パーティーが来る前に魔界の猛者どもを血祭りにあげてみせようか」



「オルドラン殿、よくぞ言われました! 少しでも敵の戦力を削るに限ります。竜王の力、とくと見せ付けますよ」



二人の代表は準備が出来次第、総攻撃を始めると宣言。

しかし魔城や各国の防衛にも人員を割かなければならぬとビジョンに(たしな)められ、少数精鋭での出撃となった。




聖人ローウェン、それにエピカ。

防衛組長シンと妖精巫女(エルフプリーステス)オモチ。

そして竜王・長嶺と飛竜・ロキスが名を連ねた。



魔軍からは前光魔(こうま)隊長マキと前海鬼将(かいぎしょう)ラヴチューンの仲良し姉妹。


翔魔(しょうま)隊長マタタキと重魔(じゅうま)隊長ゴウワンのバカップル。


槍魔(そうま)隊長バレンコフと淫魔(いんま)隊長ルシカァーの無縁コンビ。



最後に理想の上司にして空鬼将(くうぎしょう)バルザーク、そして魔軍最強の陸鬼将(りっきしょう)の二将軍が攻めることとなった。



魔参謀ビジョンは力持ち(パワー)ゴブリン、鳥人間、(ランサー)ゴブリンそれに幻影(ファントム)ゴブリンらをまとめあげ、城の守りに付くこととなった。




「よいか、マンテス国の科学技術と我が魔技術を混ぜ、お前達を追尾する装置も作った。しかもこちらからはモニタリングでき、お前達と会話も出来るよう細工をした! 逐一戦況をこちらに流せよ。こちらも外部から異変があった時にはすぐにでもそちらに知らせる!」



ジャミング跳ね返し装置の他にそんな物まで作っていたのかと一同は驚き、ビジョンは説明の続きをマンテスから科学技術支援のために派遣されていた技術神官・()()()()に託した。



テンガンはロボット猫をそっと床に置くとつらつらと説明を始めた。


「名前は()()()()()ですので皆さん通信される際はニッタさん! と優しく呼び掛けて下さい」


しかし説明はそれだけであった。



「何事も報告・連絡・相談が必要。委細承知!」


理想の上司・バルザークがホウレンソウを全員に呼び掛けたところで、五国同盟・精鋭部隊は出撃の準備に入っていくのであった。



「そうじゃ! このモニターをマンテス、それに各国とも共有し、直に戦いを観てもらおうではないか!」

「それはナイスアイディアですね! 早速始めましょう!!」



技術屋同士つうつうかあかあなのか、恐ろしく気が合うビジョンとテンガンなのであった。



そしてヴォルクス陣営もまた同じような事をしていた。



「設置終了です」



魔竜王ヴォルクス、魔界の頭脳・五明、魔界の英雄・須頃(すごろ)らは、捕らわれの魔王ジクイルを椅子に縛り付け、直江(すぐえ)が設置したモニターに視線を送っていた。



「いいですねぇ。高みの見物とはまさにこのこと!」

「フフフ。彼奴(きゃつ)らを掃討した暁にはいよいよ我が野望も王手! さぞや苦やしかろう? ジクイルよ」



縛り付けられ無力のジクイルだったが、口だけは一丁前であった。



「バカめ! 我が最強の軍団が負けるわけなかろう!」

「最強ねぇ……こちらも既に先方を決めていますよ。魔界十魔衆(じゅうましゅう)と謳われた猛者達ですよ」



「ほほう。いきなり奴らを使うてか? 面白い」



ヴォルクスと五明は何とも楽しそうに会話を重ねていたが、意思に反することばかり実行してきていた須頃は無言でモニターを見詰めるばかりであり、直江もまた沈んだ顔をしていた。



「さぁ! かかってきなさい! まずは魔階段(まかいだん)で激突しましょうか。ハッハッハッハッハァ」



例の慇懃無礼(いんぎんぶれい)な声で五明はいつまでも笑い続けるのであった。




つづく

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