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CASE3 魅惑の家庭教師・氷子の場合

そこは六畳間の狭い一室であった。

外界からは遮断され、窓も唯一の出入口である扉も内側から施錠され、完全な密室であった。


真夏の昼下がり、中学生・アシガルは勉学に励んでいた。

いや、そのつもりであったのだが、親が雇った家庭教師の色気に内心それどころではなかった。



適度にエアコンが効いているにも関わらずセットアップのスーツを早くも脱ぎ捨て、洗い立ての匂いのするシャツの胸元に風を入れるためにはためかせているのは、家庭教師・氷子(ひさこ)であった。


白のパンツはその魅力的な太ももを誇張し、脚を組む度にパンティラインが見え隠れし、誘惑するような視線と薄化粧、そして何よりも際立つその爆乳に、アシガルは問題を解くどころか、設問すら読めずにいた。



「さぁ早くその問題を解いてみてね」


透明感のあるその声は、耳元で鮮明に脳内に伝達し、横並びに机に向かうアシガルは下半身をモゾモゾさせるしかなかった。



「どうしたの?」


氷子がアシガルの様子がおかしいと擦り寄った時、弾力のある未開の地がアシガルの二の腕にコンタクトした。



「せ、先生……む、胸が当たってるよ……」

「あらゴメンなさい。アシガル君の様子がおかしかったから」



氷子の家庭教師はまだ数回しか行われてはいなかったが、その度にアシガルの湧き出る感情はまさに火山の爆発寸前といったところか。


氷子としても勉強がはかどらないと己の雇われた意味はないとばかりにこんな誘惑をしてみる。



「じゃあ次の問題を解くことが出来たらご褒美をあげようかしら」


その言葉に机上(きじょう)から目線を氷子に移したアシガルは、真剣な眼差しで逆に提案する。



「だ、だったら先に下さい! そしたら僕、頑張れるから」


アシガルはそう言って氷子に飛び付かん勢いであったが、まさか自分のその一言でこんなことになろうとは思ってもいなかった氷子はずり落ちそうなメガネを必死に押さえた。



「ちょっと待ちなさい! ……だけど本当にそれで頑張れるのね?」

「はいっ! もちろんです」


「……じゃあ何をして欲しいの」



先にご褒美とはまた滅裂であったが、この密室では二人がルールであり、二人が納得したならばそれでよいのだ。



「じゃあ先生のそのおっぱいをツンツンしてもいい?」


そんな大それたことがご褒美なのかと氷子は驚きを禁じ得なかったが、そもそも(かぐ)わしい容姿と男を虜にするフェロモンを撒き散らしていたのは氷子であり、自らが胸元をひけらかしていたことに自分では気付いていなかったのだ。


天然にして魅惑の家庭教師なのがまた何とも言えず感情を掻き立てる。



アシガルは床に(ひざまづ)くように氷子を下から見上げ、ピタッとした白いパンツをまとったふくらはぎをソフトタッチすると、太ももそして腰と、まるで登山道を行くホーゲル部のように慎重にゆっくりと目的地へと進んで行く。



「んん……くすぐったいわ、アシガル君……」


氷子は身体をなぞられる度に顔を横に振ったり下を向いたりしてその艶やかなロングヘアーを瞬かせ、大人びた女性の香り(フレグランス)を漂わせた。



「せ、先生!」


アシガルはツンツンしたいと言ったにも関わらず、その両手に収まりきらないほどの巨峰をハンターのようにしっかりと掴むと、未開の地へと辿り着いたような不思議な目をして視線をゆっくりと氷子と合わせた。



「あ、あぁ……優しく……ね?」

「う、うん……」


アシガルはまるで少年が夏の日に手に入れたこの上ない宝でも扱うように、一方を時計回りに、もう一方を逆回りに何度も何度も揉みあげるのであった。


「あっ♡ も、もういいでしょ……さ、早く問題をと、解きましょ」



しかしそんな言葉はもはやアシガルには届いていなかったか、アシガルは更に登頂するかのように、シャツに手を入れその豊満なバストの頂点をまさぐってみる。



「あぁ! ダメよぉ……」

「先生……」



「あ、ああぁぁ♡ んんん…………だめぇぇぇ♡」



夏のとある日の出来事であった。




――――――――――――




「氷雨! おい、氷雨!!」


氷雨はその声に意識を取り戻すと、先程までの秘密の情事に胸が熱くなるのであった。



おいおい。



つづく

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