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導きたまえ、八龍神!

八龍神の長老・巌鉄(がんてつ)は管轄外の魔界にいる者が真の敵であるならば、自分達は手を出すことは出来ないと言ったが、アシガル達への支援は惜しまなかった。



長嶺をしてその竜気(りゅうき)と龍神の力を織り混ぜ、神竜石(しんりゅうせき)を作り出し、アシガルに与えた。



普段神器は個々が所有し活用。

有事の際はその石を使えば、四つの神器は愛姫子と一体となり、聖竜姫(せいりゅうき)へとバージョンアップしてくれる素敵アイテムであった。



「やったね! これでいつでも変身できるってわけね」


聖玉盤に新しく入手した神竜石を嵌め込んだ美菓子は残り一つであると確認し、次なる目的地を八龍神に問い掛けた。



「どうやらオヌシらは大いなる目的のために旅をしているようだな。その残りの部分に当てはまる物、それはおそらくはヒノモトにあろう」



顔を合わせた四人は同時にコクンと頷くと、ご丁寧に語りを止めていてくれたカラケルの伝聞は再起動したかのように、また喋りだした。



「さぁ現世の勇者達よ、これを持って行け!」


いつの間にか宝箱が設置してあり、中には何だかわからない、透明の容器が入っていた。



「わかった! 食料を入れとくヤツよ」

「なんか綺麗な物を保管する容器よ、きっとぉ!」

「いいえ、見た目からしてきっと水筒よ。水分は大事ですもの」



これまでの旅で、深刻な食糧難にも水不足にも陥ったことがないにも関わらず、今さらそんなアイテムを授けられるはずがないとアシガルは言い、龍神の言うヒノモトへと向かうであろう、ワープの井戸を見詰めた。



別れの言葉もほど程に、出立しようとした、その時。

長嶺は場の空気を一切読まない温室育ち盛り丸出しの言葉を吐いた。



「愛姫子。すべての戦いが終わったら迎えに行くよ。僕と結婚しよう」


その言葉に、さしもの龍神らは仰天し、氷雨とインラバはビックリして顔を合わせたし、突然の失恋に美菓子は放心状態となっていた。


プロポーズされた愛姫子は、顔が朱色に染まり、タジタジしたが、美少年長嶺はそっと近付くと、そんな愛姫子の両方の二の腕を優しく掴むと距離を縮めた。



「あ、あの……えっと……」

「いいね? 愛姫子」



しかしそんなメロドラマは許すまじと、アシガルは全ツッコミを展開。


「はぁ~? お前はバカか! 愛姫子は俺のものだっつってんだろーが!」

「君のようにセクハラ紛いの行為ばかりしていては女性は輝かない! 僕が優しく包み込んでみせる」



アシガルの嫌悪は臨界を突破、しかしその時、アシガルの胸の辺りからポロッとビー玉のような物が床に落ちた。

拾ってみると真っ黒な玉に嫌と刻印が打ってあった。



本当は愛姫子争奪戦に参戦したかったアッパレであったが、インラバの視線が痛かったので沈黙していた。

だが話題を反らす絶好の機会とばかりに話に割って入った。



「おぉ! 先程の入れ物はそれを納めて置く入れ物なのではないかっ!?」


その戯れ言は見事的中。

完全にその玉を保管しておく入れ物であるかのようにサイズもぴったりであった。

アシガルはそのベルト付き容器を腰に巻くと念を押した。



「とにかく! お前のものにはならないからなっ」

「それは彼女の意思に反する。僕にはそんな辛い選択をさせるわけにはいかない!」


堂々巡りか、呆れるほど直情的な二人の会話に、愛姫子は茹で上がり、美菓子ですら残念な顔を上気させていた。



そんな問答の末、テクテクと前に出た海鏡は愛姫子の手を握ると心を読んだ。

あまりに慣れないシチュエーションに言葉を失った愛姫子の代弁をしようというわけだ。



「…………ウン……ウン……わかった。……愛姫子はお前のお嫁さんにはならない。想い人がいる……以上だ」



その長い台詞に龍神らは驚き慌てふためいた。

伴峰はアシガルらが来てから、徐々に言葉数を増していた海鏡を側で見ていたから平気だったが、他の龍神らは違った。



(無口な海鏡を短時間でこれだけ話す子にするなんて!)


必要最低限しか言動をなさない海鏡が、まさか人のために動く。

それは奇跡であり、そうさせたのはアシガルなのだと勝手に解釈した八龍神であった。



そしてまたしても勝手に株が上がるアシガルなのであった。



つづく



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