装備しちゃうよ! サトウさん! part3
「なんだと!? ニシナカ村だと!?」
アシガルが予想していた通りのリアクションが返ってきた。
「するってぇとお前、まさか……孫か?」
「えぇ。おそらく……」
そんな会話をしているうちに煌めく少女らが戻ってきて、その話は一旦中断された。
「こんなところです!」
ウキウキしながら戻って来た美菓子はガサッとカウンターに好みの物を置いた。
彼女らには決して装備品の性能だとか値段だとかを気にする素振りは微塵もない。
アシガルは己の理想、露出が減ることだけは断固避けたい! と己に言い聞かせながらも一つ一つを美菓子に当てていった。
「これは?」
「アシガルさんたら! 魔女といえば黒いマントに決まってますよぉ」
(くっ、いきなりきたか! そうだよな、魔女と言えば黒ずくめしかイメージが沸かん! クソッどうしたらいんだ!!)
「ほう、そっちの可愛いネェちゃんもなかなか見る目があるぜ! それはハーフマントと言ってな、利き腕側は隠さず、反対側だけのマントだ。狙撃も兼ねた職業柄、その度にマントをめくってちゃあ獲物を射抜くことはできねぇよなぁ!」
(な、なるほど! 見れば前は長め、後ろは短めの何とも俺好みの仕様じゃないか! 買いだな!)
「いいんじゃないっすか!」
美菓子は早速ハーフマントを被って装備してみた。
するとどうだ、薄手のマントにくるまったボディラインがクッキリし、そこから伸びる程よいムチムチな脚が際立つではないか。
(さ、最っ高じゃねーか! マントの中をヒラヒラと見え隠れするダンダラスカートがまた堪らん!)
「これも魔女で連想できますよね!? 目深帽ですよ」
横に大それた長さ、それに天を突き刺すが如き尖ったその目深帽は美菓子の小さな頭をすっぽり包み込み、ギリギリ形の良い輪郭線だけが確認出来た。
「可愛いネェちゃん、それはちょっとデカ過ぎるぜ! だったら薔薇の弓杖にピッタリの帽子があるぜ!」
そう言うとまたまたマスターは奥へと潜っていった。
マスターが戻るまで、愛姫子は剣を大道芸人のように使いこなしはじめたし、美菓子も呪文を唱えてから、即座に射撃に移行する動作を入念に何度も何度も繰り返していた。
(いやぁ……ハハ……なんとも頼りになるなぁ)
その言葉とは裏腹に、動く度にプルンと揺れる谷間と、ダンダラスカートと共にキュッとしまるお尻に目が右往左往し、極めつけは凛とした愛姫子の声とトロリとトロけるような美菓子のボイス、そしてそれらを相乗効果させるほどの美貌に首ったけとなるばかりであった。
(いやぁ……つくづく頼りになるなぁ……)
つづく