付き合ってよね!
連携も見事にクイーンスフレとシンをくっつけたアシガルパーティー。
国を上げての一大イベントは突貫工事よろしく、早急かつ盛大に準備されていき、式典まで残っていたい気持ちの魔軍幹部らは後ろ髪を引かれる思いであったが、五明らを魔城でのさばらせておくわけにもいかないと本拠地へと戻って行った。
「お幸せにな! ゴウワン、マタタキちゃん!」
「シンとスフレの婚礼、我らが代わりにしっかと見届けてくれよ! 勇者アシガル!」
もはや旧知の仲となった敵味方にわだかまりはなく、無事に結ばれた二人は幸せそうに手を携えて帰って行った。
マキとラヴチューン姉妹も一言二言言葉を交えた後、
「また、どこかで会いましょ! その時は決着つけるわよ! 愛姫子!!」
「美菓子の成長する姿は私の糧よ。元気でね!」
「ハンッ! もうとっくについてるってぇの!」
「マキさんもお元気で!」
(あ~ぁ……行っちゃったよ。美女軍団……)
「ねぇ、アシガル! 付き合ってよ!」
魔軍幹部らを見送りながらもガッカリするアシガルに、愛姫子は驚くべき言葉を放った。
「えっ!? まさか愛姫子ちゃんまでスフレさんとマタタキちゃんに感化されて!? まさか……まさかコクられるなんて!」
バチンと勘違いを窘めるようにひっぱたいた愛姫子は、
「ちっがうわよ! 折れた剣の代わりを探すのに付き合いなさいって意味でしょうが!!」
だが、愛姫子の顔は上気しているように見てとれたが。
「じゃあ私はスフレさんの衣装合わせに立ち会いますね!」
ドレスアップに瞳を輝かせた美菓子を容易に想像できた二人は無言の内に美菓子を見送った。
「あっそうだ! 氷雨さんの身に付ける物も必要だよ!」
「だったらヒサ姉も誘って出掛けましょ!!」
二人は思い立ったら吉日とばかりに氷雨を探しだし、町へと繰り出すのであった。
「やっぱりまたボディスーツがいんすかぁ?」
アシガル、愛姫子、氷雨の三人は町を練り歩きながらキョロキョロして一世一代の式典に浮き足立つ町の風景と妖精、それにドワーフらを眺めつつも本題に入った。
「そうねぇ。アシガルはどっちが好きかしら? ボディスーツ? それとも違う装備に変えようかしら?」
逆に問われたアシガルは即答した。
「素晴らしい氷雨さんのボディを強調するには、やはりボディスーツがいいのではないでしょうかっ」
どこかの一兵卒が上官に答えるような口調で返答した時、三人に話し掛けてきたのはアッパレとインラバ、それに使い魔のピューロとミューロだ。
「あんたら姿が見えないと思ったら町ブラ!?」
「いやなに。我らもそろそろ出立しようとしたのだがな、ピューロが茶葉を求めたいと言うでな」
「そうなのよぉ。ミューロが妖精の郷名物のイチゴ大福は買ってから旅立つべきだとダダをこねるの……」
(だってお茶がないとうるさいじゃないっすか、アッパレ様!!)
(いつもおやつをねだるのは誰ですか! インラバ様……)
心ツッコミした二使い魔は不自然な作り笑いで応じた。
「あなた方はこれからどこへ?」
氷雨の問いにアッパレは謎の試練を手短に語り、次に目指すは竜人国であると答えた。
アシガルはワールドマップを広げ、竜人国の場所を確認した。
「ここだ! そういえば空鬼将バルザーグ様が侵略していたのだ。その辺も気になるしな」
そう言ってアッパレがワールドマップの竜人国を指し示した時、ピカリとマップは光った。
「なんだ? 壊れたのか?」
「いや、なんだろ?! なんだ? 心眼の腕輪」
ポカン
「いったいなぁ! 何すんだよ! いい加減にしろよっ」
「それはこっちの台詞だっ! お前はいつになったら言葉使いを学ぶのだ」
もはやお決まりのやりとりであったが、心眼の腕輪は知らぬと黙秘権を主張し、アッパレはもしも故障していた場合の修理費をせびられるのを恐れ、そそくさと去っていった。
「またいずれ何処かで会おう! その時こそ決着をつけさせてもらうぞ! 愛姫子」
「アシガルちゃん、氷雨ちゃん、またねぇー!」
『お世話になりました!!』
「ハンッ! もうとっくに勝敗はついてるっつーの」
「いつも騒がしい一団ね」
「あぁまた一人美女が去っていくぅ……」
美女二人に囲まれていながらの暴言に、ガッチリ左右から腕組みして拘束した愛姫子と氷雨は、笑っていない笑顔で買い物を続けていくのであった。
(あぁ! おっぱいが腕に! 二人の温もりが伝わるぅうぅ)
幸せかアシガル。
つづく
妖精の郷の町ブラです。
萬しくお願いします!




