美人乳湯part2
「なっ!? ななな何を言う!!」
あからさまに狼狽してみせたゴウワンに、先の会話にてシンの奥手な所を責める資格はまったくなかった。
「なぁ~んだ。ゴウワンもシンさんと同じじゃんか!」
「なるほどな。密かにマタタキ殿に恋慕していたということか。ゴウワン、それではいかんぞ」
何故かインラバという女性がありながらも、密かに愛姫子に恋心を抱いているアッパレがダメ出しをしたが、アシガルとピューロは即座にツッコミをくれた。
「アッパレ様だって愛姫子さんのことが気になってるじゃないっすか!」
「そうそう。見え見えなんだよなぁ。あのねぇ、愛姫子ちゃんは俺のものなんだから! そこんところヨロシク!!」
先ほどまで優雅に景観を慈しんでいた姿はどこにもなく、慌てふためくオッサンしかいなかった。
そこへ今回の主賓たるシンが入湯してきたからもうヒッチャかメッチャかとなる。
「シッ、シン! さっさとクイーンスフレと所帯を持て!」
「そうだっ! 相思相愛ならば男らしくプロポーズしてみせよっ」
いきなりの確信をつくゴウワンとアッパレの大喝に赤面し反論と反抗とで返したシンであったが、どうやらそれは心に決めていた事とばかりに静かに語り出した。
「そうか、お主達にも心配させていたか……この戦いを勝ち抜いた暁に、クイーンスフレにこの気持ちを伝え、受け入れてくれるのならば夫婦となろうと決めている!」
恥ずかしそうに語り始めたが、最後には意を決した覚悟のこもった力強い語調に変わっていた。
それを見たアシガルは、
(なぁんだ、もう決心してるんじゃないか!)
と、胸を撫で下ろした。
「じゃあ後はゴウワンも、ちゃんとマタタキちゃんに告白すしろよ?」
気軽に言ったアシガルであったが、シンの決意を聞いたゴウワンもおどけている場合ではないと悟ったか、
「ウ、ウム……死なばもろとも! 当たって砕けろの精神でこの想いを伝えてみよう!!」
「それでこそ漢! いやはやゴウワンもシンも潔い!!」
偉そうに言ったアッパレに、またしてもピューロとアシガルはツッコミをくれた。
「アッパレ様も二者択一、っていうかインラバ様一択でしょうが! 普通!! オイラ嫌っすよ、修羅場は……」
「そうそう! 人の女に手を出すような奴は死刑だっ!」
「な、なんだと!? えぇい、言わせておけば好き勝手に述べおって!!」
といった具合に男性陣は準備万端、国を上げた一大イベントへと想いを馳せる次第であった。
一方、無益なバスト論議で大事な協力者らと徹底討論していた愛姫子と美菓子であったが、氷雨がクイーンスフレを伴って露天風呂に来た時にやっと本題を思い出した。
そして、無益なバスト論議は氷雨とクイーンスフレの入湯にて無駄なバスト論議であったとそれぞれに自覚させた。
先に温泉に浸かっていた誰よりも立派で最高峰のエベレストヨロシク、腕で隠しきれない程の巨大マシュマロを抱えた二巨頭は温泉に入ると、何の話題で盛り上がっていたのかと尋ねた。
「べ、別にぃ……」
「そ、そうよ、別に……」
まずは愛姫子とラヴチューンが目を逸らしながら答え、
「いつ見ても氷雨お姉様のおっぱいは立派ですね! それに負けないくらいクイーンスフレさんのおっぱいもおっきい!!」
「さすがね、氷雨! けれどセクシーな私はそこまでのサイズを必要とはしないのよ」
美菓子はゆくゆくはそのレベルのバストを得てみせるといった手合いで誉めちぎり、己の美を探求し続けるインラバは余裕綽々にいなした。
そしてブクブクブツブツ言っていたマキとマタタキは絶句するしかなかった。
(熱膨張で少しは私の胸も膨らんだかしら?)
と、マキは目線を己の胸元に寄せたが諦めた。
熱膨張でさらに膨らませたのは氷雨とクイーンスフレでしかなかった。
そんなレジェンドバストを誇る二人は淑やかに景色を眺めていたが、愛姫子はそんなバスト論議は都合よく脇に置いて開口一番、言ってのけた。
「ねぇクイーンスフレさん! シンさんが好きなんでしょ!? 早く結婚しちゃいなよ!」
知っている美菓子と氷雨がなんの脈絡もなく言い放った愛姫子に驚いたのだ、その他の面々は鳩が豆鉄砲でも受けたかのようにキョトンとしたのは言うまでもない。
いつしか豊満過ぎるクイーンスフレのバストは鮮やかに桃色となり、それは鎖骨とうなじへと上昇していき、最後に頬を主体に熟れすぎた桃色へと変わっていくのであった。
つづく
青春ですかってくらい!




