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消えてほしい人。  作者: 玲蔭
6/6

ゲーム開始

~りぃside~

 煉が休んだあの日から3日が経った。早く紙に名前書いてくれないかなーなんて話していた。名前の書いてある紙を机の上に置くと自動的に死神専用のスマホに通知が来るらしい。これってめちゃくちゃ便利だよね!だっていちいち見に行かなくていいんだもん。家に帰ってベットで横になっていると自分のスマホからは鳴ることのない音が聞こえてバッ起き上がる。スマホを見てみるが通知なんて1つも来ていなかった。そりゃそうだよ。あんな音の通知ないし。まさかとおもいながらもう1つのスマホを見てると3つの通知が来ていた。それはあの3人からのものだった。

 私は自分のスマホを手にとって煉にすぐ報告した。同じものを持っているから知っているんだろうけど。

 電話帳から煉の名前を見つけて電話ボタンをタッチする。

『もしもし?』

「あ、煉!スマホ見た??」

『見たよ。あの3人書いたみたいだね。今夜決行する?』

「すぐやっていいの?」

『別にいいでしょ。だって、いつやってもいいって言われたじゃん。』

 今の時刻は夕方6時。殺しのゲームを開始するにはいい時間帯。3時間後に始めたとして1時間かかっても10時には終わる。睡眠時間には影響がないはずだしね!

 心の準備の時間もたくさんあるし、いいよね?

「じゃあ、やろう!時間は3時間後でいいよね?」

『もちろん。じゃあ、通知は僕が出しておくよ。』

「ありがとう!よろしくね!」

『うん、20分前に招集かけるからその5分前に来てね。それじゃ。』

 もう、真面目か、心配性か!そのくらいわかってるよ!だって、紙に書いてあるし。それまで、いろいろ準備しないとね。

 それから、ご飯も食べてお風呂も入って宿題もやった。これで心置きなく出来るね。

 すぐに2時間半が経って移動する時間になった。私は、ベッドに横になって前に煉に言われた言葉を言葉を唱える。

「我を夢の世界へと導きたまえ。」

 目を瞑っているときの暗い視界が白い光に包まれた。少し光が弱まり目を開けるとそこは知らない場所だった。現実ではないどこかへ連れていかれるとというのは本当だったみたい。

 私がいた場所は、放送器具や監視カメラの映像を見るためのパソコンがたくさん置いてある結構広い部屋だった。

「りぃ、遅刻しないで来たんだね。」

「もちろん!約束は守るからね!」

「そうだよね。じゃあ、少しこの部屋について説明するよ。」

 煉はそう言って立ち上がり、この部屋の器具について説明を始めた。

「まずはこのパソコン。これは、会場に仕掛けられている監視カメラの映像を見ることができる。その数は全部で20個。見逃さないようにしてね。」

 20個もあるの?!多くない?そんなに広い会場なんだね。私はこの会場のことは何も知らないけど、煉は知ってるのかな?だって、なんか知っているような口振りだったし。まぁ、どうせここ以外は行かないんだしどうでもいいよね!

「次は放送について。ゲームを実行する人にこのマイクといろいろな器具を使って残り時間などを知らせる。結構たのしいよ?」

「へぇ、そうなんだ!というか、何でこんなにもいろいろと詳しいの?」

「…もちろんそれは、レイドさんに教えてもらったからに決まってるじゃん。りぃが来る前に教えてもらったんだ。」

 本当かな?煉が言うなら間違いはないけど。でも、レイドさんに教えてもらったんだったら、私にも直接教えてくれればよかったのに。

「あとは、参加者を待つだけ。」

 時間過ぎるの早いな~。もうちょっと遅く進んでくれてもいいのに。

 「あ、そうだ。りぃ、後ろの呼び出し装置からあの3人の名前入れて転送させて。」

 私は煉に言われた通り後ろを振り返って歩いていった。そこには、少し大きめの装置があった。

「煉、これ?」

 私はその装置の前に立って問いかけた。

「ん?あー、それそれ。頼んだよ。」

 煉はこっちを振り返って答えてくれた。小さくお礼を言って装置の方を見た。よく見ると、名前を入れる枠が5つとキーボードがあった。どうやらこれを使ってやるらしい。

 枠をタッチしてキーボードを操作して3人の名前を入れていく。枠に入ったのは、岩田吉宗、佐倉友人、水瀧茉菜の3人だ。

 素早く入れて煉の方へ戻っていく。

「煉、入れ終わったよ!」

「ありがと。ちょうど6人集まったよ。そろそろ始めようか。」

「うん!」

 煉は目の前にあった装置を操作してマイクが入るようにしてその6人に話しかける。

「さぁ、皆さんお集まり頂きありがとうございます。」

「は?これどういうことだよ!ここから出せよ!」

 そう、叫んだのは佐倉。いやー、あの歳になっても叫べるんだね。っていうか、ここに閉じ込められただけであんなに叫ぶものなの?面白いね!

「ここから出す?そんなの無理に決まってるじゃないですか。バカなんですか?」

「バ、バカ!?」

「そうです。あなたはバカです。だって、ここに呼んだのも意味があるからですよ。」

 煉は、佐倉に対して冷静に言葉を返す。さすが、ポーカーフェイス。というか、こんなに冷たい人だったっけ?ポーカーフェイスでももうちょっと明るい感じだった気がするんだけど。

「こんな話は無駄なんで進めますね。これからあなたたちにはゲームに参加して頂きます。」

「ゲーム?」

「はい。ルールは簡単。佐倉さんと岩田さんと水瀧さんは、三人の鬼から逃げればいいのです。しかし、その鬼に捕まると恐ろしいことが起こるので。」

「恐ろしいことって何ですか?」

 今度口を開いたのは茉菜だった。いつも誰とも話さないのに珍しいね。もしかして恐ろしいことってワードに怖くなっちゃったのかな?それはそれで面白いんだけど。

「それを今教えてしまったら面白くないでしょう。あとでお教えしますよ。ですからあなた達は逃げることだけを考えていた方がよいのでは?」

 ごもっとも。それ以外のこと考えていたら生きていられるかも分かんないもんね。

「ってなわけでそろそろゲームスタートしますよ!3対3なのでちゃんと逃げてくださいね!」

 今度は私が告げる。これ以上待っていられないしね。煉に言わないで進めたけど大丈夫だよね?横目で少し確認する。煉は笑みを浮かべてモニターを見ていた。よかった、大食堂みたい。じゃあ、このまま進めてしまおう。

「それでは、ゲームスタート!」

 私はゲームスタートの合図として声をあげた。それと同時に扉が開き皆一斉に走り出した。

 この会場は広いけど死角になっている場所もあるから逃げる側としては出くわす危険性もあるが、追いかける側としてはそれがあったら好都合。よくありそうだよね、そんなこと。

 私と煉は、パソコンのモニターを見て逃げる様子や追いかける様子を見ていた。

 あ、早速鬼に見つかってるやつがいる。それは、岩田。歳のせいか足が遅く見える。でも、あの人教師だよね?まだまだいけると思うんだけどな。まぁ、これは渡の偏見だけど。

「うわぁぁぁ!助けて助けてっ…!」

「待ちなさい…!絶対に捕まえる…!」

 追いかけているのは芽亜里。あー、これは捕まったな。あの人に目をつけられちゃもう無理だよ。御愁傷様でした。

 案の定その直後に捕まえられて牢屋へと連れていかれた。鬼役の3人には伝えていたけど、捕まえられた人は牢屋に入れられてその恐ろしいことが起こるのを待つ。私はその瞬間が一番怖いと思うな。

 そう思いながら牢屋のモニターを見ているとその部屋の扉が開いた。渡の知らない間に捕まえられていたみたい。その人は佐倉。まぁ、教師は捕まるよね。私たちより年上だし。

でもつまんないなー。もう2人捕まっちゃった。

 残りは茉菜。逃げているモニターを探し見てみる。追いかけているのは明里。私の学年で一番足の早い子。茉菜もそれなりに早いけど明里には叶わない。

 待ってこれ、全滅するんじゃない?ちゃんと逃げ道を作ってあげているのに。あーあ、逃げ道が無駄になっちゃった。まぁいいけど。要らないやつらが消えるなら。

 そのあとの数分で茉菜も捕まえられた。

 本当に全滅しちゃった。なんか弱すぎない?もっといけると思ったんだけど。怖いからかな?足が震えちゃって走れなかったとか?それだったらめちゃくちゃ面白いんだけど。

 そして急に煉が立ち上がった。

「りぃ、行くよ。」

「どこに?」

「あの人たちのところ。」

 あの人たちって…いいの出ていっても。それに黒のコートと死神ブックも持ってない。まさか、正体を現す気!?

 そんなことしていいの?!だって、最初にバレないようにコートを着ろって言われたじゃない!「煉!」そう呼び止めるも振り返ってはくれない。本当にこのままの姿で出て正体をバラす気なんだ。

 煉がいいなら私も着ないで行こう。そう思って手に持っていた黒のコートを椅子に掛けていった。


 あの6人がいる部屋の扉を開けた。放送で話すと思っていたのか扉が開いたことにビックリしていた。私達はそんなことは気にも止めずあの6人の前へと足を進める。

 光が当たって顔が見えるようになったときあの人たちはとても驚いた顔をした。それは当たり前だよね。だって、バレー部の仲間が死神の正体だったんだもん。

「え、嘘…煉とりぃ…なの…?」

 驚いたままの人の中で最初に口を開いたのは優だった。

「そうだよ。っていうか、僕らはこんなどうでもいいことをしに来たわけじゃないから静かにしてくれる?誰も喋らないでくれると嬉しいかな。」

 いつもの煉なら言わないようなことを言ったからさっきのことに重ねてビックリしていた。

 最初のことにはビックリしなかったけど、この言葉を吐いたときはさすがにビックリした。煉ってこんなことをいうひとだったっけ?なんか、死神になってからおかしくなってしまった気がする。

 そんな私たちを気にせずに煉は話を進めていく。

「僕らは逃げ役の3人に恐ろしいことを与えに来た。その恐ろしいこととは処刑すること、つまり殺すことさ。」

 逃げ役の3人は青ざめたような顔をした。

「なんで!?何で殺されなきゃいけないの!?」

「あー、うるさいな。喋るなって言ったのに。それは、君たちをよく思わない人がたくさんいるからさ。実際隣にいる3人も君たちを殺したいと思ってた人だよ。」

 逃げ役は隣にいる3人を見ては怒りをあらわにしたような顔をしている。まぁ、そりゃそんな顔をしたくなるよね。

「もうめんどくさいから進めるよ。鬼役は捕まえた逃げ役の前に立って。」

 鬼役は指示通りに動く。そしてスイッチを押して牢屋を壊す。これで逃げ役を取り囲うものはなくなった。

「鬼役の人にはナイフを与える。それで目の前にいるやつを殺して。」

 煉のその言葉に皆が顔を青ざめた。鬼役もそこまですると思ってなかったみたいで青ざめた顔で煉を見つめている。

「あれ?殺したいんじゃなかったの??今なら殺せるよ?今まで思っていたこと晴らせるんだよ?」

 私は、鬼役を挑発するような言葉をかけた。煉だけに喋らせておくわけにはいかないんもんね。私も楽しみたいし。

 私の言葉に我を忘れて目の前のものに集中する。ナイフを強く握りしめて。

 そして、皆一斉にナイフを振り上げる。

「……ろ…やめろ…!」

「そ、そうだ…!お前らがこんなことやって何になるんだ…!」

「そ、そうだよ…私達が何をしたっていうの……!」

 逃げ役の人達は怖くなったのか皆一斉に声をあげる。無様な姿。こんなことしてもなんの意味も無いのにね。

「殺すな?そんなこと出来るわけ無いでしょ?」

「そうだよ。私達はあんたたちにいなくなってほしくてこんなことやってんのに。」

「てなわけで、あなたたちにはいなくなってもらう。さよなら、邪魔な皆さん。」

 その言葉の後に全員がナイフを振り下ろした。でも、その刺したところは心臓ではなかった。お腹、足、腕、様々ななところを最初に刺して楽には殺さなかった。

 皆複数回刺して苦しみを与える殺し方をしていた。どれだけ恨みがあるんだか。まぁ、私も嫌いだったから丁度よかったんだけど。

 そして、鬼役が逃げ役を全員殺したことでゲームは終わった。それと同時に鬼役は光に包まれ元の世界へと戻された。煉によるとこのゲームについてや死神については全て忘れてしまうみたい。だから、これが公になったとき自分が殺したなんて少しも思うことはなく平凡な日々を送っていく。

 覚えてない方がいいこともあるからいいのかもしれないけど、私的には記憶に残しといて笑ってほしかったな。

 なんて思いながら私と煉はモニターがある部屋へと戻っていった。


投稿が遅くなってしまい申し訳ありませんでした…!

次の話を投稿するときは早めに仕上げられるように努力しますので次の話も読んでくださると嬉しいです!

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