よみがえった記憶
~優side~
今日もいつも通り茉菜以外のバレー部の皆と屋上に集まろうとしていた。でも、煉とりぃが来ない。何か用事でもあったのかな?だったら、一言くらい声かけてくれればよかったのに。ましてや、りぃとは同じクラスで席も近いんだからさ!芽亜里と明里と遅いねなんて話していた。
普通に話していたら急に目の前に黒いコートを着た怪しい人が現れた。顔はフードで隠れていてよく見えなかった。
その人たちに突然、
『いなくなってほしい人とかいる?』
って言われた。
なんで優たちなんだろうって思ったけど、いなくなってほしい人なんてたくさんいるから話を聞くことにした。
『殺したいとか思わないの?』
次はそんなことを聞かれた。
『そりゃ、当然思うよ?』
って芽亜里が答えた。
そうすると質問がかかれてるだけの紙とそのルールが書いてある紙を優たちに渡して去っていった。
"死神"言っていたけど本当なのかな?思い出すだけで寒気がする。でも、使わないとあの人たちを殺せないから使おう。そして、ルールの書いてある紙にはこう書いてあった。
【この□のところに殺したい人の名前を書いてください。書いたら机の上に見えるように置いてください。
そうすればゲームへの参加資格を得ることができます。ゲーム開始日や開始時刻はメールでお知らせします。ゲーム開始5分前になりましたらベッドに横になってください。
同じ目的の人が多数いた場合は全員でその人を殺してください。制限時間は30分。
ターゲットには脱出方法がありますので脱出されないうちに殺してください。】
……長ったらしい説明だな。もうちょっと簡単にできなかったのかな?まぁ、詳しく説明してくれれば分かりやすいけど、それにしても長かったよ!
でも、この紙を使えば岩田や佐倉を殺せる。ついでに茉菜も。明日、芽亜里たちと話し合って殺すかどうか決めようかな。
~煉side~
朝日で芽が覚めた。いつもはこんなのじゃ起きないんだけどね。多分、優たちににあの紙を渡せたからかもしれないね。
僕は、学校に行く準備をしてリビングに向かった。
…ん?なんか包丁で切ってる音がする。いつもは僕が1番に起きて朝ごはん作ってるのに。まさかと思いながらリビングの扉を開ける。
うん、予想通りそこには凜がいた。
「凜、なにやってるの?朝何かあるの?」
「あ、恋愛おはよ。特に何もないけどいつも煉に朝ごはんを作ってもらってるから俺も作ってみようと思って。ちょっと失敗しちゃったけどね。」
そう言われてテーブルを見てみると僕が作る品数より2品も多かった。でも、量は少なかったから僕でも食べられそう。
というか、失敗しちゃったとか言ってたけどこの完璧な見た目でどこが失敗してるって言うの?
「頂きます。」
「どうぞ、召し上がれ。」
たくさんあってどれから食べようか迷ったけど一番味付けがヤバそうな野菜炒めから食べてみた。
「うま。なにこれ、本当に凜が作ったの?料理できるなら手伝ってくれればよかったのに。」
「俺だってつい最近まで前々出来なかったよ。煉をビックリさせるためにるいに教えてもらったんだ。よかった、喜んでもらえて。」
今更だけどこの人は僕の兄貴。それでるいさんっていうのはりぃの姉貴で凜の彼女さん。姉妹してめちゃくちゃ可愛いんだよね~。
うらやましい。僕もりぃとるいさんみたいにもっと可愛かったらよかったのにな。そしたら、凜の妹としてもっと堂々としていられたのかもね。まぁ、どうでもいいけど。
あ、早くいかないと遅れそう。僕は急いでカバンを持って玄関に向かった。
「凜、今日休みなの?」
「ううん、行くけどいつもよりちょっと遅く行くから先に行ってて。」
「わかった、行ってきます。」
「行ってらっしゃい」
靴を履いて外に出た。下を向いていたから最初は気付かなかったんだけど、顔を上げるとそこはいつもの景色じゃなかった。後ろを振り返ってみると家のドアはなかった。まだ、一歩も歩いてないのに。
あーあ、完全に迷子になっちゃった。これじゃあ、帰るにも帰れないし案件しながら帰ろう。ワープで帰ってしまったらつまんないしね。
あ、りぃには電話しておこう。いつ帰れるかわかんないし。カバンからスマホを取り出してりぃの電話をかける。
『もしもし?どうしたの?』
「ごめん、ちょっと体調悪いから休む。先生に伝えてくれる?」
『え?わかった。大丈夫?しっかり休んでね?』
「うん、わかってる。」
ごめんね、嘘ついて。こんなのは言っても別によかったんだけどいつ帰れるか分かんなかったから仮病を使った。人生で初めて使ったな。
よし、じゃあ帰ろう。僕は、見たこともない道を自分の勘を信じながら進んでいく。これ、帰れるのか?
その時嫌な感じがして素早く後ろを振り向いた。そこにはレイドさんが立っていた。
「レイドさん、どうしたんですか?」
「いえ、ちょうど煉さんがいたので用を果たしに来ました。」
「僕に用ですか?」
「はい、あの記憶のこと何か思い出しましたか?」
少し気にしていたことをピンポイントで聞かれてドキッとした。聞かれたくなかった質問だったんだけど。
「いえ、まだです。」
申し訳なくなって下を向く。
「そうですか、なら手伝ってあげましょう。」
そう言って僕に手のひらを向けてきた。その瞬間いろいろな記憶がよみがえってきた。頭が痛くなって両手で抱えるようにした。数分くらい経つと痛みはおさまって全ての記憶が戻ってきた気がした。
「全て思い出したみたいですね。これからは、それを隠して生活力してください。いいですね。」
「わかりました。」
「こうしたのは私なのでお詫びに送ります。家で記憶などを整理してください。」
レイドさんはワープで帰してくれた。あーあ、楽しみが1つ消えたんだけど。まぁ、いいか。
でも、これで面白い事が出来そうだな。