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消えてほしい人。  作者: 玲蔭
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新しい先生

 岩田先生と佐倉先生が、白血病の病気により入院した。それで、バレー部の指導者がいなくなった。それで僕らは浮かれていた。とても嬉しくて。

 その時、ガチャッと扉が開いた。ビックリして扉の方を向くと誰かが入って来るようだった。

 その人物は、校長先生と知らない男の人だった。校長先生は関わりがあるけど、隣にいる人は全然知らないし見覚えのない人だった。僕は忘れっぽいから、誰かの知り合いかもと思ってまわりを見渡しても、誰も知らないみたいだった。ちょっと安心した。

 二人は、こっちに歩いて来て僕達の目の前で止まった。

「女子バレー部の皆さん、この方は入院してしまった先生の代わりに顧問をしてもらう、桐島先生です。」

「初めまして、桐島陽っていいます。バレーは、中·高とやっていました。楽しい部活にしていきたいと思いますので、宜しくお願いします!」

 この人が新しい先生か。まぁ、岩田と佐倉よりはマシだよね。多分。口先だけかもしれないけど。

 急に入ってきたと思ったら、先生紹介するためだったんだ。つまんなかったけど、時間潰せたからいっか。

 その後、陽先生は15分程度ずっと1人で喋っていた。途中までは皆聞いていたが、長すぎて集中が切れていた。

 僕は、それに気づいていたけど陽先生は話すことに夢中になりすぎていて、僕らの様子なんて気にしないし時間も忘れているようだった。

 最後の方には、これからの活動の内容を話していた気がするけど、全然覚えていない。先生も気にしてないからいいけど。

「じゃあ、また明日な!」

「は、はい…」

 やっと終わった…見た目は結構格好いいのに、中身は残念な気がする。それに、先生とは言えども話長すぎだから。ほんと、そういうのやめてほしいよね。

 話が終わってそのまま帰宅だから他の誰よりも先に体育館を出た。あんなところにあれ以上いたらおかしくなりそう。

「楝、待って!途中まで一緒に帰ろー?」

「あ、りぃか。いいよ。」

 振り返ったついでに体育館の入り口を確認してみるが、りぃ以外はまだ中にいるみたい。何もすることないなら早く帰ればいいのに。

 でも、僕はそんなことは気にせずに帰った。


 翌日教室に行くと、教卓の上に手紙が乗っていた。それは、僕とりぃ宛てだった。差出人は、岩田と佐倉。あの人達が出した手紙なんて読みたくないのに何で出すのかな。僕は今でも、あの人達のこと大嫌いなのに…本当にこのまま死んでくれないかな。あの人達の親族とかには悪いけど。

 というか、何でりぃのがここにあるの?これ絶対あの人の仕業だな…その瞬間扉が開いた。

「楝、ちょうどよかった。これ、岩田先生達から楝とりぃ宛てのだから読んどけよ。」

「あー、はいはい。あと、りぃは4組じゃなくて3組なんですけど。」

「お、悪い悪い。お前らいつも一緒にいるからいいかなと思ったんだよ。このくらいでそう冷たくすんなよー。」

「無理ですね。これが、僕の性格なので。」

 海先生って、なんでこんなにも絡んでくるの?他に絡める奴たくさんいるでしょ…

「直せ。」

「無理です。」

「またか…」

 僕と海先生は、いつものように言い争いをしている。りぃはそれをあきれた感じで見ている。ため息だってついてる。

 でも、僕らがこうやって話しているのを不満に思ってる人もいるらしい。知らないけど。僕はそんなの気にしない。言わせておけばいいよね。気にしてたらきりないし。

「ま、いつものことだから許してやるか。」

「別に許して頂かなくて結構ですけど。」

「可愛くないな。」

「それで、結構です。手紙は一応もらって置きます。」

「あぁ、ちゃんと読んどけよ!」

 読むつもりはないけど、速攻でカバンにしまった。帰ったら捨てようかな…読んだ瞬間倒れそうだし。

「楝、これどうすんの?」

「持ち帰って捨てる。読んだら吐きそうだし倒れそう。」

「だよね。私もそうしよ。」

 うん、そうした方がいいよ。僕達の最初の授業は体育だがら、ジャージに着替えて校庭に向かう。早く終わんないかなー。チャイムが鳴って授業が始まった。先生が階段から降りてくるけど1人の先生が2人になってる…しかも、片方は海先生だけどもう片方の先生に見覚えがあるような…?

 「はい、じゃあ、授業を始める前に新しい先生を紹介するな。桐島先生だ。」

「初めまして。俺は、桐島陽っていいます。昨日来たばかりですが体育の担当になったのでこれから宜しくお願いします!」

 僕とりぃにとって、2回目の挨拶だった。まさか、体育の先生にもなるなんて。なんか、嫌な感じ。体育、嫌いになりそう…

 クラスの皆は「格好いいね!」「優しそうな先生だね~」なんて言っていた。僕にはそう思えないんだけど。だって、女子バレー部に来る先生は大体ダメだから。

 最初はいい顔しといて、なれてきた頃に本性を表す。それが大体の先生なんだ。でも、陽先生は違って欲しい。そうすればちょっとは楽しいと思うからね。思い通りに行くとは思ってないけど、そうあってほしいな。

 今日の授業は、レクリエーションだった。先生との交流のためなんだろうけど、こんなのやる暇あったら音楽きいていたい。

 僕は、めんどくさいから隅の方に座っていようと思ったのにりぃと海先生に捕まって、バドミントンをやることになった。海先生も他の人とやればいいのに…僕と居たって絶対つまらないでしょ。まぁ、いっか。ちょっと楽しいし。

 あっという間に時間です過ぎて、授業は終わった。皆次々に帰っていく。

 その時誰かに肩を叩かれて振り向くと、いじめてると噂の女子グループがいた。

「ちょっといいかしら。」

 うわー。嫌な感じしかしないけど、面白そうだから頷いてこの人達の後をついていった。

 連れてこられたのは、校舎裏。

 立ち止まったと思ったら急に振り向いて、押された。それに、反応できなくて転んでしまった。

「…いって。」

「こんなの自業自得よ。」

「は?何言ってんの?僕、何かしたっけ?」

「あら、身に覚えないのかしら?山谷先生のことで。」

 あー、海先生のことか。嫌な視線飛ばしてたのはこいつらか。気づいてないふりしてたけど。

「あなた、山谷先生とどういう関係なの?」

「別に。ただの生徒と先生だけど。」

「あら、そうなの?そんな風には見えないのだけれど。ちなみに私は、山谷先生の友達の妹で小さい頃から遊んでいたのよ。」

 話が終わったと思ったら自分の話をぶっこんできた。僕、別に何も聞いてないし。聞こうともしてないし、興味ないし。勝手に喋ってどうしたんだろ。

「で、それは僕に何の関係があんの?」

「しらばっくれんじゃないわよ!!」

 この台詞と同時に僕を殴ろうとしてきた。動きは遅いし攻撃も単純だったから、相手の攻撃を避けて逆に一発かましてやった。しかも、お腹にね。それで、地面に倒れこんだ。

「あははっ!」

「何がおかしいのよ。」

「だって、殴ったつもりが逆に殴られるなんてトロすぎだし。思わず笑っちゃった。」

 それから、笑いが止まらなくなってずっと笑っていた。すると、相手はすっと立ち上がった。また、やるのか?

「お、覚えてなさいよー!」

 恥ずかしくなったのか早足で教室に戻っていった。そんなこと、いちいち覚えてられるか、バーカ。ほんとに頭悪すぎだし疲れる。もうちょっと暴言吐いてやろうと思ったんだけど、つまんないなー。次、絡んできたときに言ってやろ。あー、楽しい生活が送れそうかもね。とても楽しみ。

 教室に戻ると、なぜかりぃが僕の椅子に座っていた。クラス、違うよね?

「あ、楝!どこ行ってたの??急にいなくなったから、心配したんだよ!!」

「ちょっと女子グループと遊んで来ただけだから。」

「あ、そうなの?いや、楝のことだから遊ぶってからかったりすること…?」

「まぁ、そんなとこ。結構面白かったよ。」

「やっぱり、性格悪いねー。」

 りぃの言う通り僕は、性格悪いのかもしれない。自分じゃよくわかんないけどね。でも、この性格もう少し極めたいかも。そしたら、もうちょっと遊べるしね。

 でも、それからあのグループが絡んでくることはなかった。

 あーあ、結構楽しみにしてたのに。


 

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