夏樹と出会い
今日は、高校の入学式。
朝7:00に起きた、私 神楽 希美は、不安と少しの期待を抱いて家を出た。
昇降口にはたくさんの人だかり。
クラス分けの大きな紙が昇降口に入ってすぐの廊下に掲示されている。
?「やった!私○○と一緒だ!」
?「私クラス仲良い人全っ然いないよ〜」
という声があちこちで飛び交う。
私も必死に背伸びをして自分の名前を探す。
「あった。」
私は1-A。教室の場所を見てから移動する。
ガラガラ
ガヤガヤしていたクラスメイトの視線が一気に私に飛んでくるが、それはごく一瞬の出来事。
幸いなことに、私の席は窓側の端っこ。
座って外を眺めていると、
?「あの、」
呼ばれて振り返ると、人形みたいに整った顔をして首を傾げている女の子。同い年だがこの子には"女の子"の方が似合う。
「なんですか?」
私、なんかしたかな。
?「私、三澤 夏樹って言います。よかったら、友達になってくれませんか?」
思っていたこととは全く違うその言葉に思わず吃驚してしまった。
「えっ?!」
夏樹「ダ、ダメならいいんですけど、、」
「あ、いやそういうわけじゃ…」
まだいいともわるいとも言っていない私に、
彼女__夏樹が、ぱあっと目を輝かせた。
夏樹「友達になってくれるの?!ありがとう!!」
高校に来て、クラス分けを見て、教室に入って、少し静かにしていられると思えばまさかの友達第1号。トントン拍子とはこのことなんだろうか。
「私、」
夏樹「知ってる!希美でしょ!!すごいいい名前だよね。お母さんのセンス良すぎだよ。」
「あ、ありがとう。」
ほんとは、私なんかが友達でいいの?なんて聞こうとしたけど、今の夏樹の様子を見ていると、あったり前じゃん!って言われるのが目に見えている。
夏樹「希美!!これからよろしくね!!」
_____「うん、夏樹よろしく。」
この時私は、少しでも期待を抱いて高校へ来てよかったと思えた。