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俺が悪戯でキスマークを付ける件について

今回は遊が悪戯で自分で自分にキスマークを付ける話です

最初に宣言する事、悪戯はいくつになっても止められない!

では、どうぞ

 俺の隣りには安心しきったような顔をして寝ている遊華。仕事の疲れからか3人ともグッスリ寝ていて1人暇していた俺、藤堂遊は気分転換に海に行こうとしていたところ、寝起きの遊華に止められ、てっきりいつもと同じように返してくると思った。だが、不安そうな表情、不安そうな声で行かないでって言われて俺は今、遊華を抱き枕にしている状態だ。しかし、一向に眠くならない


「身体は疲れているはずなんだけどなぁ」


 不思議なもんで身体は疲れているはずなのに全然眠くならない。俺としては遊華をこのままにして部屋を離れる事はできない。精神的にも物理的にも


「仕方ない、トイレに行くか」


 海には行かないが、トイレには行きたい。生理現象は仕方ない。一旦、遊華から離れてトイレに行く


「ふぅ~、遊華に何かあったのかな?」


 手を洗いながら遊華に何かがあったのか?と考えてしまう。俺が見てきた限りは何かがあったとは思えない。むしろ、楽しそうに見えたが……


「楽しそうに見えていろいろあるのかもしれないな」


 トイレから出て遊華の元へ戻り、再び遊華の隣りで寝ようとしたが────


「あら、遊。どうしたの?妹が恋しくなったのかしら?」


 いつもの裏の顔状態の美月に声を掛けられた。まぁ、美月のこの顔が香月と遊華に見つかっても既に2人は知っているから美月が今更隠しても無意味なんだけどな


「美月か……別に妹が恋しくなったとかそんなんじゃない。ただ、怖い夢見た遊華の側にいないといけないと思っただけだ」

「知ってるわ。言ってみただけよ」


 この口調になっても俺をおちょくる事は止めないのね……


「はぁ、いつもの天然系じゃなくていいのか?美月」


 この状態の美月にからかわれたんじゃ調子が狂う。それに、寝起きじゃなさそうなところを見るとけっこう前から起きていたようにも見える


「いつもの感じでもよかったんだけど、遊華ちゃんの泣き声が聞こえたからね。さすがにいつもの状態で話しかけるなんてできなかったのよ」


 よくわからんが、美月には美月の思うところがあったんだろう。ちょうど暇してたところだし、少し話し相手にでもなってもらうかな


「ほとんど最初から起きてたのか」

「ええ、その場で起きてもよかったけど、とても起きれる雰囲気じゃなかったから、寝たふりをしてたってわけ」


 一旦、遊華の頭を膝の上に乗せ、美月と俺は向かい合う形で座り直す。さすがに横になった状態では話しづらい


「で、美月は俺に何か話でもあるのか?」

「ええ、さっきの遊華ちゃんの状態について一言だけ言うわ」

「ああ」


 内心ドキドキする。今まで美月と2人で話す事はあってもそれは天然系の顔をした美月であり、クール系の顔をした美月とは初めて話す。何を言われたもかわからない


「今までも怖い夢を見る事はあったみたいだけど、今回みたいに泣いたのは初めてよ。尤も、私が見た限りでの話だから遊から見て初めてじゃないかもしれないわね。だけど、私たちはあなたがいなくなったらとても悲しいし寂しいわ。遊華ちゃんじゃないけど、夢に見て泣いてしまうほどに。それだけは覚えておいて」

「あ、ああ、わかった」


 からかわれると思ったら真面目な話だった。普段からこれくらいの真面目さはほしいものだ。いつもまじめじゃなくていい。ただ、ドッキリを仕掛ける回数とか減らしてくれないかなぁ……痛感する


「さてさて~、真面目な話はおしまいだよ~」


 クールな美月から天然美月に戻ってしまった。この切り替えしを見ると二重人格を疑うが、違うんだよなぁ……


「真面目な話が終わったところでやる事は特にないぞ」

「そうだねぇ~」


 向かい合っていた美月は立ち上がり俺の方にやってきた。別に俺の方に来ても何もないぞ?遊華が俺の膝の上で寝息を立ててるくらいだ。


「お、おい、美月」

「ん~?なぁに?」


 美月は空いている俺の膝の上に頭を乗せた。今の俺は遊華と美月の2人を膝枕している状態になる。ってこれじゃ身動きが取れないんだが?


「どうして俺の膝の上に来たのかなと思って」

「ん~、私がそうしたかったから」

「さいですか……」

「いけなかったかしら?」


 ダメとは一言も言ってないが、美月さん?キャラがブレてますよ?どっちのキャラでも俺の膝の上から退かないのは決定事項みたいだが……


「別に悪いとは言ってない」

「じゃあ、遠慮なく堪能させてもらうね~」

「はいはい」


 香月が起きてきたら大変な事になりそうだな……ズルいとか言いそうだし。だけど、今はそんな修羅場を想定するより遊華と美月の寝顔を堪能するとしよう。


「おやすみ、2人とも」


 遊華と美月は俺の膝の上で幸せそうな顔をして、それぞれが規則正しい寝息を立てていた。しかし、まぁ、油断しちゃって。俺だって男なんだぞ?


「寝ている人間に言っても仕方ないか」


 起きてる時に言うならまだいいが、寝ている時に言っても仕方ない。悪戯……したいなぁ……


「顔に落書きなんてしたら2人とも怒るからなぁ……どんな悪戯するかなぁ……」


 膝の上の遊華と美月を見て思う。香月もそうだが、顔に落書きをしたら怒られるのは目に見えている。ここは家じゃなく旅館だ。それも込みで怒られるのは火を見るより明らかだ。なら、逆に考えてみよう。遊華たちの顔に落書きするから怒られるんだ。ならば───


「落書きはしないが、キスマークなら平気だろ」


 俺にキスマークが付いてたら遊華たちはどんな反応をしめすだろう?好都合な事にテーブルの上には口紅が3本ある。遊華、香月、美月のものだ。物は試しだな


 起こさないように遊華と美月を膝の上から退かし、香月を遊華たちの側に運ぶ。そして、寝ている遊華たちの口にそれぞれの口紅を塗り、俺は右頬を遊華の口に付けてキスマークを自分に付ける。同じ要領で左頬を香月に、額を美月に付ける。


「どうなっているかは知らんが、起きた時の反応が楽しみだ」


 俺はどんな反応を示すかだけを想像して眠りについた。あ、遊華たちに塗った口紅を落とすの忘れた……

 まぁ、いいか。落としたら落としたで面倒な事になりそうだし


「───!?」

「───!?」

「───!?」


 ん?なんか騒がしいな。静かに寝かせてくれよ……コイツ等にはもう少しお淑やかさが必要だな


「うるさいぞ……3人とも静かにしろ……」


 遊華たちの騒いでる声で俺は完全に目が覚めてしまった。まったく、静かにできんのか……


「うるさいぞじゃないよ!お兄ちゃん!」

「そうだよ!遊ちゃん!」

「これは騒がずにいられないよ!遊!」


 すごい剣幕で怒られてしまった。一体どうしたって言うんだ?騒ぐのは説明してからにしてくれよ……


「どうしたんだ?」

「「「これ!どういうこと!!」」」


 いや、これって言われてもわからん。ちゃんと名称を言ってくれ。


「これと言われてもわからんから説明できないのだが?」

「これだよ!!お兄ちゃん!!」


 遊華はいつの間にか取り出してあった鏡を俺に渡し、俺はそれを受け取って自分の顔を見た。そこには───


「あー、これか」


 左右の頬と額にキスマークが付いた自分の顔が写っていた。そう言えば寝る前に付けたっけ


「これかじゃないよ!説明してよ!遊ちゃん!」


 美月を先頭に遊華と香月も俺に迫ってくる。俺としてはそんなに目くじらを立てる事ではないんだが……


「これは俺が自分で付けたんだよ。ちなみに、キスマークは遊華たちのものだから嫉妬するだけ時間の無駄だぞ?」

「「「…………」」」


 キスマークをどうやって付けたかと誰のものかを軽く説明した後、遊華たちは黙ってしまった。


「信じなくてもいいが、俺を問い詰める前に自分の顔を鏡でよく見るといい」


 遊華から渡された鏡をテーブルの上に置き、付いた口紅を落とすべく俺はトイレの洗面台へ向かった。


「お、綺麗に落ちるもんだな。だが、今回は皮膚だから落ちたのかもしれんが、服に付いた事を考えると面倒な事になるな」


 服じゃなくて本当によかった。服に付いた事を想像はしたくない。今よりも大騒ぎになりそうだし


「確認できた?」


 部屋に戻ると遊華たちはワナワナと震えて怒っているように見える。いや、実際に怒ってると思うが……


「うん……これ私の口紅だった。お兄ちゃん、悪戯したんだよね?」

「ま、まぁ……」

「遊ちゃん、この口紅って案外高いんだよ?」

「そ、そうなのか……」

「遊はなんでキスマークを付けようと思ったの?」

「い、いや、何となく3人の反応を見てみたくて……?」

「「「…………」」」


 遊華たちは映画に出てくるゾンビのように立ち上がった。そして、そのまま俺にゆっくりと迫ってくる。その目に光はないが、いつものように暴走していないところを見ると精神的に安定してるのか?とも思うが……


「お兄ちゃん、キスマークつけてほしいなら言ってくれればいいのに」

「そうだよ遊ちゃん。私たちは言ってくれれば喜んでキスマークくらい付けるよ?」

「遊、恥ずかしがり屋さんだね……でも、そんなところも好きだよ」


 なんか別の意味で暴走しているな……ここは逃げるか。じゃないといろいろとマズイ。主に俺が表を歩けない的な意味で


「あ、いや、好かれてるのは嬉しいが、キスマークを付けてほしいとかじゃなくて、純粋に3人の反応が気になっただけで、別に付けてほしいとかじゃないから。だから、一旦落ち着こう?な?」


 何とかして遊華たちを落ち着かせない事には話にならない。


「「「無理」」」


 こうして俺は遊華たちにキスマークを付けられる事になったのだが、さすがに目立つところは止めてほしいという俺の要望に応えてくれたのか、3人とも首周りにキスマークを付けるという事でキスマーク騒動はケリが付いた


「はぁ、3人分のキスマークって首輪かよ……」


 現在、俺の首周りには3人分のキスマークがついており、なんて言うか首輪みたいになっている


「でも、お兄ちゃんは嬉しいでしょ?私たちからキスマークを付けられて」

「いや、妹と義姉にキスマーク付けられたってだけだし。まぁ、年上女性からキスマークを付けられるって言うのは俺的には嬉しいが」

「じゃあ、よかったって事でいいよね~」

「ま、まぁ、よかったかも」

「付けてほしかったらまた言ってね」

「気が向いたら」


 俺はニヤニヤしている自覚はある。だが、俺以上に遊華たちはニヤけているのは確かだろう。妹や義姉にキスマークを付けられて喜んでいる俺は世間から見れば変な奴に分類されるんだろう。仮に親父と敬にバレても弄られる未来しか見えん。

今回は遊が悪戯で自分で自分にキスマークを付ける話でした

寝てる間の悪戯っていくつになってもドキドキするものです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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