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家族の記念と遊華が怖い夢を見た件について

今回は家族で記念に旅行に来た証を残して遊華が怖い夢を見た話です

旅行に来た記念で旅館で残せるもの。携帯の写真以外で何があるでしょうか?

では、どうぞ

 山での撮影が俺の塩と串の要求で幕を閉じ、なんとも言えない空気になった。当初の予定では休憩が終わり、その後は機材の撤収作業をして解散だったらしいが、俺が休憩中に釣りをするという事で遊華たちを含むスタッフ一同は予定を変更し、俺の釣り姿を撮影する事になった。と聞かされた。俺の許可がなければ撮影した写真は身内だけで楽しむ予定だったが、俺が許可した事でそれを使用するという話だ。


「まさか俺の釣りしてる姿を撮られるとは思わなかった」

「だね、私もお兄ちゃんが魚釣りをするとは思わなかったよ」

「そうだねぇ~、しかも、あの後全員分の魚を釣り上げるとは思わなかったよ~」

「うん、でも、おかげで美味しい魚を食べられた。遊、ありがとう」


 俺たちは旅館に帰って来て部屋でくつろぎながらまったりと今日の撮影であった事を話していた。


「いやいや、元はと言えば俺が魚釣りをしたのが始まりだったし、全員分の魚を釣る事ができたのも運がよかっただけだ」

「またまた~、謙遜しすぎだよ。お兄ちゃん」

「そうだよ~、遊ちゃん」


 謙遜か……遊華たちはそう言うが、魚釣りって前日の天候とその日の天候によるし、今回は川だったが、川の状態にもよる。つまり、釣り初心者の俺からしてみれば今回はたまたま運がよかっただけなんだよなぁ……


「遊、ありがとね」

「お、おう」


 謙遜と言う遊華たちとは別に香月にはお礼を言われた。香月だけは謙遜とかそんな事を言わずにただお礼を言われただけだった


「お兄ちゃん!」

「遊ちゃん!」

「な、何だよ」


 遊華と美月に呼ばれ、狼狽え気味になる俺。香月に嫉妬でもしたのか?最近の遊華たちならあり得そうで怖い。


「「ゲームコーナーに行こう!」」

「は?」


 遊華たちから突然のゲームコーナーへの誘いだった。昨日は脱衣麻雀を引き合いに出したせいもあって部屋に強制送還されたが、今日に限ってゲームコーナーへの誘いって一体どういう風の吹き回しだ?


「遊、せっかくの家族旅行だからね。私もそうだけど、遊華ちゃんも美月も遊との記念がほしいんだよ」


 記念か……確かに家族旅行に来たのはこのメンバーでは初めての旅行だし、俺限定では過去に帰るかもしれないから記念としてはいいかもしれないな


「そうだな。家族旅行だし、記念にプリクラでも撮りに行くか」

「「「うん!」」」


 プリクラを撮りに行くと意気込んでみてはものの、この旅館のゲームコーナーってプリクラ機あったっけ?ない事はないと思うが、その辺りは行ってみない事にはどうしようもない。つまり、行かなきゃわからんという事だ


「ここのゲームコーナーにプリクラ機があるとは限らないが、行くだけ行ってみるか」

「あ、それなら大丈夫だよ。お兄ちゃん」

「うん、大丈夫だよ。遊ちゃん」


 何だ?やけに自信満々だな。なかった時の当てでもあるのか?


「やけに自信満々だが、なかった時の当てでもあるのか?」

「違うよ。お兄ちゃん」

「そうだよ、遊ちゃん」

「「あるのは来た時に確認してあるから、ないなんて事はないんだよ!」」


 この2人はここへ来た時に既に確認してたという事か。っていうか、それ俺も誘えよ!


「あ、はい」


 これも最初から計画の内に入っていたのだろう。本当に抜け目ない。遊華たちには敵わないな……ま、この旅行を楽しみたいからこその行動だろうな……


「遊」

「お兄ちゃん」

「遊ちゃん」


 遊華たちが俺に手を差し出す。浴衣姿だから尚の事その姿は可愛く見える。いつも振り回されているし、時々暴走もする。だが、俺自身は疲れはするが、それを嫌と感じていないのも事実だ。


「行くか」

「「「うん!」」」


 何も知らされていない状態だったかもしれない、遊華たちが暴走しすぎて疲れる事もあった。だが、この世界に来て初めての家族旅行だ。仕事でだが……しかし、仕事は今日で終わりだ。このお姫様たちの願いを叶えてやりますか


「で、どれに入るんだ?」


 ゲームコーナーへとやってきた俺たちだが、プリクラ機は2台ある。どちらか一方がホラー系のものなら入る個体は決まってくるが、どちらもホラー系のプリクラじゃない。どっちに入るか?だが……


「面倒だし、手前のプリクラ機でいいんじゃないかな~」


 美月の思いもよらない提案。美月はこういうの選ぶ時にもっと迷うかと思っていた。だが、意外と即決なんだな


「「賛成!」」


 遊華と香月も美月の即決に賛成してるが、2人ともじっくり選ばなくていいのか?とは言ったものの俺は遊華たちが撮りたいって言った個体に入る以外の選択はない


「これでいいのか?」


 一応は確認しておかなきゃな。入ろうとして違うなんて言われないためにも確認って大事だと思うんだ。


「「「うん」」」


 3人揃って同じ答えだ。つまり、入る個体はこれでいいというわけか……


 少しだけプリクラを撮った時の話をするが、俺たちは最初に家族全員でプリクラを撮ったが、その後は俺と遊華、俺と香月、俺と美月と俺は3人と1対1でプリクラを撮る事になった。正直、家族で撮ったのに個人で撮る意味がわからないが、遊華たちには思うところがあったのだろう。で、現在は────


「撮影は今日で終わりで明日は観光か……親父と羽月さんに土産も買わなきゃいけないし」


 お土産って何を買えばいいんだ?置物?それとも、食い物?お土産に何を買うか?っていうのは旅行の醍醐味だが、実際問題として置物のように破損しない限りは永久に残るものか食べたら消えてしまうものかでけっこう迷う


「親父たちのは食い物か酒でいいか。ま、酒に関してはあればの話だがな」


 誰もいないわけじゃないが、部屋が静かだ。それもそのはず、遊華たちは寝息を立てて寝ているからだ。身体は疲れているはずなのに眠れない事もあるから寝ている事に関しては文句はない。


「部屋にいても退屈だし、海にでも行くかな」


 ゲームコーナーへ行ってもよかったんだが、あまり金を使いすぎるのもどうかと思う。山に行ってもいいが、撮影で行ったばかりだから却下。それに何となくだが、海に行きたい。よって海に行くの決定


「おにいちゃん?」


 遊華が目を擦りながら起き上った。静かに動いたつもりだが、起こしてしまったかな?だが、夕飯の時間までまだあるし、遊華も疲れているだろう。寝かせておこう


「どうした?まだ寝てていいんだぞ」

「うん、でも、おにいちゃんはどこいくの?」

「気分転換に海に行く」


 遊華の事だ。この状態ならいってらっしゃ~いとかで済むだろう。まだ半分寝ぼけてるようだし


「いか……ないで」

「え?」


 予想外だ。まさか、行かないでと言われるとは思わなかった。寝ぼけていてもいつもと同じように返してくると思っていたんだがな


「そばにいて……」


 俺の手を握っている遊華の手は小刻みに震えていた。どうしたんだ?帰ってくる時は元気だったのに。怖い夢でも見たのか?だが、この分だと離してもらえなさそうだな……


「どうした?遊華」

「ゆめをみた……」

「夢?」

「おにいちゃんがいなくなった日の夢……」


 なるほど、俺が海に行くのを阻止して小刻みに震えていた理由はそれか……


「とりあえず、横になるか」

「うん」


 俺と遊華は2人で横になった。俺が立ったまま、遊華が膝立ちのままじゃ体勢的に疲れる


「俺がいなくなる夢を見て起き上がったところで現実の俺が海に行こうとしてるところに遭遇した。今の遊華はそういう状態か」

「うん……」

「で、俺がいなくなるって思ったのか」

「うん、10年前もお兄ちゃんは遊びに行ったきり帰って来なかったから……それで私すごく寂しかった」


 そういえば、俺がこの世界に来て一緒に寝た時にもそんな事言ってたな


「じゃあ、寂しくないように俺も一緒に寝る。そうすれば寂しくないだろ?」

「うん……でも、ちょっとだけこうしてていい?」

「ああ」


 遊華は俺を離さないと言わんばかりに抱きしめた。やがて静かに泣き始めた。声こそ上げてなかったが、今の静かな部屋には遊華の泣き声だけが響いた


「遊華、そのままでいいから聞いてくれ」


 泣き止んだ遊華に俺ができる最大の優しい声で話しかける。不安に駆られている遊華を案視させなきゃな


「うん……」


 安心はしても元気はないんだな。まぁ、安心するのと元気があるのとはまた別次元の話だしな。それに、遊華にとっては怖い夢だし、仕方ないか


「今の俺には友達はいるが、行く場所はない」

「うん……」

「行く場所がないって事は俺は家にいるしかないし、今の部屋は割と気に入ってるんだ。家を出て行くつもりもなければ遊華の前からいなくなったりもしない」

「うん……」

「だから、安心して寝てていいんだぞ。俺も一緒に寝るから。な?」

「うん、お兄ちゃんが一緒に寝てくれるなら寝る」


 遊華は安心したように眠り始めた。しかし、なんだって今、俺がいなくなる夢なんて見たんだ?仕事のストレスか?それにしても────


「遊華が怖い夢を見て俺と一緒に寝るのっていつ以来だ?」


 行かないでか……こんな事前にもあったな……いつだっけ?


「確かあれは、遊華がまだ5歳くらいの時だったか?」


 そういや、あの時は大泣きしてたっけ?あの時もこうして抱きしめて一緒に寝たっけな……


「あれから遊華が俺の布団に紛れ込んでる事があるようになったっけ……?」


 遊華が無愛想になり始めた時も俺の布団に時々紛れ込んでいた事があったけど、全部間違えたで誤魔化されていたような気がするなぁ……


「俺の布団に紛れ込んできた時って毎回怖い夢を見た時だったりしてな」


 ありえないと思うが、遊華が俺の布団に紛れ込んでくる事が多かったわけじゃないが、逆に少なかったわけでもない。


「本当、今じゃ起きてる時は暴走したりするが、寝顔は可愛いもんだな」


 何だかんだで可愛いから怒る気は起きない。見た目が悪くても俺はきっと妹が怖い夢を見たって言った時はこうして一緒に寝たんだろうな……


「遊華……」


 寝れない……遊華を抱きしめた状態になった時から全く眠れる気がしない


「はぁ、眠くなるまで待つとするか。ちょうどいい抱き枕もある事だし」


 俺は遊華を抱き枕代わりにして眠くなるのを待った。そういえば、俺が遊華と初めて一緒に寝た時もさっきみたいに不安そうな遊華を横にしてから寝たっけ?

今回は家族で記念に旅行に来た証を残して遊華が怖い夢を見た話でした

旅館でプリクラっていうのもゲーセンとは違ういいところがあると思います

今回も最後まだ読んで頂きありがとうございました

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