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香月と2人きりで部屋の風呂に入る件について

今回は香月と遊が2人きりで風呂に入ります

遊の1日って何だかんだで濃いなぁ・・・と最近になって感じ始めている

では、どうぞ

 長かった1日が終わる。これほど素晴らしい事はないだろう。特に精神的に疲労困憊しているなら尚の事だ。撮影を終えて戻ってきて、それから家族が壊れて、ゲームコーナーへ行こうとして強制送還されたと思ったら王様ゲームでのイカサマがバレて、そこからキャバ嬢ゲームなんて意味のわからないものにも付き合わされたっけ……で、夕飯を終えてもう寝るところだが、今日は香月が上で寝る番だ。1日ってこんなに濃いものだっけ?


「何はともあれ無事に1日が終わってよかった……」


 無事に1日が終わるって素晴らしい。何でもない1日を過ごすばかりの俺がこう感じるのはきっと遊華たちの暴走がいつもより酷かったからだろう。


「遊、約束忘れてないよね?」

「ああ、忘れてないよ」


 昨日、風呂に行く時に香月と一緒に風呂に入るという約束をした。その約束を果たすのは今日をおいて他にない。


「今、一緒に入らない?」

「いいけど。遊華と美月は寝てるし」

「じゃあ、行こうか」


 寝ている遊華と美月を起こさないように抜け出し、風呂場に移動する。一緒に入るからってお互いに裸ではない。ないとは思うが、間違いが起こってしまっては遅いからな


「うん……」

「じゃあ、水着に着替えてくるから少し待っててくれ」

「うん、私は下に着ているから先に入ってるね」

「ああ」


 俺は水着に着替える為に一旦トイレに行くが、香月は既に水着を下に着ていたらしい。


「はぁ、香月は最初からこの時間に俺と風呂に入る事を最初から決めてたか」


 別に驚きはしないが、香月の行動力には驚かされるものがある。それにしても……


「恋は盲目か……前に遊華が下着姿で俺と寝て、俺にキスしているところを見たが、今日は見境なさすぎだろ。遊華にしても香月にしても美月にしても」


 この旅行で3人とも狙って来ているのか?あるいは────


「考えても仕方ない。撮影を含めてあと2日もあるんだ。その中で真意を探るしかないか」


 真意を探るしかない。とは言ったものの俺自身、どうなるかは今の段階ではわからない。今は香月との約束を果たすしかない


「あんまり待たせるのも悪いし、さっさと着替えて風呂に行くか」


 俺は遊華と美月を起こさないようにトイレから出て風呂へに入った。


「お待たせ、香月」

「ううん、そんなに待ってないよ」

「そうか」


 既に湯船に浸かっていた香月が微笑みながら返してきた。こうして香月と風呂に入るのはいつ振りだ?1か月前────俺がこの世界に来たばかりの時に入ったきりか?その時は遊華と美月もいたっけな


「よっと、隣り失礼」


 身体を軽く湯で流し、そのまま風呂に入る。お互いに水着なので変に意識する事はない。普通にしていればいい


「うん」

「ふぃ~、温まる~」

「ふふっ、遊、おじさん臭いよ?」

「うるさい。今日はいろいろあって疲れてるんだ。少しくらいいいだろ」


 おじさん臭いと言われて思わず反論してしまったが、本当に今日はいろいろあって疲れた。特に香月、美月、遊華のせいで


「遊、それって私たちの事も含めて?」


 毎回思うが、目をウルウルさせて尋ねるのをやめてほしい。いや、マジで。


「それは内緒だ。別にどうでもいいだろ?俺の疲れた話なんて」


 正直に答えづらいのでつい突き放す言い方になってしまったが、香月が気にする事じゃない。これは俺自身の問題だからな


「よくない!」

「うおっ!?」


 香月が叫ぶ声にビックリして思わず声を上げてしまった。どういうつもりか知らないが、ここ風呂場な。普通に話していても声が響きやすいのに大声を上げると更に響く。遊華と美月は寝てるんだからボリュームを下げろよ……


「あ、ゴメン……でも、どうでもよくないよ。遊の事でどうでもいい事なんてないよ」


 そう思うなら俺の服の匂いを嗅ぐのとかを声掛けた時点で止めてほしかった。脱衣麻雀を出した俺にも悪い部分があったが、どう足掻いても画面から出てこない女に嫉妬して部屋に強制送還なんてしないでほしかった。


「俺も少し冷たかった。ゴメン」

「ううん、いいの。遊は言わないけど、元はと言えば私たちの行動が原因だし……」

「香月……」


 俺が言わなくてもわかっていたのか。香月が気にすると思って言わなかったのに、それを香月本人が言ってしまうのか……


「でも……私は……いや、私たちは遊にもっと見てもらいたい。他の女に目移りなんてしてほしくない……それっていけない事なのかなぁ……す、好きな人に自分を見てもらいたいって思って行動しちゃダメなのかなぁ……」


 とうとう香月は泣きだしてしまった。昨日、今日で美月、香月と2人の泣くところを見ているが、はっきり言ってズルいと思う。ここで泣くのは本当にズルい。しかも、俺に向けられる純粋な好意が原因だから尚の事だ。


「行動を間違えなければいけない事はない。だが、行動を間違えると相手に好かれるどころか逆に離れていく。それは解る?」


 俺は香月を抱き寄せ、そっと香月の頭を撫でる。心なしか口調が大人の女性と話す口調ではなく、小さな子供と話す時のようになっている。


「うん……」

「俺だって自由に遊ぶ時間くらいほしいし、自分の服に顔を押し付けられ、匂いを嗅がれたらうわって思うよ」

「うん……」

「だけど、俺にも好きな人ができて同じ事をしないって保証はないから、止めろとは言わないけど、少し抑えてくれると助かる」

「うんっ!」


 隣りに座る香月を抱き寄せて頭を撫でながら諭す。他人から見れば抱き寄せている以外は泣いている子供をあやしている親、もしくは兄のように見えるんだろうな……


「ところで、香月」

「ん?どうしたの?遊」

「遊華と美月が起きないかな?」


 俺の心配は香月が大声を上げ、ビックリした俺も大声を上げてしまった。それによって遊華と美月が起きないかどうかだ。


「あはは……どうだろ?」


 いや、どうだろ?じゃなくてね?遊華と美月にこんなとこ見られたら何言われたもんかわかったもんじゃない


「俺としては起きない事を願うばかりだ」

「私もだよ」


 疲れる事はないけど、不安要素は増えた。まぁ、今ので平気なら大丈夫だと思うが……


「そうだ、窓開けていいか?」

「?別にいいけど、何かあるの?」

「ああ、露天風呂と同じとはいかないが、ここからの景色もなかなかいいもんだぞ」


 俺は香月から離れ、窓を開ける。少し風が冷たく感じるが、それは俺が風呂に入ってるからだろ


「わあぁ~、綺麗~」


 子供のような顔で景色を見る香月。俺よりも年上の彼女がこの時は自分より年下に見える。悪い意味じゃなく、いい意味で子供っぽい。


「喜んでもらえて何よりだよ」

「うん!ありがと!遊」


 この笑顔を見れただけでも遊華と美月に内緒で一緒に入ってよかったと思う。


「香月、いつまでも立ってると風邪引くぞ」

「うん!」


 俺と香月は再び窓を開ける前と同じ体勢で湯に浸かる。同じ体勢になる意味は特にない。強いて言うなら、その場の雰囲気だ


「同じ体勢で入る意味あんのか?」

「何となくだよ。私がこうしたいからこうするの」


 香月は俺に身体を寄せてきた。まぁ、いいか。今は遊華と美月はいないし、他人の目もないし


「偶にはこうして2人だけで入るのもいいもんだな」

「うん」

「前回は遊華と美月もいたよな」

「うん、あれはあれで楽しかったよ」

「そうかい。俺はドキドキだったけどな」

「何で?」


 今は香月と2人っきりだが、前回は遊華と美月もいた。女3人に男は俺1人。ドキドキしないわけがない


「そりゃ、女3人に男が俺1人でドキドキしないわけないだろ。遊華と話すようになって、香月と美月と出会うまで俺は女に縁がなかったし」

「そうなんだ。でも、浩太君や他のお友達はいたでしょ?その繋がりで女子と何かなかったの?」

「なかった事はないけど、そうなると遊華が怖かったし」

「何で遊華ちゃんが怖かったの?」

「俺の本当の母さんが俺に女性関係、恋愛関係の話題を俺に振ってくる度にアイツは俺の事をスゲー目で睨んできたんだよ」


 当時の遊華とは会話こそないが、俺の女性関係の話や恋愛関係の話が出てくると凄い目で睨まれた。それこそ、人を殺せそうな目で睨んで来たなぁ


「その頃から遊華ちゃんは遊が大好きだったんだね」

「そうなのかな?」


 俺には当時の遊華の気持ちなんてよくわからないから何とも言えないが……


「今の遊華ちゃん見てるとそう思うよ。遊華ちゃんは10年前から遊が大好きなんだって」

「遊華が時々そんなような事を言ってたからそうなんだろうけど……」

「どうかしたの?」

「いや、10年前と今とのギャップが……」


 美月を見ていても思うが、本当にギャップってすごいと思う。遊華は俺と会話をするようになったで済むが、美月は完璧に別人だ。同一人物だとは思えん程にな


「人間なんだから同じ顔だけじゃないんだよ。私だって仕事の顔と遊にしか見せない顔を持ってるわけだし」

「そりゃそうだ」


 いつも同じ顔だったら精神的に休まる暇がないとおもう。遊華と香月もそうだが、これに関しては美月を見ていて1番そう感じる


「美月も普段は天然系キャラを演じているし、事務所もそれを売りに売り出しちゃったけど、本当のあの子は全然天然系キャラじゃないし」

「え?」


 香月は今何て言った?普段の美月は天然系を演じていて、本当の美月は全然天然系キャラじゃない?これは俺と美月しか知らないはずだが……


「ひょっとして遊は知らなかったの?」

「い、いや、そうじゃなくて」

「ん?何?」

「知ってたのか?美月の裏の顔の事」

「そりゃ姉妹なんだし、知ってるよ」


 意外だ。いや、意外でもないか。香月と美月は姉妹だし、知っててもおかしくはないが……


「香月が知ってるって事は、羽月さんも?」

「うん、知ってるよ。それどころか、遊華ちゃんも遊斗さんも知ってるんじゃないかな?遊が来る前からけっこうキャラ崩れかかってた事あったし。まぁ、バレてないと思ってるのは美月本人だけだよ」


 美月、今まで隠してた事は既に家族に筒抜けだったようだ。よかったのか悪かったのか……


「知ってたら何で指摘しなかったんだ?」

「指摘しようとしたんだけど、本人がやりたい事を姉である私が止めたら悪いでしょ?」


 こういうところは羽月さんにそっくりだ。やっぱ、香月は羽月さんの娘なんだな。そんな事を思っていると────


「お兄ちゃん!!」

「遊ちゃん!!」


 いきなり風呂のドアが乱暴に開け放たれた。開ける人間は限られてるが、もう少し静かに開けてほしかったよ……だが、何で2人とも水着なんだ?


「何だよ?遊華、美月」

「「私たちも入る!!」」


 遊華と美月の乱入により、静かだった風呂場が一瞬だが騒がしくなった。香月は香月で最初に言っていたのか、予想していたのか、何も文句は言わなかったし、驚いた声も上げなかった。結局俺たちはみんなで風呂に入り、景色を楽しむ事になった。

今回は香月と遊が2人きりで風呂に入る話でした

途中までシリアスだったのに、最後は美月と遊華が風呂に乱入

まぁ、いつも通りかな。なんて思います

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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