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俺がしたイカサマのタネ明かしする件について

今回は遊がしたイカサマのタネ明かしをする話です

中盤では遊華がオリジナルのゲームを提案します

では、どうぞ

 マジックのタネ明かしってワクワクしながら見た記憶がある。といっても間近でではなく、テレビ番組での話だ。だが、どこで見てもマジックってワクワクする。同じようにイカサマもしてはいけないとわかっていてもしてみたい。って思うが、ゲームを楽しむ為にしない。俺は今、そのイカサマのタネ明かしをするわけなんだがな。


「遊華、本当に裏面に変なところはなかったか?」


 念のために俺は遊華にさっきまで使っていたカードに変なところがないかをもう1度確認するように促がす


「う~ん、もう1回見てみるけど、変なところはないと思うよ?」


 遊華はカードを受け取り、もう1度確認する。左右から香月と美月も覗き込むが、変わったところを見つけた様子はない。


「遊ちゃん、変なところは見当たらないよ」


 遊華の右側から覗き込んでいた美月は変なところはないと言った。遊華たちには少々難しかったか?


「そうか……なら、カードを返してくれ」

「はい、お兄ちゃん」


 遊華からカードを裏向きのまま受け取り、その中のKのカードだけを抜き取り、残りのカードはテーブルへ置く


「3人ともよく見てくれ。このカードの右上の方だ」


 俺は遊華たちの注目をカードの右上に集中させた。遊華たちは注目したのち目を凝らしてカードの右上を見る。誰か気づくか?


「あ……」


 どうやら香月が何かに気づいたみたいだな。あれだけ目を凝らしていれば3人の内の誰かは気づくだろ……


「どうしたの?香月ちゃん?」

「何かわかったの?香月お義姉ちゃん?」


 遊華と美月はまだわからないようだな。まぁ、簡単にわかるようにはしてないし、わからないのも無理はない


「カードの右上の模様が一部分だけ少しだけ大きい」

「ええっ!?」

「またまた~、香月ちゃん嘘ばっかり~」


 遊華は驚き、美月は信用してないな。ま、パッと見じゃわからないレベルだから仕方ないけど


「香月、正解」


 信じられないといった美月と驚くばかりの遊華を余所に俺は香月に正解を言い渡す


「嘘!?本当に!?お兄ちゃん!ちょっと見せて!」

「遊ちゃん!私も私も!」


 遊華と香月がもう1度確認させろと言わんばかりに詰め寄ってくる。


「お、落ち着け!2人とも!」

「「むぅ~」」


 ふて腐れるなよ……まったく……そんなに慌てなくても見せてやるから


「見せてやるからふて腐れるなよ。ホラ」


 遊華と美月にカードを差し出した。だが、何度確認してもわかるかどうか怪しいものだな


「「本当だ……」」


 遊華と美月も見つけたみたいだな。さて見つけられたところで回収しますか


「見つけたならそろそろ返してほしいんだが?」

「あ、うん」


 遊華からカードを受け取り、それをケースに入れる。あとは説明だけだな


「俺は王様ゲーム中ずっとこのカードの模様が違うのを取り続けた結果、9回中9回全て王様になるって結果だったってわけだ」


 簡単に説明し、これにて平和的に王様ゲーム終了────


「「「へぇ~、そういう事だったんだ~」」」

「ああ、このトランプにはジョーカーとK、J、Qのカード全てに似たような細工をしてあるからカードを変えても同じような結果になるぞ?」

「「「じゃあ、今度はイカサマなしでやろうか?」」」


 にはならず、今度はイカサマなしで王様ゲームの再戦を要求されてしまった。


「い、いや、もう王様ゲームはいいかなぁ~なんて思うんだけど……」


 冷や汗が止まらない。イカサマをしたのは俺だけど、どうしてだろう?もの凄い嫌な予感がする


「ダメだよ?お兄ちゃんイカサマしたんだし」

「そうだね、今度はイカサマなしでやろう。ね?遊」

「そうだね~、イカサマされっぱなしじゃちょっとね~」


 3人ともやる気満々だと……?身の危険しか感じないんだけど……


「ねえ、やめない?王様ゲーム飽きない?もういいだろ?」


 何とかして止めさせる方向にもっていかなきゃヤバい。イカサマトランプを使って俺が王様になり続けたから平和な王様ゲームだったが、イカサマなしの王様ゲームだと誰に当たるかわかったもんじゃない!俺の身の平和の為にも何とかしなければ!


「お兄ちゃん、大丈夫だよ。私たちはお兄ちゃんが困る事は絶対しないから」

「遊華……」


 遊華……何だかんだで俺の事を思ってくれてるんだな……今なら遊華、お前に告白しても後悔しない!


「そうだよ、遊ちゃん……私たちは遊ちゃんが困る事は絶対しないよ」

「美月……」


 美月もいい義姉だな……俺が困る事をしないとは……普通の事だが、それが意外と難しいんだよ……


「遊、私たちは遊に嫌われたら生きていけない。だから、私たちが遊の嫌がる事をするなんてありえない」

「香月……」


 香月……みんな俺に依存気味になっているが、身内とはいえ女性にここまで思われて俺は幸せだ……


「「「だから、キスだけで許してあげるね!」」」


 前言撤回、遊華に告白したら後悔するし、美月はいい義姉じゃなくて危険な義姉だし、香月は身内の女性にキスを迫られるまでに思われるなんて俺はどうしていいかわからない


「勘弁してください!」


 親父譲りの断り方をするとは思わなかった。親父、美人と聞けばすぐに飛びつくアンタを尊敬しないが、女性関係でのトラブル処理能力と解消能力だけは素直に認めるよ


「お兄ちゃんがそう言うと思って私には考えがあるんだよ!」

「え?」


 意外だ遊華ならいつもと同じように強引な手で実行しようとするのに……


「お兄ちゃんに強引な手段に出ても絶対に従わないのは知ってるしね。だから、ゲームで決めようか」

「ゲーム?」


 これまた意外だな。遊華がゲームで何かを決めようと言い出すなんて


「そう、ゲーム。別に難しいゲームじゃないし、ゲームコーナーへの移動もなしだからいいでしょ?」

「ああ、それなら構わないが」


 遊華がどんなゲームを用意するか楽しみだ。だが、ゲームに使えるものなんてこの部屋にあったか?少なくとも俺が持ってきたのはトランプのみだったはずだし


「じゃあ、準備するからちょっと待っててね」


 遊華は俺から離れ、何やら作業をしている様子だが、一体何をしているんだ?何かを引く系だったらイカサマトランプがない分、俺がフリ……いや、遊華、香月、美月、俺。4人のバランスが調節されてちょうどよくなる。


「どんなゲームになるやら……」


 早くしないと寝てしまうぞ?はぁ、本当なら今頃はゲームコーナーでレトロゲームをしてたはずなんだが……


「準備できたよ。お兄ちゃん」


 準備を終えた遊華が戻ってきた。うん、さっきと何も変わらないぞ。どこが違うんだ?


「そうか。で?どんなゲームをするんだ?」


 遊華が用意したゲームだ。俺にとってはある意味で理不尽なものに違いない


「キャバ嬢ゲームだよ。お兄ちゃん」


 キャバ嬢ゲーム?聞いたことがない名前のゲームだな。名前からして嫌な予感ビンビンだな


「どんなルールなんだ?そのキャバ嬢ゲームっていうのは」


 嫌な予感がするが、ルールは聞いておこう。やるにしてもルールを知らなきゃ話にならない


「ルールは簡単だよ。この中でお客さんとキャバ嬢に分かれてお客さんから指名された人がその命令を実行するっていうゲームだよ!」


 王様ゲームと少し似ているな。今の段階だと客になる確率もキャバ嬢になる確率も同じように聞こえるが……


「して、その客とキャバ嬢はどうやって決めるんだ?くじ引きか?」


 王様ゲームのようにくじ、あるいはカードを引いて決めるのか?


「くじ引き?そんな甘くないよ?このゲームは」

「はい?ルールは王様ゲームと似たような感じだし、これはサバイバルゲームじゃないんだろ?生き残りを賭けた。とかじゃないなら気楽にやってもいいだろ?」

「このゲームのお客さんとキャバ嬢を決める基準はゲームに参加する男女比によって決まるんだよ。人数の多い方がお客さん。少ない方がキャバ嬢。お兄ちゃん、この意味、わかるよね?」


 参加する男女比で客とキャバ嬢が決まる。多い方が客で少ない方がキャバ嬢。つまり、この部屋の男女比は男は俺1人で女は遊華、香月、美月の3人。つまり、キャバ嬢は俺1人って事か。え?俺1人?しまったぁぁぁぁ!!


「遊華たちは最初から俺に言う事を聞かせる気だったってわけか……」

「もちろん。そもそも、このキャバ嬢ゲーム自体が私が考えた対お兄ちゃん専用ゲームだし」

「最初から俺が何かしでかした時のゲーム。そういう解釈でいいのか?」

「うん、こうでもしないとお兄ちゃんと距離を縮められないから」


 いやいや、俺と距離を縮めるためだけに新しいゲームを考案した事がスゲーよ。遊華は亡くなったと言われている俺の本当の母さんよりも親父似だな。こういった行動面では。


「いや、俺との距離なんて別に縮める程のものじゃないだろ。俺は基本的には家にいて家事してるだけなんだし」


 遊華の言う俺との距離なんていつでも縮められるだろ。それこそ家にいつもいるわけだし


「遊ちゃん、それ本気で言ってる?」

「え?」


 美月、何をそんなに真剣なんだ?俺との距離なんて何度も言うが、家にいたらいつでも縮められるだろ?


「遊はいつでも家にいるよ。それこそ私たちが仕事を終えて出迎えてくれるのはいつも遊だよ」

「そりゃそうだ」


 香月が何を言いたいのかわからない。ごく当たり前の事を改めて確認する意味があるのか?


「でも、お兄ちゃんとの距離は一向に縮まらない。お兄ちゃんが無意識のうちに私たちと距離を一定に保とうとしているのは目に見えてる。だけど、私たちはそれ以上の距離に行きたいんだよ。お兄ちゃんともっと近い距離に……お兄ちゃんはこの旅行でそれを目の当たりにしたじゃん」


 心当たりはない事もない。俺の服の匂いを嗅いだり、この部屋で俺だけの水着ショーを開いたりとイベントはあった。だが、水着に至っては家でも過去2回程あった。スキンシップも大体似たような感じだった。服の匂いを嗅いだのはこの旅行が初めてだ。


「いやいや、水着姿やスキンシップは割といつでもされてるからいいが、自分の服に顔を押し付けて匂い嗅ぐ人はちょっと……」

「「「そんな!?」」」


 いやいや、驚かれても困るんですけど?何か俺が可笑しい人みたいだけど、普通の反応だからね?3人とも忘れているようだけど、俺15歳な?普通なら抱き着かれるのだって嫌がる年齢だからな?っていうか、人によっては姉や妹と会話すらしないからな?俺が状況含めて特殊なだけだぞ?





今回は遊がしたイカサマのタネ明かしをする話でした。

遊華が中盤で出したオリジナルゲームは遊と確実に何かをする為だけのゲームであり、王様ゲームに似てはいますが、一切の関係はありません。ルールも遊が圧倒的に不利になるように作ってありますし

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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