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俺が遊華たちと王様ゲームをする件について

今回は遊が遊華たちと王様ゲームをする話です

結果は……見てのお楽しみ!

では、どうぞ

 ゲームがしたい……旅行に来た時くらい我慢できないのか?なんて言う人もいるだろう。だが、俺、藤堂遊は切に願う。ゲームをさせてくれと……はぁ……どうしてこうなった?俺が脱衣麻雀を例えに出したからか?あくまでそれは俺が部屋に強制送還された原因でしかない。仕方ない状況確認だけするか……


「お兄ちゃん、嬉しいでしょ?」

「何が?」


 いきなり嬉しいでしょ?なんて言われても意味がわからない。ちゃんと主語をつけろ


「遊ちゃんがゲームしたいと思って遊ちゃんの荷物の中からトランプを見つけたんだよ?」


 確かに、俺はトランプを入れたが、何でトランプを入れた事を知っている?そして荷物を勝手に漁るな


「いろいろ言いたいが、トランプはあったらいいなくらいの気持ちで入れたんだ。見つけてもらっても嬉しくはない」


 トランプを見つけたからと言ってどうという事はない。トランプで遊べるゲームは相手ありきのものしかない。つまり、遊華たちの中の誰かが俺と遊ぶ事になる。今の状態の遊華たちなら賭けをしようなんて言いかねない


「遊、このトランプで何かゲームをしないか?」

「ゲームって言ってもみんなでできるやつだよな?」


 トランプのゲームは大勢でやるものが多いが、ゲームの選択次第ではルールが違う事があり、それが原因で喧嘩になりかねない。


「もちろん、全員参加のゲームだよ!遊ちゃん!」

「ならいい。で?何をやるんだ?」


 全員参加なのはいい。あとはゲームの中身だ。ババ抜きか?ダウトか?まぁ、()()トランプなら問題なく俺が勝つけどな!


「王様ゲームだよ!お兄ちゃん!」

「はい?」


 トランプがあるにも関わらず、どうして王様ゲームなんだ?他にもゲームの選択肢はあったはずだ。


「どうしたの?遊ちゃん?王様ゲームのルール知らないとか?」

「いや、王様ゲームのルールは知っているが、どうしてかと思ってな」


 ルールを知らないわけじゃないが、あえて王様ゲームを選んだ意味がわからない……


「遊は私たちが普通のゲームを選んで賭けをするなんて効率の悪い事をすると思ったのかな?」

「そんな事は思ってないぞ?」


 香月に言われるまで気づかなかったが、他のゲームを選んで賭けをするより王様ゲームを選んで自分のさせたい命令をさせた方がよっぽど効率がいい


「お兄ちゃんは私たちが賭けをすると思ったんだよね?」

「あ、ああ」

「ふっふ~ん!残念だったね!遊ちゃん!私たちだって考えてるんだよ!」


 意外だ……俺と接する時は本能に従っているだけだと思っていたのに


「遊、トランプから1~3とKのカードを選んで」

「わ、わかった」


 香月に言われた通りに俺は1~3とKのカードを選ぶが、各デザインの中からどれを選ぶかによってはこの王様ゲームにおいて俺が王になる確率は格段に上がる。俺が選ぶべきカードは────


「お兄ちゃん選び終わった?」

「ああ、今選び終わったところだ」


 1~3とKのカードの計4枚以外のカードをケースに入れ、選んだ4枚をテーブルに置く


「遊ちゃん、全部ハートで統一したんだね」

「ああ、3人の事を思うとこれ以外は考えられなかったからな」

「遊……」

「お兄ちゃん……」


 さっきは言わなかったが、遊華たちの事を思うとハート以外の選択肢はない。これは嘘じゃないが、ハートを選んだ意味はもう1つある。それは────


「見つめられても困るんだが……まぁいい。始めようか」

「「「うん」」」


 こうして俺たちの王様ゲームがスタートした。カードを引く順番は年の順という事になり、香月、美月、遊華、俺の順になった。


「「「「王様だーれだ?」」」」


 引いたカードを確認し、この場にいる全員が互いにチラチラと視線で確認する。口では言ってないが、その視線は誰だ?誰だ?と言っているようにも見える


「あ、俺だ」


 ものの見事にKのカードを引いた俺。まぁ、最初から俺が王様のカードを引くなんてわかりきってたけどね。


「お兄ちゃん命令は?」


 遊華よ、キラキラした視線を送ってきても簡単には指名しないし、できない。


「遊ちゃん!何番と何番を指名するのかな?」


 1~3のどれを指名してどんなな命令をしたら迅速で平和に終わるだろうか……


「遊、早く」


 急かすな香月、今考えてるから。う~ん、そうだなぁ……あ、あれにするか


「よし!じゃあ、命令するぞ?」

「「「うん」」」

「この王様ゲームを止めよう!」

「「「却下!!」」」


 チッ!やっぱダメか!王様の命令でこのゲームを早々に終わらせるつもりだったが、案の定却下されたか……


「お兄ちゃん、このゲームを終わらせるとか、次の王様の命令を聞くな以外の命令でお願いね」


 次の王様の命令を聞くなって命令を出すつもりは毛頭なかったが、ゲーム終了の命令ができなくなってしまった


「仕方ない。じゃあ、1番と2番が握手で」


 握手なら可もなく不可もなく穏便に済ませる事ができるだろう。それに、遊華たちの狙いは俺と何かする事だろうし


「私が1番だけど、2番は?」

「2番は私だよ~」

「遊華と美月か」


 命令通りに握手をする遊華と美月だが、その表情は心なしかガッカリしているように見える


「さて、無事に握手が済んだところで次に行こう。ね?遊」

「そうだな。次に行くか」


 俺がカードを回収し、それをシャッフルしてテーブルの上に置いた。さて、次のゲームを始めようか


「全員引いたか?」

「「「うん!」」」

「「「「王様だ~れだ」」」」


 2回目のカード確認だが、この瞬間がみんな緊張する瞬間である。自分がどのカードを引いたかが気になるのが1番だが、自分が王様を引いたんじゃないか?という微かな希望を抱く瞬間でもある。


「あ、また俺だ」


 2回目の王様を引いた俺だが、遊華にゲーム終了や次の王様の命令を聞くなというゲームに関する命令以外でと言われている為、それ以外で可もなく不可もない命令を考えなきゃいけない。


「遊、命令は?」


 香月よ、何を期待しているかは知らんが、俺は王様と何かするなんて命令はしないぞ


「そうだな、3番が2番にしっぺかな」


 子供の罰ゲームみたいな命令だが、これをあと何回か繰り返しているうちに遊華たちも飽きるだろ


「3番は私だけど、2番は?」


 3のカードを持った香月が名乗り出た。3番は香月で2番は誰だ?美月か?遊華か?


「2番は私だよ~」


 美月が2番だったか……これはこれでありだな。俺には何の害もないし。高みの見物って最高だな


「いくぞ、美月」

「うん、痛くしないでね?」


 美月よ、痛くしないでねって言うと高確率で痛くされるぞ?痛いのは俺じゃないけど


「ふんっ!」


 ペシッて効果音のあとに美月がいた~い的なリアクションをするのか……俺は香月がしっぺをする前まではそんな平和な場面を想像していた。香月の掛け声もえいっ!とかそんな感じだと思っていた。だが、実際は、ふんっ!って掛け声で美月にしっぺをして、された美月はと言うと……


「いったぁぁぁぁ!!」


 腕を抑えて床を転げまわっていた。この光景が公になったら香月と美月のファンはどう思うんだろ……美月に至っては天然系で事務所が売り出しちゃったわけだし……


「お兄ちゃん、あれ、大丈夫なのかな……」


 俺としてはそこそこ面白いんだが、遊華は声の仕事をしている。場合によってはイベントに参加して顔を出してる。そんな立場の遊華からしたら、この光景はさぞ見せられたものじゃないだろう


「さぁ?明日に残らなければ大丈夫じゃね?」


 俺は未成年だから知らんが、二日酔いになった親父を何度か見てきたからわかる。次の日に残るほど酒は飲むものじゃない。そして、もう1つわかった事がある。それは、叩かれた痕も同じで次の日に残らなければどうという事はない


「お兄ちゃん……」

「さて、次いってみようか」


 香月のしっぺが美月に炸裂し、遊華の視線が若干冷たかった。何はともあれ次のゲームだ。


 3回目も俺が王様になり、遊華たちに命令を下す。その後もずっと俺が王様を引き続けるのだが、10回目を迎えようとしたのだが────


「お兄ちゃん、イカサマしてない?」


 遊華のこの一言で俺の手が止まるのはもちろんだが、香月と美月の手も止まった。いきなりイカサマを疑われたらそりゃ手も止まるだろ。


「ど、どうしてそう思うんだ?」


 嫌な汗が全身から吹き出す。結論から言えば俺はイカサマをしたが、それはそう簡単にバレるものじゃない


「今までお兄ちゃんが王様になった回数は9回中9回だよ?2~3回なら偶然で済ませられるけど、9回も王様を引くなんて偶然にしては出来過ぎてるよね?」

「言われてみればそうだね~」

「確かに、おかしいね」


 遊華の意見に美月と香月も同意している。俺もされてる側なら変だと思う。だが、強運の持ち主ならそれも可能じゃないか?とは思わないのか


「確かに、9回中9回は変だと思うのは当たり前だが、俺が強運の持ち主だと思わないのか?」

「お兄ちゃん、そんな言い訳が通用すると思う?」


 正直、こんな言い訳……いや、言い訳にもならない理論が通用するわけがないと思う。だが、バレたら終わりだという事もよくわかる。


「い、言い訳だなんてとんでもない。俺は真実を言っているまでだ」


 取り乱さないで平静を装う。取り乱したらイカサマをしてますよって自白しているようなものだ


「お・に・い・ちゃ・ん?」

「ゆ・う?」

「ゆ・う・ちゃ・ん?」


 3人からの笑顔の圧力が俺に圧し掛かる。これ以上惚けるのは無理か……諦めも大事だよね


「ごめんなさい!」


 親父譲りの綺麗な土下座を披露するハメになった。こればっかりは俺が悪いので文句は言えないのは重々承知だ


「で?どんな手を使ってお兄ちゃんは連続で王様になってたのかなぁ~?」


 俺は胡坐を掻かされ、その上に遊華が俺と対面する形で乗り、美月が俺の右腕に絡みつき、香月が左腕に絡みつく形で尋問されている。


「遊、大人しく白状した方が身の為だよ?」

「そうだね~、もう言い訳なんて通用しないんだし、さっさと吐いて楽になっちゃいなよ~」


 遊華に加えて香月と美月にも尋問されている。ここは素直に自白した方がいいか。それにしても、王様を引き過ぎたか……遊華たちが飽きる前にバレるとは


「わかったわかった!言うからこれ以上拘束するのは止めてくれ!」

「「「よろしい!」」」


 結果は違ったが、俺の望み通り、王様ゲームが早く終わったのでタネ明かしといきますか。断じて遊華たちが怖いとかそういうんじゃないからな?


「じゃあ、タネ明かしするから俺から離れてくれ」


 遊華たちは何も言わずに俺から離れた。だが、これからされるタネ明かしに少しワクワクしてるみたいだが、実際はそんなに大した事はしていない


「お兄ちゃん!早く早く」

「そうだよ!遊ちゃん!早くタネ明かしして!」

「どんなものか楽しみ!」

「はいはい、わかったから落ち着け」


 遊華たちの目はまるで新しいオモチャをもらった子供のように輝いていた。


「じゃあ、まず、さっきまで使っていたこのカードだが、3人で表面のイラストに変なところがないか確認してくれ」


 俺はさっきまで使っていたカードのイラストが描かれた部分を遊華たちに確認させた。ま、イラストには何もないんだけどな


「どこにも変なところはなかったよ?遊ちゃん」


 確認を終えたカードを美月が代表して俺に渡す。美月の言う通り、表には何もしていない


「表には変なところはなかったな?じゃあ、裏面を確認してくれ」


 返却されたカードをもう1度遊華たちに渡し、変なところがないかを確認させる。


「お兄ちゃん、裏面にも変なところはなかったよ?」


 香月と美月も遊華の言葉に同意するように頷いている。だが、裏面には変なところがあるんだなぁ~


「遊華、このカードの裏面をもう1度確認してくれ」


 俺は遊華にもう1度カードを渡し、確認するように言った。言わなきゃ多分わからないだろうけどな




今回は遊が遊華たちと王様ゲームをする話でした。

結果は遊が連続で王様を引くという結果になりました。

次回はイカサマの解説をします

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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