表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/116

美月の本当の顔が久々に出てきた件について

今回は美月の本性というか、本当の顔が久々に出てくる話です

ギャップって素晴らしいと思う。そんな感じの話です

では、どうぞ

 幸せって何だろうな?女にモテる事?それとも、一生かけても使いきれない金を得る事?はたまた大金を使って贅沢三昧する事?人によって幸せの形っていろいろあると思う。貧乏でも幸せだって言う人がいるし、好きな人と一緒にいるだけで幸せって言う人もいる。つまり、幸せとは本人の裁量で決まるんじゃないか?と俺は思う。俺にとっての幸せは……


「幸せって何だろうな」


 水着姿の遊華たちに抱き着かれた状態で不覚にも寝てしまった。それほど俺は疲れていたのか?それとも3人の体温が俺が寝るにちょうどいいものだったのか?


「お兄ちゃん、いきなり何言ってんの?」


 どうやら起きていたらしい遊華が理解できないと様子で問いかけてきた。そりゃそうだ。いきなり幸せってなんだろうとか言ったらこの人何を言ってんだって言いたくなるわ


「いや、家族とはいえ俺は3人の美女に抱き着かれて寝ているわけだが、人によってはこの状況はかなり幸せな状況だが、俺にとっては慣れてきていつもと変わらない状況だからな。幸せってなんだろうなぁ~と思っただけだ」

「そう。だけど、幸せなんて人それぞれ違うと思うよ?私はお兄ちゃんと一緒にいられるだけで幸せだし」


 この世界に来た時も思ったが、誰だコイツ?時々だが、目の前にいる人物は本当に妹の遊華であるかがわからなくなる。10年前の遊華は俺限定だが、いつも無愛想だったし、言葉もきつかったからな。だが、今の遊華はこんなにも素直だし、年上だが、たまには兄らしいところを見せてやりますか


「ありがとな。俺も遊華と一緒にいれるだけで幸せだよ」


 俺は遊華の頭をワシワシと撫でる。ちょっと乱暴になってしまったような気がするが……


「ちょ、ちょっと!髪の毛崩れる!」

「ご、ごめん……」


 案の定怒られた。しかも、頬をぷく~っと膨らませている。こういった部分を見ると遊華が年上になっているという事を忘れてしまいそうなくらい可愛いと思う


「もうっ!撫でるなら優しく撫でてよっ!」


 撫でられるのは嫌じゃないのか……嫌がられたら嫌がられたで悲しいが、嫌がられないなら嫌がられないで複雑だ


「ここって嫌がるところじゃないの?」

「はぁ?何でお兄ちゃんに撫でられるのを嫌がらなきゃいけないの?」


 何で遊華は理解できないって顔しながら俺に撫でられるのが当たり前みたいな顔してるの?


「いや、あんま引き合いに出したくないけど、10年前は俺に触れさせすらしなかったじゃん」


 過去の事を引き合いに出すのは狡いと思うが、素直になった遊華ともうちょっと遊んでみたいとも思う


「そ、それは、当時はお兄ちゃんに好きって素直に言うのは恥ずかしかったし……嫌われたくなかったし……」

「嫌うかよ、遊華は大切な妹だ。むしろ、今みたいに素直になった方が好感が持てるぞ」


 なんて言ってもこの世界に来なきゃ俺は遊華とちゃんと向き合おうなんて思わなかったし、高校卒業と同時に家を出て行く予定も変わらなかった


「お兄ちゃん……」

「遊華……」

「でも、お兄ちゃんが高校卒業と同時に家を出て行くっていう目的でお小遣い貯めてたのは見逃さないし、許してないから」


 何でここでそれを思い出すんですかねぇ……香月と美月が寝ているのが唯一の救いだが……


「遊……」

「遊ちゃん……」

「ふ、2人ともどうした?そんなに怖い顔して」

「「さっきの話詳しく聞こうか?」」


 前言撤回、香月と美月も既に起きていました。そして、バッチリ話を聞いていました。


「よ、ようやく解放された……」


 あの後、遊華たちは水着の上から浴衣を着て俺はその間にどうにかして逃げ出そうとしたが、逃げ切れず、遊華、香月、美月の3人から洗いざらい説明させられた。そもそも、俺が未来であるこの世界に飛ばされる前の話で香月と美月には関係ないし、当時は遊華にも嫌われていると思っていたと話し事なきを得た。


「お疲れ、遊ちゃん」


 俺が疲れる元凶その1である美月がオレンジジュースを2人分持ってやってきた。一応言っておくが、お前も俺の疲労の原因だからな


「疲労の原因がオレンジジュースを持ってきました。仲間にしますか?」

「遊ちゃん酷い!?」


 やかましい!遊華が無愛想状態、香月と美月がいなかった頃の事を正座させられて話す俺の身にもなってみろ。少し弄ったくらいがちょうどいいんだ


「悪かった悪かった。だから、早く要件をどうぞ」

「むぅ~、さっきのお詫びにせっかくジュース買ってきたのにぃ~」

「はいはい、ありがとう」

「遊ちゃん適当!」


 もう返す気力すらない。まるで生気を吸い取られたみたいだ。気力って意味だと吸い取られたが……


「適当で結構。用がないなら寝かせてくれ」


 さっき寝たはずなのにまた寝る俺……ダメ人間の典型みたいになりつつあるのは何でだろう?


「遊ちゃん、寝るなら膝枕してあげようか?」

「は?急にどうした?」


 この旅行に来てから遊華と香月もそうだが、俺に膝枕しようか?なんて提案した事なんかない。俺が風呂に行ってたり、仕事の準備があったり何かと忙しかったせいもあるが……


「いや、してあげてないなぁ~と思って。それに遊華ちゃんと香月ちゃんはお風呂行っちゃてていないし」


 遊華と香月は俺を問いただすだけ問いただした後、最後に“家を出て行くなら私も連れて行く事!”なんて言い残してさっさと風呂に行った。


「本当に寝る予定はなかったんだが……」

「ええ~じゃあ、嘘吐いたの!?」

「嘘じゃない。ちょっと言ってみただけだ」

「そう……」


 美月の表情が普段のポワポワしたものではなく、本気で落ち込んでいるように見えた。そして─────


「ねぇ、遊」


 1か月前か?美月と初めて一緒に寝た時に出た表情に変わっていた。遊華と香月がいなくて助かったような気もするが、俺の身が危険に晒されているような気もする


「な、何だよ。美月」


 口調や表情は違うが、目の前にいるのは美月だ。だが、何でこの口調と表情になるのか解らない


「遊は私たちに何かしてもらう事に対して遠慮してない?」

「いや、してないが?」

「本当に?」

「してないぞ。俺は美月たちの収入で生活できている部分があるからな。それ以上求めたら罰が当たるしな。」

「そう……」


 美月は何が言いたかったんだろう?あれか?俺と一緒に遊びたいとか?


「美月はどうしてこのタイミングでその口調になったんだ?いつもは天然系のフリしてるのに」

「フリは余計よ。ただ、いつもニコニコしてるのって疲れるじゃない?遊と2人きりの時くらい本当の自分でいたいのよ」


 美月はあっけからんとした表情で答えた。いつもの美月は天然系のお姉さんだが、今の美月はセクシー系のお姉さんだ。俺はどっちも好きだがな


「美月、遊華たちの前でそれ出さないのか?」


 偽るくらいなら出してしまえばいいのではないか?俺は心の底からそう思うんだが……


「嫌よ。そんな事したら嫌われちゃうじゃない」

「いや、嫌いにはならないと思うが……」

「そう?」

「ああ、遊華は俺の妹だし、そんな事で嫌う事はしないと思う。香月は美月の実の姉なんだし、嫌われはしないだろう。っていうか、声優なんだから、そういうクール系の役のオファー来るでしょ?」

「…………」


 美月は笑顔のまま固まった。どうしたんだろう?え?そういった役のオファー来た事ないとか?まさか、まさかね?そんな事ないよね?


「クール系の役のオファーとか来た事ないのか?」

「……!?」


 今度は美月の身体が固まったままビクッと跳ねた。まさか……図星?


「図星か?」

「ええ、クール系のキャラの役はオファーはもちろんオーディションすら受けた事ないわ」

「マジで?」

「マジよ。私を売り出す時に事務所は天然系声優として売り出していたから。そうしているうちに天然系のキャラのオファーやオーディションは受けてもクール系は1回もないわ」


 声優の仕事はよくわからないが、いろんな役をやってこその声優じゃないの?ピンポイントで特定のキャラだけやらせるってどうよ?


「キャラ作りとか言えば美月のその状態もみんな問題なく受け入れてくれるだろうに……」

「た、確かに……」


 本人も気が付いていなかったとは……美月の裏の顔をクール系とするならば、表の顔を天然系としよう。だが、仕事をダシに天然系のフリするのも止められたと思うんだが……本質的な部分で美月は天然なんじゃないか?


「思いつかなかったのかよ……」

「ええ、その考えには至らなかったわ」


 マジかよ……俺が歪んでいるのか、それとも、美月が純粋なのか……もうわけがわからない。


「はぁ……」

「何よ?私が抜けていると言いたげな顔ね」

「抜けてるとは言わないが、美月はうっかり屋なんだと思ってな」

「私だって忘れる事くらいあるわ。いけないかしら?」


 開き直ったよこの人……美月の言う通り人間忘れる生き物だから美月が何かを忘れたところで咎めはしないし、考えが至らなかったっていうのも人それぞれ考え方が違うのでわからんでもない。


「悪いとは言ってない。美月が可愛く見えただけだ」

「そ、そう……」


 ふむ、天然系を装っている美月は露骨に顔を真っ赤にするが、クール系の美月は頬を赤く染めて俯くのか。あまり変わりないように見えるが、一応は覚えておこう


「照れてるところ悪いが、遊華たちが戻ってくるまでにいつもの美月に戻らなくていいのか?」


 遊華たちは一時的にこの部屋を出ているが、あくまで一時的にだ。永久に戻ってこないというわけではない。美月がこの状態で戻って来られたら説明に困るのは美月本人はもちろんの事だが、俺も困る。困ると同時に嫌な予感もする。主に俺が問いただされる的な意味で


「そうね。そろそろいつもの口調に戻そうかしら」

「そうしろ。後々面倒だ」

「そうだね~、これでいい?遊ちゃん」

「ああ」


 遊華はともかく、香月と美月は2つの顔を使い分けている。いや、生きていく中で自己防衛で自然に身に着いたって事もあるかもしれないが、その表と裏が露骨すぎるのはどうかと思う。


「遊ちゃんはクールな私と今の私だったらどっちが好き?」

「前も言ったと思うが、美月は美月だ。クールでも天然でもどっちでもいい」

「そう……なんだ」

「遊華はともかく、香月と美月は生きていく上で必要だったから表と裏の顔を作る必要があった。ひょっとしたら遊華にも裏の顔があるかもしれない。家族である以上、俺はそれを受け入れるさ」

「ありがとう、遊ちゃん」


 美月がここへ来て見せる1番の笑顔を俺は今、見た気がする。そして、これが美月の本当の笑顔なのかもしれない。撮影やスタッフにも見せない、たった1つの笑顔。俺はそれを壊したくない……そう思ってしまった





今回は美月の本性というか、本当の顔が久々に出てくる話でした

天然の中にもクールあり。ギャップって素晴らしい

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ