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俺の立ち位置が保護者になりそうな件について

今回は遊華と朝風呂に行ったり、3姉妹と朝のバイキングに行く話です

旅館の朝風呂って家での朝シャンや家風呂とは違うものを感じますよね?

では、どうぞ

 いつもと違う場所で寝る。旅行に来ているんだからそれは当然である。だが、いつもと違う重量感があるというのは旅行に来ているからじゃなく、俺の上に乗っている遊華のせいだろう。まぁ、当たり前だろうな……だって、自分の上に人を乗せて寝るなんていう経験をしている、もしくはした人はそう簡単に見つかるもんじゃない。今の俺みたいに


「ほら、遊華、朝だぞ」


 遊華を起こさないと俺は身動きが取れない。しかも、俺をガッチリとホールドしているから尚の事だ。


「んぅ~、あさ?」

「そうだぞ、朝だぞ。起きてくれなきゃ俺は身動きが取れない」


 俺に抱き着いたままの遊華に声を掛けるが、遊華はまだ寝ぼけているが起きてもらわなきゃ困る


「やー、おにいちゃんをこのまま抱いて寝るの~」


 コイツ完璧に寝ぼけてやがる……仕方ない、仕事の話を持ち出すとしよう


「今日は撮影があるんだろ?遅れちゃマズイんじゃないのか?」

「はっ!?そうだった!」


 仕事の話をした途端に目が覚めたか……今度から遊華を起こす時にはこの手を使うか


「おはよう、遊華」

「おはよう、お兄ちゃん」


 寝てる時にも思ったが、顔が近い!ちょっと動けばキスできるんじゃね?ってくらい近い!


「遊華、俺の上からどいてくれないか?」


 仕事の話をしたら起きた。じゃあ、俺の上から退かすにはどうしたらいいだろう?考えろ。考えるんだ俺


「え~、もう少しくっついてたい!」


 駄々を捏ねるな。化粧の時間とかあるだろ?俺も朝風呂に行きたいし。どうしたもんかね……


「スッピンで現場に行きたいなら好きなだけくっついているといい」


 女の子にとっては酷かもしれないが、俺の身体的自由の為だ。許せ遊華


「それは嫌だ!お化粧してくる!」


 遊華は慌てて洗面所に駆けていった。今度からは遊華がごねた場合はこの手を使うか……


「さて、遊華も離れたし、俺も朝風呂に──────」


 起き上がろうとした俺の両腕を掴む美月と香月。コイツ等もか……全く、家じゃくっついてこなかったのに、旅館に来てこれか……悪い気はしないが、どうしたんだか……


「遊……」

「遊ちゃん……」


 しかもまぁ、幸せそうな顔しよってからに。このまま寝かせていたら俺の身体の自由が効かないのと仕事に遅れてしまう。


「おい、香月、美月。起きろ」


 2人に呼びかけるが、起きる気配は全くない。いや、もう起きているかもしれない


「ゆう……」

「ゆうちゃん……」


 何で呼びかけたのに逆に抱き着いてくるんですかねぇ……っていうか、昨日、俺は遊華を抱きしめて寝たし、今日も起きるまで遊華を抱きしめてる状態だった。にも関わらず、どうして2人とも俺の腕に抱き着いてるんだ?俺の腕が自由になったのはついさっきの事だ。結論、2人は─────


「香月、美月。2人ともスッピンで現場に行きたくなければさっさと起きろ」


 遊華と同じ手が通用するわけがない。同じ手が通用するはずがないと思っていたが……


「「お化粧してくる!!」」


 同じ手が通用した。ビックリするくらい簡単に引っかかった……言いたかないが、なんて単純なんだ


「やっと自由になれた……」


 さて、朝風呂に行くとするか。行く前に誰かに一声掛けて行かないとな。昨日みたいな状況になったらかなわん


「あれ?お兄ちゃん、どこ行くの?」


 化粧から戻ってきた遊華と部屋を出ようとして鉢合わせした。ある意味ラッキーと言ったところか。俺が勝手にどこかに行って暴走する確率が高いのは遊華だからな


「これから朝風呂に行くんだが」

「じゃあ、私も行く」


 昨日は香月、今日は遊華が俺の風呂に同行してきた。明日か今日の夜は美月か?まぁ、風呂に入ってしまえば俺は1人。湯に浸かってゆっくりするとするか


「じゃあ、香月と美月に声掛けてくか」

「あ、私が声掛けてくる」

「俺は外で待ってるわ」


 一足先に部屋を出て俺は外で待機する。一声掛けるのにそんなに時間は掛からないはずだしな


「お待たせ、お兄ちゃん」


 5分もしないうちに遊華が出てきた。待ち時間を除くと兄妹で買い物に行く時かありえないだろうけど、デートの待ち合わせの時の会話だな。


「いや、そんなに待ってないから大丈夫だ」

「うん!じゃあ、行こうか」

「ああ」


 さっき化粧をしてなかったか?なんて聞くのは野暮だろうな。隣で嬉しそうな顔をして歩く遊華を見て思う。10年前ならこうして遊華と肩を並べて歩くなんて思いもしなかったし、想像もできなかった。そういえば、この世界に来た時に最初に会ったのも遊華だったな


「じゃあ、上ったら休憩スペースで待ち合わせでいいか?」

「うん、それでいいよ」

「じゃあ、あとでな」

「うん」


 俺と遊華は大浴場の前で一旦別れた。遊華は女湯の、俺は男湯の暖簾を潜った。


「さて、今日は露天風呂に直行だな」


 昨日は身体と頭を洗ってから入ったが今日は露天風呂に直行し、朝の景色を堪能するとしよう。


「夜と違って太陽が出てるからか、これまた違う景色だな。同じ場所から見てるが、夜とは印象が違うから露天風呂に入るのは楽しいんだよな」


 朝なのかあまり客はいないが、それでも入る前に身体を湯で軽く流す事は忘れない。マナーって大事だよね。


「ふぅ~、家だと朝シャンだが、旅行に来ると朝風呂は欠かせないなぁ~」


 俺的旅館のいいところは家だと風呂に入る時は浴槽を洗ってそこから湯を溜めなきゃいけないが、旅館の大浴場は浴槽を洗わず、湯を溜める必要がなく、すぐに入れるところだ。時間制限があるというところは旅館の決まりでそうなっているので仕方ない。それを除けば旅館って最高だと思う


「今回の仕事で俺が呼ばれた意味って何なんだ?女性声優の水着グラビアという名目なら遊華たちはともかく、俺は必要ないはずなんだがなぁ……」


 湯に浸かりながら俺は考える。今回、俺が呼ばれた意味を。遊華たちは身内の贔屓目なしにしても可愛い方だと思う。1人1人が可愛いか?と聞かれれば、遊華と美月は可愛い系だが、香月は可愛いというよりは美人系だろう。


「難しく考えても仕方ないか」


 朝飯もあるし、何より今日は仕事がある。あんまり長湯はできないし、のぼせるわけにもいかない。


「待たせても悪いし、上るか」


 景色も十分楽しんだし、飯の時間と外へ出る為に着替える時間を考えて早めに上る事にした。夜もあるんだし、明日もある。それに今度はプライベートで来た時にゆっくり入ればいい


 着替え終わり、休憩スペースに向かおうと男湯の暖簾を潜った。俺的には早く済んだと思うが、遊華は女だ。髪を乾かしたりする等、何かと時間が掛かるだろうと思っていたが─────


「あ、お兄ちゃん」

「あれ?遊華、もう上ったのか?」


 ほぼ同じタイミングで女湯の暖簾を潜り、出てきた遊華と鉢合わせした。俺としてはもうちょっと時間が掛かると思っていたが、まさか同じタイミングで出てくるとは思ってなかった


「うん、お兄ちゃんも出てくるの早いね?」

「いや、俺はいつもこんなもんだろ?」

「そう?お兄ちゃんはもうちょっと遅いよ?」

「そうか?」


 俺は長風呂した覚えは全くないんだが……そんなに遅いか?自分ではそんなことないと思うが、遊華が言うならそうなんだろうな。多分。後で香月や美月にも聞いてみよう


「お兄ちゃん、お部屋へ戻ろう?」

「そうだな。仕事の準備もあるし、朝飯は……バイキングだったな」


 当初は休憩スペースで待ち合わせだったが、遊華とタイミングよく鉢合わせしたので待ち合わせする必要がなくなった。


「ところで、今日は海と山、どっちで撮影なんだ?」

「今日は海で水着グラビアの撮影だけど?」

「そうか、頑張れよ」


 水着グラビアの撮影なら俺にできる事はないだろう……何で俺はこの旅行に同行させられたんだろう。疑問は深まるばかりだ。


「うん、頑張ろうね。お兄ちゃん」

「?頑張るのは遊華たちだろ?」


 俺は付き添いとかそんなだから俺が頑張る場面なんてないだろう?なのに何で遊華は“頑張ろうね”なんて言ってきたんだ?ま、いっか。どうせ遊華たちしか撮影しないんだ。俺はいてもいなくても一緒だ。撮影の間は適当に暇潰すか


「行けば解るよ。お兄ちゃん」

「そ、そうか……」


 “行けば解る”とはどういう意味だろうか?今日は遊華たちの撮影のはずだ。俺はその付き添いだろ?あれか?現場の雑用とかしたらいいのか?


「ただいま、香月お義姉ちゃん、美月お義姉ちゃん」

「ただいま、香月、美月」

「おかえり、遊華ちゃん、遊」

「おかえり、遊華ちゃん、遊ちゃん」


 香月と美月が着替えている最中じゃなくてよかった。遊華はともかく、俺は気まずいなんてモンじゃない。スキンシップには慣れてきたとはいえ、香月と美月の生着替えを見るのはドキドキしてしまう。もちろん、遊華の生着替えもだ


「朝飯の時間って何時からだっけ?」

「7時からだよ。遊ちゃん」

「ありがとう。で、今何時?」

「7時20分だよ。遊」

「そうか、じゃあ、着替えて行くか」

「「「うん!」」」


 俺は洗面所で、遊華たちはそのまま部屋で着替えを済ませ、朝飯のバイキング会場に向かった。遊華たちは撮影がある為、朝はガッツリ食べなきゃいけないと思うが、俺は撮影の付き添いだ。そんなに食べなくてもいいだろう。


「晩飯もそうだが、朝飯も豪華なんだな」


 バイキング会場に着いてみると、多くの料理が並んでいた。そりゃ、和食、洋食、中華とジャンルは3つだが、その代わりに料理の種類は豊富だ。元々俺はそんなに食べる方ではないから、いくら種類があっても関係ない


「さて、席を確保しておくから遊華たちは料理を取ってきていいぞ」

「お兄ちゃん食べないの?」

「遊、朝はしっかり食べないと健康によくないよ?」

「そうだよ!ちゃんと食べなさい!」


 席を確保しておくって言っただけで俺が朝飯を抜く奴だと思われてるのか、それとも俺を心配してからなのかは知らんが、俺は効率的にそうした方がいいと思って言っただけだ


「朝を抜く習慣はないし、朝はしっかり食べる。そうじゃなくて、1人が席を確保しておかなきゃ料理もってこの会場を彷徨う事になるだろ。そうならないために俺が席を確保して遊華たちが戻って来たら俺が料理を取りに行くって言ってんの」

「「「なるほど」」」


 この3人は複数で旅行とかした事ないのか?俺がこの旅行に同行させられた理由ってこういうところにあるんじゃないか?さっきの遊華たちの反応を見たら嫌でもそう思う。俺って遊華たちの保護者的な立ち位置なのかな?やれやれ……




今回は遊華と朝風呂に行ったり、3姉妹と朝のバイキングに行く話でした

旅館のバイキングって席を確保するまでが大変だったりしませんか?そう思っているのは自分だけ?

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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