3姉妹が浴衣で俺に迫ってきた件について
今回は3姉妹が遊に浴衣で迫る話です
3姉妹の内の2人だけでも説得できるといいな
では、どうぞ
人の印象ってその時々によって違うと思わないか?俺は違うと思う。例えばクールビューティーな女性が不意に見せる笑顔とか、一見ガサツそうに見える女子が実は料理が得意でしたとか。または、いつもメガネをかけている人がメガネを外した時とか。何が言いたいかって言うとだな、今目の前にいる義理の姉、香月が可愛く見える
「ゆ、遊、そんなに見つめられると恥ずかしい……」
「あ、ご、ごめん!そんなつもりじゃなかったんだけど……気を悪くしたなら謝る」
「い、いや、見つめられて恥ずかしかっただけだから。気を悪くしたとかじゃないから」
何?この付き合いたてのカップルみたいなやり取りは。俺と香月は家族であり、断じてカップルなどではない!違うぞ!
「そ、そうか、ところでこのまま部屋へ戻るか?それとも、お土産コーナーかどこか見て回るか?」
「一旦部屋へ戻ろう。遊華ちゃんと美月に一声掛けてからじゃないと心配するだろうし」
「そうだな、荷物もあるし、部屋に戻って荷物を置いてからにするか」
お土産コーナーを見て回るのもいいが、その前に荷物を置くために俺と香月は一旦部屋に戻る事にした。遊華と美月に聞いてからでも遅くはないしな。それに、聞いといてなんだが、戻るのが遅くなるといろいろと言われそうだ。主に遊華に
「戻ったぞー」
「ただいま」
部屋に戻った俺と香月は備え付けのお茶を啜りながらテレビを見ていた遊華と美月に声を掛けた。
「おかえり、お兄ちゃん、香月お義姉ちゃん」
「おかえり~、遊ちゃん、香月ちゃん」
遊華と美月はテレビから目を放す事なく返答を返してきた。2人ともテレビに夢中すぎませんかね?気になる特集でもやってたのかな?どれ、1つ実験でもしてみるか
「さて、着替えるかな」
「「「!?」」」
着替える宣言をした瞬間これですか……しかも、香月もかよ。俺が着替えるって言って遊華と美月は一瞬にして俺の方を向いたし、香月は香月で俺をガン見だし……
「俺の着替えなんて誰得だよ」
「「「私たち得だよ!!」」」
3人とも目をギラギラさせ過ぎじゃないか?いや、着替えるんだけどね?そんなに見られてたら着替えづらいんだけど?
「とりあえず3人ともガン見すんのやめない?」
「「「やめない!!」」」
俺が言った事とはいえ、見られながら着替えるのはきついんだけど?はぁ、言ったところで聞きはしないんだし、このまま着替えるか……人間時には諦めも肝心だしな
俺の着替えている間、遊華たちはずっと俺をガン見し続けていた。なぜか顔は真っ赤だし、時折俯いているようにも見えたが、やっぱり男の生着替えなんか何の得にもならないか……実験してわかったのは遊華たちがどんなに俺を好きって言っても生着替えを直視できる程は好意を抱いているわけじゃないって事か
「3人とも着替え終わったんだけど?」
「「「…………」」」
俯いてしまった遊華たちに声を掛けるが、反応はない。さて、どうしたものかな?まぁ、そのうち元に戻るだろう。テレビでも観ながら待ちますか
「テレビを観ながら待つって言ってもこの時間帯は特に目ぼしい番組はやってないしなぁ……適当に何かバラエティ番組でも流してますか」
遊華たちが元に戻るまでの間の暇つぶしで流したバラエティ番組だが、思ってた以上につまらない。ただ待つのも退屈だ。
「おーい、俺はゲームコーナーに行ってくるからな」
遊華たちが元に戻るまでテレビを観続けるのにも限界がある。退屈な時間を過ごすのももったいない。
「「「ダメ!!」」」
ここでようやく元に戻った遊華たちにゲームコーナーに行く事を阻止されてしまった。そんなに嫌なら何か暇潰すものをくれ
「なら、何か暇を潰せるものをくれ」
俺がゲームコーナーに行くのを拒否すると言うなら遊華たちは当然、俺の暇を潰せる何かを用意してくれているはずだ
「お兄ちゃんは暇さえ潰せるなら何でもいいんだよね?」
遊華が唐突にこんな事を訪ねてきた。そりゃ暇さえ潰せればそれでいいんだが、何か暇を潰せる何かがあるのか?
「まぁ、夕飯までの時間を消費できれば何でもいいが、何かあるのか?」
「一応はね。準備するから耳塞いで目を閉じていて」
言われるがままに目を閉じ、耳を塞ぐ。準備するのに目を閉じ、耳を塞ぐ必要がどこにあるんだ?暇さえ潰せれば何でもいいが、俺はいつまで目を閉じ耳を塞いでいればいいんだ?
「遊、終わったから目を開けて。耳も塞がなくていいよ」
俺は香月に言われたままに目を開けた。耳を塞ぐのも止め、香月の方を向いた
「終わった……か?」
振り返ると遊華たちが浴衣に着替えていた。が、なぜ浴衣をはだけさせる?
「ど、どうかな?お兄ちゃん」
「ど、どうかな?って似合ってるとは思うが、何で浴衣をはだけさせる必要があるんだ?」
「遊ちゃんは暇を潰せればいいって言ったよね?」
「いや、言ったけど、それと浴衣をはだけさせる事と何の関係があるんだ?」
「遊には私たち以外必要ないってわからせる為だよ」
「要するに俺の暇を潰すのにかこつけて俺を誘惑しようってか?」
この時間を利用して誘惑しようなんて誰が考えたんだよ?とても即興で思いつく事じゃないよなぁ……となると昨日の段階ではこうする事は話し合いで決まってた可能性がある
「お兄ちゃん……どう?」
遊華が浴衣をはだけさせ、俺に迫ってくる。胸を強調しているのかはだけた浴衣から胸の谷間がチラッと見える
「あ、ああ、よく似合ってる」
俺の語彙力が少ないせいか似合ってる以外の感想が浮かばない。それ以前の問題として、遊華さん?どうして俺に迫ってくるんでしょうか?
「感想はそれだけ?お兄ちゃん」
他にどう言えと?それ以上の感想は俺の首を絞めかねないし、最悪の場合、社会的に俺は殺されるか抹殺されてしまう
「悪いな、似合ってるしか思い浮かばなかった」
「むぅ~、今はそれで許してあげるよ。お兄ちゃん」
何だ?感想を言ったのに納得していないようなその顔は……健全な15歳男子に何を求めてるんだ?
「遊ちゃん、こっちも見てよ……」
「そうだよ、遊」
美月と香月も遊華と同じ格好で迫ってきた。いや、同じじゃなかった。香月は帯こそちゃんと締めているものの肩は出ていて脱がそうと思えば簡単に脱がせられる状態だし、美月はそもそも、帯自体を締めてない。
「2人とも何でそんな恰好してるんでしょうか……?」
遊華と同じ理由だと理解していても聞いてしまう。ただの対抗心って可能性もあるからな。っていうか、そんな恰好して迫るのは好きな人に対してだけにしてほしいものだ。
「遊に女として見てもらうため」
「遊ちゃんに女として意識してもらうため」
2人とも俺に自分を女として意識させる気満々だ。他人同士なら嬉しいが義理とはいえ俺たちの関係は姉と弟であり……あれ?義理ならよくない?いやいや!さすがにヤバいだろ!仕事中ではないが、仕事で来ているんだから
「いやいや、何で俺が2人を女として意識するように仕向けようとしてんの!?」
とりあえず冷静になろうと一旦2人から距離を取る。誤魔化せるとは思ってないが、それでもやらないよりかはマシだ。
「遊ちゃん、女将さんに見とれてたの私は忘れてないよ?」
「いや、それは来た時に言っただろ?」
「確かにお土産コーナーとゲームコーナーを見ていたって言ってたし、その言葉に嘘はないと思うけど、でも、それが全部じゃないよね?遊ちゃん」
確かにあの時女将さんを見て綺麗な人だなとは思ったけど……それだけでこんな恰好してまで俺に迫って来るなよな……なんて本人にはとてもじゃないが、言えるわけないか……
「まぁ、確かに綺麗な人だなとは思ったけど」
「遊、私たちだけじゃ足りない?他にも必要?」
「お兄ちゃんは私たちに興味ない?」
そんな熱を帯びた目で俺を見るな。俺の理性にヒビが入りそうになるから。っていうか、遊華は俺が遊華に性的興味を抱いたらヤバいっていう自覚があるのか?
「遊ちゃん、自分の欲望に素直になっていいんだよ?」
美月も何言ってんだ?俺が家族に欲情したらお前らはとっくに襲われていてもおかしくないんだぞ?
「素直になるも何も家族に欲情したらヤバい奴になるだろうが」
何とか俺は理性を保ちつつ遊華たちは家族であるという事を自分にも目の前の遊華たちにも言い聞かせる。家族じゃなく俺が10年前の世界から飛ばされてなければこの中の誰かと恋人関係になる事も理性が崩壊し襲ってたかもしれない
「お兄ちゃん、私たちには魅力を感じないの?ねえ、どうなの?」
「そうだよ、遊ちゃん。私たちは心の準備はできているよ?」
「遊なら襲われても文句を言う事はないんだよ?」
何か雲行きが怪しくなってきたぞ?心なしか遊華たちの目からいつもの如く光が消えているんだが?え?旅行に来てまで説得しなくちゃいけない感じ?
「遊華たちに魅力がないわけじゃない。ただ、誰からも祝福されない形で結ばれても虚しいだけだし、仮に一線を越えて子供ができたとしても望まれて生まれてきたわけじゃない子供だったら俺と結ばれた相手が虐待しない保証はない」
遊華たちに言った事は絶対とは言い切れない。だが、強引な形で結ばれたとして、それで本当に幸せと言えるのか、虚しいだけではないか?という思いに嘘はない。遊華たちに魅力がないわけじゃないのも嘘じゃない。なんて偉そうな事を言ってはみたが結局は俺に責任能力がないのと生まれてきた子供の面倒を見きれる自信がないっていうのが本音だ
「遊の言ってる事はわかるけど、私たちは遊と絶対的な繋がりがほしい」
「香月、俺との絶対的な繋がりって家族って繋がりだけじゃダメか?」
「遊……今はそれで我慢する」
よし、香月の説得完了!我慢を強いているようで心苦しいが、俺にはまだ突き止めなきゃいけない真実があるんだ
「遊ちゃん、香月ちゃんはうまく説得できたようだけど、私はそうはいかない。私は遊ちゃんと結ばれる絶対に」
美月は一筋縄ではいかなさそうだな。さて、どうするかな?まぁ、やるだけやってみますか。どこまでできるかわからんが
「美月、俺と結ばれたいならちゃんと祝福される形じゃなくてもいいのか?」
「いいよ、私は遊ちゃんと結ばれればそれで」
「本当にそれでいいのか?少なくとも俺は誰かと恋人同士になるんだったら祝福されたいんだけど?美月はそうは思わんか?」
「私だって恋人同士になるなら祝福されたい!けどっ!遊ちゃんが他の女を見るくらいなら、他の女に盗られるくらいなら強引でも祝福されなくても構わない!」
マジですか?美月さん!重い!重いよ……だが、ここで美月を説得しなければ!
「美月、強引に結ばれたとして、その時はいいとしてもいずれ気持ちは離れていくと思うぞ?それでもいいのか?」
「よくない……遊ちゃんとずっと一緒にいたいし、ずっと両想いでいたい」
「なら、強引な方法じゃなくて正攻法で俺と恋人同士になろう?な?」
「うん」
何とか美月の説得に成功した。後は遊華を残すのみだが、何だかんだ言って遊華が1番の鬼門のような気がする。さて、ラスボスとの決戦に臨みますか
今回は3姉妹が遊に浴衣で迫る話でした。
3姉妹の内の2人は説得できましたが、やはりラスボスが残ってしまいました
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました