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俺が温泉を堪能している件について

今回は遊が1人で温泉を堪能する話です

あまり温泉の種類をあまり多くするとわかりずらいと思ったので大きく3つに分けました

では、どうぞ

 贅沢ってなんだろう?豪華な食材を使った料理に舌鼓を打つ事?最高のホテルや旅館で最高のもてなしを受ける事?考え出すとキリがない。何が言いたいかっていうとだな、結局贅沢って言うのは人それぞれだと思う。些細な事でもその人が贅沢だと感じればそれが贅沢になる。俺にとっての贅沢とは……


「あー、生き返る。何もせず、入浴中に身内の異性に突撃される心配をする事なく風呂に入る。俺にとっては最高の贅沢だな」


 そう、俺にとっての贅沢とは入浴中に遊華たちがいつ突撃してくるかを気にする事なく風呂に入れる事が最高の贅沢だと思う。他人から見れば美人の妹と義姉と一緒に風呂に入れるなんてなんて羨ましいんだ!なんて言う人がいるだろうが、主に俺の理性的な意味で耐えるのが大変なんだよ!はぁ……


「現在進行形で香月が隣で風呂入ってるとはいえ、そう簡単に入って来れないし、入って来るにも多大なるリスクを伴うから旅館って最高の場所だよなぁ……」


 俺の実家も旅館だったらなぁ……今更叶わない夢……いや、願望か。願望を口にしてみるが、そんなものは所詮は夢や願望であり、絶対に叶わない。叶ったとしても別の願望が生まれてくる


「そう考えると人間って貪欲だよなぁ」


 っていうか、何で俺はこんな哲学的な事を考えているんだ?あ、そうか、人間の贅沢について考えてたからこんな哲学的な思考になってるんだ


「哲学者の人たちに失礼かもしれんが、哲学的な思考は疲れるな。今はここの風呂を制覇する事だけを考えよう」


 思考を哲学的なものからここの風呂を制覇する事に切り替える。旅行に来てまで思考の海を漂う事はない。たまには俺だってのんびりとしよう


「さて、身体と頭も洗ったし、さっさと風呂に行くか」


 温泉に入るとかそれ以前に風呂に入る前に身体を流すのは当たり前だ。だが、俺は風呂に入る前に身体と頭を洗い、その後ゆっくりと湯に浸かる。やっている人がいるだろうが、一応俺流の風呂の入り方と言っておこう


「さて、どの風呂から入るかな」


 俺はどの風呂から入るかを迷っていた。この大浴場には地獄風呂、泡風呂、電気風呂がある。大きく分けてこの3つがこの大浴場の主流である。あとは外に露天風呂があるが、露天風呂は最後に入ると心の中で決めているので露天風呂は最後だ。


「1番近い地獄風呂から入るか」


 どうせ迷うなら1番近い風呂に入り、次に近い風呂に移る。そして最後は露天風呂だ。迷った時はこの決め方に限る


「あー、生き返る」


 周囲に俺の他の客もいるが、子供と一緒に入ったり、俺と同じように1人で入ったりと様々である。特別会話をする事もなく、俺のリアクションに対しコメントを返す事もないので幾分か楽だ。これで遊華たちに突撃されたらと考えると──────


「めんどくさぁ……」


 考えただけでめんどくさい……風呂に入ってるのに疲れる。なるべくなら考えたくない


「この温泉の効能はっと」


 俺は温泉の紹介を見てみると効能が書いてあった。まぁ、書いてあって当たり前なんだけど。


「えーっと、この温泉の効能はっと……何々“この湯の効能は血流をよくし、肩こり、腰痛を和らげます。”おそらくこの高温が血流をよくするんだろうな」


 日頃の疲れが湯に溶けていくようだ。身体が軽くなってきている気がする。あくまでも気がするだけで実際にそうだってわけじゃない。まぁ、本当であれ気休めであれ今の俺にはありがたい事だ。


「俺まだ15だぞ?こんな爺臭くて大丈夫かな?」


 自分の爺臭さに不安になる。もうお先真っ暗みたいな感じだ。さて、次は泡風呂にでも入るかな


「さてと、次は泡風呂に入るか」


 俺は泡風呂に入るべく地獄風呂から出て泡風呂に向かった。これぞ大浴場の醍醐味だよな。1度に複数の風呂……いや、温泉を楽しみ、上ったら風呂上がりの牛乳やコーヒー牛乳を飲む。あくまでも未成年だから牛乳やコーヒー牛乳だが、成人したらこれがビールや日本酒に変わるだろう……


「さて、泡風呂に着いたな」


 俺は身体と頭を洗っているとは言え、一応、身体を軽く流す。これって意外と大事だよな。


「では、入ろう」


 これ、泡風呂って言うよりジャグジー風呂って言った方が正しくないか?まぁ、旅館の雰囲気が古風だし、部屋もほとんど和風だったみたいだし、泡風呂って表記で間違ってはいないと思うが……


「まぁ、効能は主に足のツボを刺激し、悪いところを炙り出すって書いてあるが、そんなに刺激は強くないんだろうなぁ……」


 俺の身体に悪い部分なんてあるのかな?学力的な意味で頭が悪いとかはなしの方向で考えよう……主に健康的な意味で悪いところを探そう。そうしよう


「とはいえ、特別健康に気を使っているわけじゃないし、悪い部分があってもまぁ、気にしない気にしない」


 悪い部分があった時に俺はどうしていいかわからない。病院に行って健康診断でも受ければいいの?そう言えば、病院に最後に行ったのって激痛で倒れて救急車で運ばれた時以外で行った記憶がない。


「それにしても女性って何で体重とか気にするんだろう。男からしてみればそんなに太ったように見えないし、少しポッチャリしてるくらいでちょうどいいって人もいるだろうに」


 気が付けば俺の独り言に賛同するように周囲の客がうんうんとどこか納得したように頷いていた。この場にいる男性は痩せ細った女性より少しポッチャリした女性の方がタイプなんだろうか?


「だが、まぁ、男性によく見られたいっていう気持ちもわからんでもない」


 泡風呂に浸かりながらも俺は女性心理について考えていたが、そもそも、俺は生まれてから1回も彼女いた事なかったし、女性にモテた記憶もない


「はぁ、モテたい……出会いが欲しい……」


 俺の呟きにまたもや周囲の客がうんうんと頷いている。しかも、小学生男子までも頷いてるし、明らかに妻子持ちの男性も頷いてる。それはそれでどうかと思うが


「風呂入りながら何を言ってんだ俺は……」


 この場に女性がいないせいかな?ちょっと愚痴が多くなってた気がする。そっちの趣味はないが、こういう男だけの空間っていいな。女性に気を使う事がないからかな?まぁ、男同士でも気を使うが、同性に使う気と異性に使う気じゃ違うか


「次のところに行こう」


 いろいろ考えすぎてそのうち禿るんじゃないかな?だが、俺には考えるべき事や向き合うべき事がたくさんある。電気風呂に入って今だけはそれを忘れよう


「電気風呂って言うだけあって少しビリビリするな。この湯の効能も固まった筋肉を解すって書いてあるし、これが普通なのかな。それとも俺の身体の筋肉が凝り固まっているだけか?」


 この世界に来て家事を始めてから温泉には初めて来たので、実際に自分の身体がどうなっているのかなんて気にした事なんてなかったからどれくらい疲れているのか?なんて考えた事なかったな


「ゆっくりしていてもいいが、あんまり遅くなると香月を待たせる事になるから名残惜しいがそろそろ移動するか」


 1人で来ているならともかく、今回は連れがいる。のんびりしたいという気持ちを抑えつつ俺は露天風呂に行く事にした。


「おおっ!これは絶景だな!」


 露天風呂の景色は俺の部屋と同じで目の前に海が広がってる。だが、部屋で見る景色とこの露天風呂で見る景色では違ったものがある。湯煙が漂っているせいか部屋で見るよりも幻想的に映る


「さて、入るか」


 例に倣って俺は身体を湯で軽く流し、その後で湯に浸かる。高校の修学旅行だったらのんびり景色を楽しむなんて事は多分できないだろうな。主に浩太が女風呂を覗こうなんて言い出しそうだし。女湯っていう響きは高校生男子にはとても魅力的なものではあるが、俺的には覗くくらいなら俺は家か宿泊している部屋で堂々と裸を見た方がマシだ。遊華たちなら頼めば見せてくれそうだし……


「おっと、いかんいかん。のぼせたかな……遊華たちは身内だぞ?それなのに裸が見たいなんて……のぼせた以外考えられない」


 長湯でのぼせたかな?相手は妹と義姉だぞ?何を考えてるんだ俺は……いくら遊華たちが俺の事を好きって言っていても裸を見せろなんて頼むなど正気の沙汰じゃない。完全に頭がおかしい人だ。


「さっさと上ろう。これ以上入ってると本当にのぼせそうだ」


 邪な考えを本当に実行しようなんて考えに至る前に早めに上って頭をスッキリさせる。このままだと浩太の言った通り遊華も恋愛対象として見てしまいそうな俺がいるから怖い。遊華と付き合うなんて今の日本の法律上無理だっていう事はわかっている。


「親父といい敬といい浩太といい、遊華を恋愛対象として見る事を反対していない……いや、むしろ推奨までしてくるが、何でだ?」


 本人たちがいないところで疑問を口にしてもしょうがないのはわかっている。だが、しかし───


「いずれは直面する問題なんだよな」


 遊華の問題はいずれは直面する問題だが、今はこの旅行を楽しみたい。10年経って変わった遊華とこの世界に来て出会った香月と美月と共に。まぁ、仕事で来ているのは少々残念だが、仕事は明日からだし、今日ぐらいは楽しんでも罰は当たらないだろう。


「そろそろ出るか」


 身体を拭き終わり、着替えを終えた俺は入る時と同じように暖簾を潜り休憩スペースで香月を待った。


「一応メッセージは送っておくか」


 俺の方が香月より早く出てきてしまったため、休憩スペースにいる事を香月にメッセージで伝える。


「さて、晩飯には少し早いが、間食をするには微妙な時間だな」


 この旅館の夕飯は6時であり、現在の時刻は5時である。つまり、夕飯までには少し時間があり、間食するには遅すぎるというなんとも微妙な時間である。やる事がなく暇な時間というのは娯楽がない限りは苦痛以外の何物でもない


「遊、待った?」

「いや、全然」


 休憩スペースに来た香月は風呂上りという事もあるせいか、どこか色っぽい。浴衣ではなく、普段着だが、家で見るのとはまた別の色気というものを感じてしまう。


「どうしたの?遊」

「い、いや、別に」


 横目でチラッと香月を確認しただけで俺は香月の方に顔を向ける事ができなかった。口が裂けても香月本人には香月にいつもとは違う色気を感じました。なんて言えない。風呂に入る前と同じかそれ以上の事が起こりうるからな


「ふふっ、変な遊」


 何か風呂に入る前とは別人みたいになってないか?酒でも飲んだか?それとも風呂上がりでのぼせてしまったとか?


「悪かったな、変で」


 ガラにもなく子供っぽい返し方をしてしまう。実際15歳だから香月や美月、遊華からしてみれば俺は子供なんだろうな。順当に時を重ねていれば俺は25歳になっていたが、10年後に飛ばされてしまったために現在の俺は15歳だ。


「別に悪いとは言ってないよ?ただ、いつも比較的冷静な遊にも子供っぽいところがあるんだなって思っただけだよ」

「別に冷静ではないんだけどな」


 俺は冷静な方ではない。人によっては達観しているなんて言う人もいるが、俺は非科学的なものや現象を信じていない。ただそれだけだ。10年後に来た事も大人になった遊華と浩太の家で確認した新聞を見てようやく信じたくらいだし


「冷静かどうかは置いといて、遊はもう少し年相応の対応をしてもいいんじゃない?」

「けっこうしてると思うぞ?悪戯したりドッキリを仕掛けたり」


 年相応の対応してるよね?その辺は育った環境とかにもよると思う。なのでここで話し合う意味はほとんどないと思う。夕飯までの時間をどうやって潰すか?今はそれを考えよう。お土産でも見に行くかな……

今回は遊が温泉を堪能する話でした

高校の修学旅行とかだと不思議とワクワクする温泉イベントですが、身内だと別の意味でワクワクしそうな温泉イベント!温泉って不思議!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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